勝手に紹介 ~個人的昭和の名曲 女性ボーカル編

音楽(music)
空と雲

 10年ぶりの再放送となったNHK朝ドラの「あまちゃん」(NHKオンデマンド)をまた観ている。
 あれからもう10年も経ったのかという感慨を抱きつつ、10年前と変わらず楽しめている自分がいて嬉しくもある。
 やはり「あまちゃん」は希有の名作とでも呼ぶべき作品で、あれを超える朝ドラはもうなかなか出てこないだろう。
「あまちゃん」が画期的だったのは、リアルタイム視聴でネットを通じて大勢の人たちとネタや笑いを共有するという視聴スタイルを確立したことだ。
 前髪クネ男の衝撃が日本中を駆け巡ったときのことは今でもはっきり覚えている。
 ひとりで観てひとりで笑うのではなく、間接的であっても大勢と笑いを供にするというのは喜びをもたらしてくれるものだ。
 今では当たり前になったそんな視聴スタイルの走りが「あまちゃん」だったように思う。

 その「あまちゃん」を観ていてあらためて思ったのがアイドルというものの存在だ。
 近年は若い世代も昭和アイドルの曲をよく聴いているという。
 10年前と変わった点のひとつに、YouTubeやサブスクなどで古い曲を聴ける環境が整ったというのもある。
 YouTubeで何か昭和歌謡を聴けば関連動画がたくさん出てきて数珠つなぎでいろんな曲に出会うことができる。
 昭和世代にとっては懐かしい感覚でも、平成世代にとっては新鮮な驚きがあるんじゃないだろうか。

 そんなわけで、ここ数日まとめて昭和の曲を聴いてみて、せっかくならそれを紹介しようというのが今日の記事だ。
 いつもやっている「勝手に紹介シリーズ」の姉妹編で、今回は「個人的昭和の名曲 女性ボーカル編」と題してお届けします。
 一般なアンケート結果とはけっこうズレがあるけど、当時聴いていて思い入れのある曲に限定した。
 昭和っていい曲がたくさんあったなとあらためて思った。
 今はもうこんな曲は誰も作れないし誰も歌えない。たとえ作っても売れない。
 昭和には昭和の空気感のようなものがあって、それはあの時代限定のものだ。
 その時代に生まれ合わせたことをわりと幸運に思っている。




 中森明菜 『セカンド・ラブ』

 中森明菜って、こんなかわいらしい感じの歌い方だっけ? と思った。
DESIRE』あたりの歌い方のイメージが強いから、意外に感じられた。
 そして、すごくスローだ。こんなスローだったんだ。
 サビへ向かうところの伴奏に昭和感が色濃い。
 来生たかお節でもある。




 薬師丸ひろ子 『セーラー服と機関銃』

 同じく来生たかお・来生えつこのコンビ曲。
 薬師丸ひろ子は同名の映画の主演でもあり、これはその主題歌でもあった。
 今思えばむちゃくちゃな設定の作品だけど、当時はそれを疑問と思わず楽しんでいた。




 小泉今日子 『木枯しに抱かれて』

 小泉今日子の代表曲といえば『なんてったってアイドル』が挙げられるのだけど、曲としては『木枯しに抱かれて』が好きだった。
 作詞・作曲はTHE ALFEEの高見沢俊彦。
 当時は職業作家だけでなく、シンガーソングライターやアーティストたちが本気で作った曲をアイドルに提供していた。だから名曲が生まれたともいえる。
 後にそれをセルフカバーしてヒットした例も少なくない。




 原田知世 『時をかける少女』

「あまちゃん」つながりでこれ。
 イラッとさせるサムシングを持つ正宗さんのピチピチの若い姿を見ることができる。
 それにしてもMVが突っ込みどころ満載で笑えるし、どう考えてもヘンだ。
 すっかり忘れていたけど、この曲は作詞作曲が松任谷由実だった。




 斉藤由貴 『卒業』

 作詞松本隆、作曲筒美京平のゴールデンコンビが斉藤由貴のデビューシングルとして作った曲。
 それだけ斉藤由貴に対する期待度が高かったのだろうし、それに応えた斉藤由貴の実力は見事だった。
 松本隆・筒美京平コンビの最高傑作といっていいんじゃないか。




 松田聖子 『セイシェルの夕陽』

 松田聖子といえば、『赤いスイートピー』、『青い珊瑚礁』、『白いパラソル』、『夏の扉』など数多くのヒット曲があるのだけど、何故かマイナーなこの曲が記憶に残っている。
 シングル曲でもなく、アルバム『ユートピア』に収録された曲だ。
 ザ・アイドルといえば松田聖子で、松田聖子の前に松田聖子なし、松田聖子の後に松田聖子なしというのは今後も変わらないだろう。




 山口百恵 『秋桜』

 伝説のアイドルといえば山口百恵だ。
 14歳でデビューして人気絶頂の21歳のとき、三浦友和との結婚を機に芸能界を引退。以後、一度も表舞台に出てくることなく現在に至っている。
 私が初めて自分のお小遣いで買ったレコードがこの曲だった。
 作詞作曲は、さだまさし。
 発表が1977年(昭和52年)だから、18歳かそこらでこの曲を歌いこなしていた。
 見た目も歌い方も、大人びているというより貫禄ありすぎ。
 当時のアイドルというのは、一般人とは隔絶した世界の雲の上の存在で、気軽に会いに行けるような人ではなかった。




 キャンディーズ 『微笑みがえし』

 世代的にはピンクレディーの方が近いし曲もよく耳にしていたのだけど、ピンクレディーにはあまり興味がなくて、どちらかといえばそれより上の世代のキャンディーズの方が好きだった。
 ただ、キャンディーズはほどなく解散してしまったので、それほどちゃんと聴いたわけではない。
 その中ではこの曲が印象に残った。




 Sugar 『ウエディング・ベル』

 1981年(昭和56年)のSugarデビューシングル。
 昭和の曲はけっこう無茶な歌詞も多かった。今なら駄目かもしれないようなものもある。
 一発屋と呼ばれるような歌手が昭和にもいたのだけど、一発でも当てられたならたいしたもので、この曲も昭和歌謡の1ページを彩っている。




 あみんもこの一曲で終わってしまった感があるけど、片割れの岡村孝子はソロで長らく活動していた(いる)ので一発屋とはいえない。
 歌詞がちょっと怖い。




 久保田早紀 『異邦人』

 子供の頃にこの曲を聴いていい、好きだと思っていた自分の感覚にちょっと驚く。
 今になって当時の映像を見ると、こんなきれいな人だったんだと知ることがある。
 子供の頃はあまりそういう目線では見ていなかったし、今は自分が年を取って相対的に若く見えるからというのもある。
 逆に、こんなだっけ? と思うこともある。




 小林麻美 『雨音はショパンの調べ』

 小林麻美は幼心にもいい女ってこういうのをいうんだろうなと思ったのを覚えている。
 ベッドの上でタバコを吸うシーンから始まるMVというのも斬新だ。




 REBECCA 『フレンズ』

 80年代に巻き起こった空前のバンドブームの中で、女性ボーカルのバンドというのもひとつのジャンルとしてあって、その中でもREBECCAは走りと呼べるような存在だった。
 最大のヒットとなった『フレンズ』は4枚目のシングル曲で発表は1985年(昭和60年)だった。
 その前年の1984年にプリンセス プリンセス(後にPRINCESS PRINCESSに改名)がデビューしている。
 少し遅れてLINDBERGも後に続いた。




 中村あゆみ 『翼の折れたエンジェル』

 昭和60年(1985年)のヒット曲のひとつ。
 思い返せば80年代半ばというのは、アイドルがいて、バンドがいて、シンガーソングライターがいて、演歌がいてと、様々な音楽が混在した時代だった。
 聴き手の棲み分けができていたともいえるし、いろいろなジャンルのいろいろな曲を同時に聴くこともできた。
 今は画一的になってしまって、昔ほどの広がりがなくなっている感がある。




 テレサ・テン 『時の流れに身をまかせ』

 少し前にドラマか何かでちらっと流れて、あらためてちゃんと聴いたら、こんないい曲だったんだと見直すことになった。
 これは売れるわ、と思った。
 テレサ・テンの歌い方も魅力的。
 この曲が1986年発表というのはちょっと意外で、もう少し前の曲だと思っていた。




 竹内まりや 『駅』

 もともと中森明菜のアルバム曲として提供したものを、作詞作曲をした竹内まりやがセルフカバーしたのがこの曲だ。
 中森明菜版は聴いたことがなくて、今回初めて聴いてみたのだけど、やはり竹内まりや版の方が馴染みがあってよかった。
 火サスこと火曜サスペンス劇場のエンディング曲だと思っていたら違っていて、竹内まりやの曲は『シングル・アゲイン』だった。
 水谷豊が浅見光彦をやっていたときの火サスを思い出した。




 岩崎宏美 『聖母たちのララバイ』

 火サスのエンディングといえばこれでしょうという人も多いんじゃないだろうか。
 岩崎姉妹の妹の岩崎良美の代表曲なら、やはり『タッチ』だ。




 杏里 『オリビアを聴きながら』

 作詞作曲は尾崎亜美。
 発表が1978年と、意外に古かった。80年代の曲と思っていた。




 松任谷由実 『ノーサイド』

 松任谷由実をここに入れるのもどうかと思ったのだけど、昭和の歌謡界の中心に君臨したひとりには違いないので参加してもらうことにした。
 代表曲は数あれど、個人的に深く自分の中に根ざしているのはこの曲なのだ。
青春のリグレット』(曲と踊りが合ってないぞ)も好きなのだけど、今回はこちらを選んだ。
 情景描写によって心情を描写する松任谷由実の真骨頂がここに表れている。




 中島みゆき 『悪女』

 中島みゆきも代表曲は多いし好きな曲は人それぞれだろうけど、私は子供の頃によく聴いていたこの曲が一番記憶に刻まれている。
 こんな曲を好きという子供はちょっと嫌だなと自分でも思うけど。
 中島みゆきを聴いているやつは暗いやつだというのが当時の風潮で、中島みゆき好きを公言するのはなかなか勇気がいることだった。
 でも、さだまさし好きはまあまあ大丈夫だった。ぎりぎりだけど。
 それにしても、よくこんな曲がヒットしたものだと感心する。今発表したら絶対にヒットはしない。
 あいみょんあたりが歌ってもポップな感じになってしまって、この感じは出ない。




 小比類巻かほる 『I'm Here』

 作詞作曲はラッツ&スターの鈴木雅之。
 いや、昭和世代にはシャネルズといった方が通りがいいだろうか。
 車の免許を取りたての大学生のとき、車の中で同名タイトルのアルバムを繰り返し聴いていたので、この曲を聴くとあの頃の感覚がよみがえる。
 それは必ずしも楽しい記憶ではないのだけど、懐かしい思い出ではある。
 そろそろ昭和も終わろうとしていた頃だ。



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