
Canon EOS 20D+EF 50mm f1.8 II
この前、岡崎の八丁味噌蔵を見に行って以来、八丁味噌のことが気になっていた。味噌について調べて、ここに書いて、ますます思いが強くなり、とうとう入手してしまった、カクキューの八丁味噌。
純豆味噌は上級者向けすぎるので、軟弱者と言われるかもしれないけど、赤出し味噌にしておいた。赤出しというのは、豆味噌に米味噌を加えてまろやかな味にした調合味噌のことで、これでずいぶん食べやすくなる。豆味噌はかなり渋みというか苦みが強いので、八丁味噌初心者向けではない。いきなりこれに挑んで八丁味噌が苦手になるのはもったいないので、最初は赤出しにしておくことをおすすめしたい。もしくは、手持ちの米味噌と合わせて使った方がいいと思う。
今日はサンデー料理の日。ということは、当然の流れとして八丁味噌を使った料理になる。最初は基本の味噌汁と味噌田楽か味噌カツなんかにしようと思っていたのだけど、せっかくなのでもっとインパクトのある料理にした。それが下のものだ。

決して泥水の中に浸かったおでんなどではない。これが八丁味噌の色だ。
おそらく、赤味噌を使った名古屋メシの中で、県外人が最も拒絶反応を起こすのが、この味噌煮込みおでんなんじゃないだろうか。見た目がすごいことになっているから。
けど、これが美味しいのだ。想像するような濃い味ではなく、コクがあるのに意外とあっさりしている。辛いのではなく、旨みが濃いのだ。美味しいというよりも旨いという字が当てはまる。
味噌煮込みおでんは、あまり家庭では作らないので名古屋人でも食べる機会がめったにない人が多いと思う。私は、もう何年も前にどこかの店で一度食べただけだ。家で作ったことはない。名古屋のおでんが全部これなわけではなく、家庭では普通のおでんを作る。味噌はたれとして付けて食べるくらいだ。
それでも、味噌煮込みおでんは名古屋名物の一つになっている。尾張地方よりも三河地方の方が一般的だろうか。あちらでは普通に家庭で作っているのかもしれない。
京都人は見ただけで逃げていきそうだ。
作り方としては特に変わった点はない。昆布とかつおだしをとって、そこに八丁味噌、みりん、酒、砂糖を加えて味噌ベースを作って、あとは下茹でした大根、ゆで卵、こんにゃく、はんぺん、ちくわ、焼き豆腐などを入れて煮込むだけだ。本来は牛すじを入れたかったところだけど、今の時期は売ってなかったので豚バラ肉で代用した。これでも充分美味しい。
煮込み時間はじっくり2時間。時間に余裕があれば、だいたい出来上がったところでいったん火を止めて冷ましてからもう一度煮込むと更に美味しくなる。味は冷めていく過程で具に染みこむから。
仕上げに七味唐辛子を加えると味のアクセントになる。
これは後を引く味だ。写真を見てるとまた食べたくなる。やっぱり八丁味噌は美味しい。赤味噌でも他のものとは全然違う。味が深い。
この味噌はこのまま他の料理にも応用できる。ダシで伸ばして味噌汁にしてもいいし、味噌を足してカツのたれを作ってもいい。うどんを入れればそのまま味噌煮込みうどんになる。料理屋でも、ベースの味噌に継ぎ足し、継ぎ足しでたれにしている。
八丁味噌が手に入る人は、ぜひ作ってみて欲しい一品だ。
残りの二品は付け足しだ。右奥が竹の子の唐揚げで、左がアメリカンドッグだ。
ん? 夕飯にアメリカンドッグ? そう、ふいに食べたくなって作ってみた。
アメリカンドッグというのは普段その存在をすっかり忘れていて、祭りの屋台や高速のサービスエリアで見かけるとふいに思い出すような食べ物だ。反射的に、あ、食べたい、と思う。
今回急に食べたくなったのは、テレビに登場したからだった。それを買うためだけに高速を飛ばしてサービスエリアまで行くわけにはいかないから、いや、行ってもいいけどすごく高くつくから、家で作ることにした。そして、サンデー料理の一品にねじ込んだ。
作り方は意外と簡単だ。ホットケーキミックスがあれば、牛乳で溶いてソーセージに絡めてあげるだけでできる。なければ、小麦粉でもできる。
溶かしバターと薄力粉、砂糖、卵、牛乳で生地を作って、ソーセージを浸して揚げる。ベーキングパウダーやバニラエッセンスを加えてもいい。
衣がすごく不格好になってしまったのは、分量を適当にしてしまって、牛乳を多くしすぎたからだ。けっこう固めの生地で作った方がいい。一度揚げでは衣が薄すぎたので、三度揚げにした。もっと上手にやればもっと美味しそうに見えたはずだ。
アメリカンドッグは、ケチャップとマスタードがよく合う。味はソーセージで決まると言ってしまえばそれまでだけど、自分ちで作っても美味しいことが分かった。高速に乗って買いに行くまでもない。
ただ、味噌煮込みおでんとは合わなかった。自己主張の強い日米が正面からぶつかって、大げんかになってしまった。竹の子が間を取りなそうとしたけど、そんなものはあっけなくはじき飛ばした。
料理は組み合わせが大事だとあらためて思い知る。ステーキとラーメンと寿司を一度に食べたら美味しくない。
今日のサンデー料理は特別編ということで、出来不出来という問題ではなかった。満足度は、八丁味噌の美味しさで満点だ。まだ残ってるから、別の料理にも使っていろいろ食べてみよう。一度は味噌汁を飲まないと。
そうやって慣れたところで中上級者向けの純豆味噌にも挑戦してみたい。にぎりめしに味噌を塗って焼いたものを常時携帯するようになれば、私も八丁味噌上級者と認められるだろう。三河武士の心意気を見習いたい。