今こそ読みたい東山紀之『カワサキ・キッド』

本(Books)
カワサキ・キッド

 たまたま手にする機会があって、ちょっと読んでみたら面白そうで、結局最後まで読んでしまった。
 東山紀之『カワサキ・キッド』。
 発行は2010年なので、今から13年前、東山紀之が47歳のときに出したものだ(2009年から2010年に『週刊朝日』に連載したものを加筆訂正したもの)。
 半生を振り返る内容で、文章はあまり上手くないけど、それゆえにゴーストライターではなく自分で書いたことが伝わってくる。
 ここ最近、良くも悪くも注目されている東山くんだけど、これを読むと印象が大きく変わる。
 ミスター・パーフェクトともいわれる東山くんの生い立ちがこんなだったとは知らなかったし想像もつかない。
 両親が3歳で離婚して川崎のおんぼろ団地に母親と妹とで三人暮らし。母親は美容室で遅くまで働いて食事や家事、じいさんの面倒まで少年東山くんがこなしていたという。
 再婚した新しい父親からは毎日殴られ、母親はその男とも離婚することになる。
 小学6年生のとき、渋谷のスクランブル交差点で友達と信号待ちをしていたら大きな車から降りてきた中年の男がいきなり名刺を渡して家の電話番号を聞いてきた。不信に思いながらも電話番号を教え、家に帰って母親に話したらそれはおまえ、だまされてるよと心配された。その名刺に書かれていた名前は「ジャニー喜多川」。
 東山紀之が少年隊としてデビューするのはその7年後、19歳のときだ。

 芸能やスポーツの意外な交流関係も興味深かったのだけど、やはり前半生の話が面白かった。苦労が顔に出ないのは人徳というものだ。
 ここ最近の記者会見などではいたって評判が悪いけど、そんなときだからこそこの本を読んでみるといい。
 人に歴史ありで、人生ってそんな簡単なものじゃないということをあらためて思い知ることになるだろう。


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