
FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor 35mm f2D
賢島の中でほとんど唯一といっていい観光施設が水族館の志摩マリンランドだ。賢島へ遊びに行こうと思い立って事前にネットで情報を調べると、まずはホテルの情報が出てきて、その次に志摩マリンランドが見つかる。そしてそれ以上は見つからない。他にも何かあるだろうとしつこく探してみても見つからない。だって本当に何もないんだもの。一応、テニスコートやゴルフ場はあるけど、わざわざあんなところまで行ってテニスやゴルフをしようというのは少数派だろう。
しかもこの志摩マリンランドというのは、あまり期待できそうもない。マンボウを目玉として全面的に押し出してきているものの、マンボウってそんなに見たいものじゃない。館内マップを見ると狭そうだし、魚の種類も多くなさそうだ。行く前に格安で無料招待券が手に入ったから、時間があればついでにちらっと見ていくかくらいに考えていた。
けど、実際に行ってみたら、これがなかなか悪くないのだ。確かに中は狭いし、魚の種類も多いとは言えない。ものすごく地味だし、昭和だし、マンボウだってかわいくない。にもかかわらず、なんだか好きだなここと思ったのは、展示されてる魚がユニークだったからかもしれない。魚というより海の生物と言い直した方がいいか。
水族館の魚写真に関しては今回あまり気合いも入っていなかったこともあって、ラフにパチパチとシャッターを切って、名前のメモ撮りもしてこなかった。目に付いたやつだけ適当に撮って、流し見して終わらせてしまったものもいた。ただ、そのわりには写真がよく撮れていて自分でもちょっと意外だった。何も考えずに撮った方が出来がいいというのも考え物だ。
S2proは高感度ノイズも少なめで、手ぶれ補正なしの35mm F2Dとの組み合わせだったのでISO400で撮っている。それであらためて35mm F2Dの実力の高さを知った。あまり使ってないレンズだけど、今後はもう少し積極的に使っていきたい。
帰ってきて写真を整理してみたらけっこう使えるものがあったので、3回に分けて紹介したいと思う。まず第一弾はキレイな生物編ということでお送りします。写真としての写りがよかったものも優先させている。名前は分からないから、そのへんの説明は抜きで。

おなじみのミズクラゲだ。これは何度か撮っている。やっぱり水槽の中のこいつは神秘的だ。海では嫌われ者だけど水族館では人気者となる。
海中世界は宇宙と共通するものがあるというのを、この写真を見ると思う。惑星のはるか上空をただよう宇宙船を思わせる。

ものすごく繊細な手足だ。手足ではないのかも分からないけど、極細の線が無数に体から出ている。しかもそれが長い。
どうしてこんな体になる必要があったんだろう。

これもクラゲの一種だったか。
水槽の中が暗くて、こいつらもよく動くから止めきれなかった。
それにしてもきれいなブルーだ。自然の生命体が持つ色だとは思えない。

海にいるのは魚だけじゃない。こんなやつもいる。およそ必要とは思えない生物だけど、海には変わった生き物もたくさんいる。そういうのをなんでもかんでも受け入れるのが海の深さだ。
これは形が変わってるだけじゃなく色も不思議だ。紫色の部分は何なんだろう。

これも貝なんだか何なんだか。
グロテスクにも見えるし、よくよく見ているときれいでもある。
志摩マリンランドのよさがだんだん分かってきてもらえただろうか。

最近よく話題になっていて知名度も上がっているクリオネ。実物を見たのは初めてだった。かなりかわいい。でも撮るのは難しい。シャッタースピードが上がらずにちょっとブレた。
これでも巻き貝の一種で、和名をハダカカメガイという。流氷の天使なんて呼ばれたりもする。

ウミウシの一種だろうか。気持ち悪いといえば気持ち悪いし、鮮やかといえばそう言えなくもない。
ウミウシもたくさんの種類がいて、それぞれ色や形が違っているから、追求していけば面白い存在となる。世の中にはウミウシファンの人もいるそうだ。

1980年代に大ブームとなったウーパールーパーと久々にご対面した。しかし、あの頃とは色も違って、成長したなれの果ての姿となっていた。ここまで大きくなってしまうとかわいくない。
ウーパールーパーはペットとしての日本での商標名で、実際はアホロートルという名前だ。たぶんそのままの名前だったらブームにはなっていなかった。今どきの若い人は、ウーパールーパーもエリマキトカゲも知らないかもしれない。

四角い顔をしてるからハコフグかなと思うけど定かではない。ハコフグといってもいろいろいて、一つの種類を指す名前ずあない。
こんなに目が離れていて正面は見えるんだろうか。

これは確かイトウだったと思う。淡水の王様とも呼ばれ、きれいな川にしか棲めないという。イトウというと「釣りキチ三平」で幻の魚として登場していた遠い記憶が蘇る。どの程度幻なのかは知らない。水族館にいるくらいだから、本当に幻というわけではない。
発色のいいS2proは水族館向きでもあったことを発見した。手ぶれ補正じゃなくてもけっこう撮れてる。こんなことならもっと真剣に撮っておけばよかったと少し後悔した。
ただ、それでもあと2回分は写真が残っているから、それらも出していくことにしよう。全種類撮ってたら7回シリーズくらいになってしまっていた。
最初は見所の少ない地味水族館だろうと侮っていたけど、これがなかなか捨てがたい独自の魅力を持ったところだった。期待していかなかったのがよかったという部分もある。ざっと見るだけなら所要時間は30分とかからない。だから、生物を1種類ずつ写真を撮るには面白い水族館という限定した言い方の方がよさそうだ。
それでは、志摩マリンランドのお魚シリーズ第二弾地味編でまたお会いしましょう。