都電を端から端まで乗ってみよう企画<前編> 学習院下~王子駅前 - 現身日和 【うつせみびより】

都電を端から端まで乗ってみよう企画<前編> 学習院下~王子駅前

都電荒川線沿線1-1

Canon EOS 20D+EF50mm F1.8 II



 今回の企画は、都電荒川線を端から端まで乗ってみようというものだった。お上りさんらしい潔い試みと言えよう。全線乗ったからといって何があるというわけではない。ただ乗ったという実績が残るだけだ。あるいは自己満足が。
 それにしても荒川線というやつは他の路線との連絡が悪い。両端の早稲田と三ノ輪橋の両方ともが他の線と離れすぎている。日比谷線三ノ輪駅からも遠いし、東西線の早稲田駅からは迷って行けないという話もある。JR山手線と連絡している大塚が一番便利なのだけど、ここから乗るとどちらへ行くにしても無駄になる。
 結局、学習院下から乗ることにした。東京での拠点が目白にあるということと、この日はちょうど学習院で学園祭をやっていて学習院のキャンパスを見つつ通り抜けていけばいいというのがあって。
 面倒だったし時間もなかったので、学習院下から早稲田方面の二つは省略することにした。この時点でもう最初の趣旨から外れてしまっていたのだけど、あまり深く考えてはいけない。要は都電に乗ればそれで満足だったのだ。
 都電はどこまで乗っても一律160円で、一日乗車券が400円なので、迷わずそれを買った。早稲田や三ノ輪橋まで行って買わなくても、乗ったとき車内で運転士さんから買えば早い。PASMOにチャージすることもできる。
 というわけで、私たちは都電の旅に出た。学習院下から、ぶらり途中下車を挟んで目指すは三ノ輪橋だ。って、三ノ輪橋ってどこよ?

都電荒川線沿線1-2

 前に一度学習院の門の前まで行って入りきれずに引き返したことがあった。昔なら大学くらいは無関係な一般人でもぶらっと入っていってとがめられることはなかったけど、最近は世の中も変わって一見して関係ない人間は入り口で止められる可能性がある。特にカメラなんかぶら下げていたらお上りさんの観光客ということが一目瞭然だ。学習院はキャンパスの中に幼稚園から高校まで一緒に入っているし、皇室関係の学生さんなどもいるから、普通の大学とはちょっと違う。だから、学際というのは合法的に堂々と入っていける千載一遇のチャンスだったのだ。ここで入らずいつ入る。
 中の様子は普通の学園祭と変わりはない。食べ物の屋台などがたち並び、学生たちが呼び込みをする。ステージではビールの早飲み競争なんてのが行われていた。河野太郎の講演ってのが渋い。学習院にお笑いタレントは似合わない。
 最初で最後になりそうな学習院大学のキャンパスを見つつ、何も買わず、裏門に向かって歩いていった。古い校舎などもあって、なかなか歴史もあった。

都電荒川線沿線1-3

 都電の本数はけっこう多くて、だいたい5~6分間隔ということになっている。正確なダイヤはあってないようなもので、10分待っても来ないこともあり、2、3分で続いてくることもある。混雑時でも一両編成を頑なに守る。連結はできない仕組みになっているのだろうか。
 しばらく待っていたらやって来たので、いよいよ乗り込んでみる。ポジションは一番後ろにした。一番前の運転士のすぐ後ろってのが電車野郎のポジションなんだろうけど、さすがにそこは恥ずかしすぎた。後ろでも計器があったり、線路風景が見られるから、ここはここでいいポジショニングだ。
 通称チンチン電車の名の通り、出発のときはベルがチンチンっと軽やかな音が鳴って発進する。

都電荒川線沿線1-4

 押しボタンがあってちょっとびっくりした。都電は電車でありながら多分にバスチックなところがある。ダイヤが適当ってのもバスっぽいし、押しボタンを押さないとドアが開かないのもバス同様だ。駅も駅とは呼ばずに停留所と呼ぶ。だから何々駅という名前は付いてない。
 一度押してみようかと思ったら、常に先取りされて一度も押せなかった。記念に一度くらい押しておくべきだったか。

都電荒川線沿線1-5

 最初の途中下車は、王子駅前にした。ここは南北線王子駅の乗り換えができるからたくさん人が乗り降りした。
 都電沿線はそれなりに見所がある。半日くらいは充分に楽しめるスポットが揃っているから、安上がりな観光にもいい。今回は夕方出発で時間もなかったので、まだ行ったことがないところに絞って巡ることにした。雑司ヶ谷や巣鴨方面は前に一度行っている。

都電荒川線沿線1-6

 飛鳥山と王子の間は路面走行になるところで撮影スポットにもなっている。道ばたで都電を待ちかまえて写真を撮っている私たちは、完全に電車の人たちと思われたに違いない。そうじゃないんですと言いたかったけど、もう仕方がない。にわかであろうとその場限りであろうと、電車を撮っていれば電車の人だ。言い逃れはできない。
 王子の坂は都電の中で最大の難所と言われているところで、雪が降ったりすると坂を上れずに運転見合わせになったりするらしい。途中で滑って後ろに戻っていったりしたら危ない。乗客は降りて、みんなで後ろから電車を押さなければいけなくなる。昔の田舎のバスみたいだ。

都電荒川線沿線1-7

 飛鳥山交差点にはおあつらえ向きな場所に歩道橋がある。ここは絶好の撮影ポイントだ。こりゃいいぞと大喜びで撮る私たち。ここならあまり人に見られることはない。
 みんなここで撮ってるんだろうなと思ったら、右側の階段の途中で白レンズを構えた青年がいた。やっぱりなと納得する。
 シチュエーションとしては、夕方で夕陽が当たるシーンなんかがよさそうだ。夜も面白いかもしれない。

都電荒川線沿線1-8

 レトロタイプの都電がやって来た。これはいいタイミングだった。もちろん、撮るべし。右にいた青年はこれが通る時間帯まで調べて構えていたのだろうか。これが行ってしまったら、そそくさとカメラをしまって帰ってしまったから。
 それにしても路面地区の都電は不思議な感じだ。車は平気で線路を横切り、線路の上を走っている。信号待ちで車の後ろに電車がついている姿というのはなんだかおかしい。構造上不可避ではあるのだけど、みんな当たり前のものとして共存している様子が面白かった。電車と車がぶつかったら、どっちが悪いことになるんだろう。
 路面電車用の信号機や矢印信号も初めて見た。その存在を思い出したのは自動車免許の学科試験以来だ。そういえば黄色だかオレンジだかの矢印信号ってあったよな。
 今回の撮影の一番の目的が飛鳥山の路面走行部分だったから、これでもう満足した。ここを撮りたかったのだ。
 飛鳥山公園に少し寄ってから、王子駅の方に歩いて戻ることにした。

都電荒川線沿線1-9

 飛鳥山公園の道を挟んで向かい側に音無親水公園がある。行ってみたらもう閉まっていた。まだ5時前だったのに、冬場は4時半くらいで終わってしまうのだろうか。
 残念と思っていたら猫がいた。それを撮っていたら、周りから2匹、3匹と猫が出てきた。なんだなんだと思ったら、猫おばちゃんが登場した。なるほどそういうことか。どこにでもいるノラ猫のお世話をする猫おばさんやおじさんたち。お世話をしたい側とされたい側の思惑が一致して、幸せな関係が成り立っている。必ずしも猫だけが恩恵を受けているわけではない。大げに言えば、ノラにエサをあげることが生き甲斐のようになっている人たちもいるのだ。
 公園の中には入れなくても横を通って駅の方に行くことはできる。次の目的地は「北とぴあ」だった。

都電荒川線沿線1-10

 王子駅前の隣に見えていたのはJRだったか、南北線だったか。夕暮れの駅ホームの風情に惹かれて一枚撮った。部活終わりの学生と仕事帰りの勤め人たちで、ホームはけだるい雰囲気に包まれる。朝のピリピリした感じとは全然違う。

都電荒川線沿線1-11

 乗ったは文化の日の祝日で土曜日の夕方ということもあって、都電はどの車両も混んでいた。一両編成で田舎のローカル線のようなイメージを持っていたけど、それはまったく破られることになった。ラッシュ時のバスのような混み具合だった。
 のんびりと楽しむなら、平日の昼前とか夕方前がいいかもしれない。それならゆったりと車内を眺めたり写真を撮ったりもできるだろう。

 ぶらり途中下車都電の旅は、ここで前半が終わり、明日の後編へと続く。お楽しみに(?)。
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