知って得しない虫についての知識を余すところなく披露してみる - 現身日和 【うつせみびより】

知って得しない虫についての知識を余すところなく披露してみる

デンパークの生き物たち-1

Canon EOS 20D+SIGMA 18-50mm f3.5-5.6



 今日はデンパークで撮った生き物たちの写真を使って、虫についての復習をしようと思う。だからデンパークってなんだよという方もいるだろうけど、それはまあおいおい紹介するとして、今日のところは虫でいかせてほしい。
 ところで虫(むし)の定義をあなたは知っているだろうか。これは分かっているようで案外難しい問題をはらんでいる。虫と昆虫は完全なイコールではないと意識している人がどれくらいいるだろう。虫(むし)というのは本来、鳥でも獣でも魚でもない生き物を指す総称だった。昔の人がはっきりと分類できないものを「むし」と呼んで誤魔化していたという歴史がある。だから蛇も蟹も虫という字が入っている。昆虫というものが学問として確立するのは、虫という言葉が生まれたずっとあとのことだ。昆虫とういうのはむしの中の一つであって、昆虫と虫は同義語ではない。昔は昆虫を指す場合は「蟲」という字が使われていた。
 とまあ、そんな雑学も絡めつつ、今日は虫について書いてみよう。あまり気持ち悪い虫は出てこないけど、苦手な人は逃げる準備をしてください。

 まず最初はナミアゲハから。
 一般的にはアゲハチョウと呼ばれることがほとんどだけど、実はアゲハチョウという名前の蝶は存在しない。たいていはこのナミアゲハ(チョウはつかない)のことをいう。もしくは、黄色味が強いキアゲハのどちらかだ。
 ナミアゲハのナミは、波ではなく並だ。普通にありふれているという意味でつけられたのだろうけど、それはちょっとないだろうとナミアゲハに代わって抗議したい。上とか優とかそんな高級なアゲハがいるならともかく、いくら平凡でも並扱いは失礼だ。可もなく不可もなしみたいで、なんだか納得がいかない。あんなにきれいな体をしてるのに。ナミアゲハだって自分たちの名前を知ったら黙っちゃいないだろう。せめてオオアゲハなんてのがいるなら仕方ないなと思っただろうけど。
 キアゲハは名前の通り黄色いアゲハだ。でも区別は割と難しい。黄色加減では見分けづらいときは、前翅の付け根を見る。黄色地に黒い横線が入っていたらナミアゲハで、この部分が黒く塗りつぶされていたらキアゲハだ。
 ナミアゲハは、春から秋にかけて4回ほど世代交代をする。成虫での寿命はひと月ちょっとということだ。秋を迎える前にその年最後の産卵をして、寒くなる前に卵からかえって幼虫になり、サナギの姿で冬を越す。それが春に孵ってまた世代を重ねる。春に生まれたやつよりも夏に生まれるやつの方が体が大きい。

デンパークの生き物たち-2

 アオスジアゲハの鮮やかなブルーは南国を思わせるけど、これも昔から日本にいたアゲハチョウだ。アジアやオーストラリアにも広く生息している。
 アゲハチョウというと、ナミアゲハなどのグループと黒いアゲハの仲間に大きく分かれる中で、アオスジアゲハはどちらにも属さない独特のアゲハだ。翅を動かす速度も速く、飛び方もシャープな感じで、止まるときは翅を閉じて止まる。動きが全体的にアゲハらしくない。
 九州や四国あたりにはこれに似た青いミカドアゲハというのがいるらしいけど、私は見たことがない。いるところでもそれほど数は多くないようだ。
 黒い蝶に関してはまたいずれ書くこともあるだろう。黒い蝶もたくさん種類がいて、話はそう単純ではないのだ。

デンパークの生き物たち-3

 モンシロチョウやアゲハなんかが少なくなってきた夏の終わり頃から俄然目立つようになるのが、このセセリチョウだ。茶色くて地味な体をしてるから蛾に間違われそうだけど、これでも立派な蝶の一種なので蛾扱いしないでやってほしい。
 よく似たイチモンジセセリとチャバネセセリは、翅の裏側を見れば一目瞭然、白い点が大きく並んでいるのがイチモンジセセリで、白点が小さくまばらならチャバネセセリということになる。写真のものはちょっと見づらいけど、イチモンジセセリだ。
 肌寒くなった11月くらいまでしっかり生きて、こいつらは幼虫で越冬する。イネやススキなんかを食べて寒い冬を乗り切る。
 近くで見ると意外と目がつぶらでかわいい。

デンパークの生き物たち-4

 ここ数年、名古屋でもクマゼミが激増して、アブラゼミと勢力を二分するくらいにまでのし上がった。けど、今年はどういうわけか少なかった。鳴き声もあまりしなかったし、うちのアイもクマゼミを1匹もとってこなかった。今年の暑さと関係があったのか、それとも他へ分布が移動したのだろうか。今のところまだ関東へはほとんど勢力を伸ばしていない。西日本は完全に制圧したのに。
 東京へ行ったときはミンミンゼミの声が大きくて少し驚いた。名古屋にミンミンゼミはほとんどいない。地球温暖化もあって、今度はクマゼミの関東進出も充分あり得る。そうなったとき、ミンミンゼミはどうなるのかちょっと心配だ。
 上の写真は腹(腹弁)がオレンジをしてるからオスだ。これを使って鳴いている。
 細い木の枝を伝ってもぞもぞしてたから卵を産んでるのかと思ったら違った。関西では光ファイバーのケーブルに卵を産み付けて断線するという被害がけっこう出ているとか。
 蝉は近代化に一番上手く適応した虫かもしれない。他の虫たちが生活の場を奪われ、郊外や田舎へと押しやられたのに、蝉だけは子供の頃と比べても数が全然減ってない。一日中明るいような都会でもたくましく生きている。特別賢いわけでもないのに、なんとなく平然と生き延びてきた。そう考えると蝉ってけっこう不思議な生き物だ。

デンパークの生き物たち-5

 木の上で変な鳴き方をしてるツクツクボウシがいてどうしたんだろうと見上げたら、カマキリに捕まっていた。蝉側からいえば気の毒だし、カマキリ側からいえばよかったねだし、こういう光景は複雑な気持ちになる。
 ハラビロカマキリは久しぶりに見た。前に見たのは子供の時だったんじゃないだろうか。普段は木の上で生活してるからあまり見かけることがない。
 名前の通り腹の広いカマキリで、多くは緑色をしてる。まれに茶色いのもいる。
 もともと茶色くて小さいのがコカマキリで、これも昔はよく見たのに最近は見ない。
 あと一般的なカマキリとしては、大きくて太いオオカマキリ、それより少し細いチョウセンカマキリあたりだろう。ヒナカマキリ、モリカマキリ、ウスバカマキリ、ヒメカマキリなんてのも日本にいるそうだけど、このへんは意識したことがないから、見たことがあるのかないのかも分からない。
 カマキリは腹から出てくる黒い針金みたいなハリガネムシが恐かった。

デンパークの生き物たち-6

 トンボの区別はとても難しいけど、シオカラトンボも油断ができないトンボの一つだ。たいていの人は青白っぽい体をしたトンボを見たらシオカラトンボだと思ってそこで終わる。その先まで深く潜ろうという人は稀だ。
 シオカラトンボと見えて実はシオヤトンボかもしれないし、オオシオカラトンボかもしれない。黄色い体をしたやつはムギワラトンボと呼ばれるシオカラトンボのメスだというところまでは常識の範囲内にしても、本当のところは未成熟なオスかもしれないというところまで疑ってかかるのがトンボの人たちだ。トンボの世界もなかなかに奥が深い。よく似てるけどちょっと太ってるなと思ったら、それはハラビロトンボだ。
 シオヤトンボは腹が少し平たい感じで、シオカラトンボは灰色に近い白、オオシオカラトンボは青白い。だから上の写真はオオシオカラトンボということになる。たぶん。そうだといいな。違ったら誰か指摘してください。

デンパークの生き物たち-7

 最後はカエル。緑色の小さい蛙を見たら反射的にアマガエルだと思うのは勇み足だ。それが本当にアマガエルかどうか、もう一度よく確認する必要がある。テストも見直しが必要ですと先生も口を酸っぱくして言っていたのを思いだそう。
 目の横に黒い線はあるか、目玉(光彩)は赤くないか、体の大きさはどうか。答えを言えば、上の写真はいわゆるアマガエルと呼ばれるニホンアマガエルではない。ニホンアマガエルの場合は目の横に黒い線がある。これはそれがなく、光彩が金色をしてるから、シュレーゲルアオガエルだ。目が赤くて、体も少し大きくてくすんだ緑色をしていたらそれはモリアオガエルということになる。
 だんだんややこしくなってきて、もういいやとあなたは投げ出しそうになったかもしれない。そんなに全部覚えられないし、そんなものの細かい区別がついてどうなるんだと。確かにどうにもならない。自慢しても誰も誉めてくれないし、第一最後まで聞いてくれない可能性の方が高い。アゲハはアゲハでシオカラはシオカラでいいじゃないかと言われておしまいだ。できることなら私もそんな時代に帰りたいと思わないでもない。ただ、気になり始めると気になるもので、区別つかないとモヤモヤが乗って気持ちが落ち着かなくなる。分からないと自覚することが知ることの第一歩だ。もう引き返せないところまで来てるから、このまま行けるところまで行くしかない。目指せ、虫博士。いや、蟲博士と書くべきか。まだまだ先は長い。

 次回こそデンパークの全貌を暴く編へとつながっていくと思いきや、まだデンパークの花編でもうワンクッション置くことになりそうだ。実はデンパークへ行ってきたものの、どんなところだったかと訊かれてはっきり答えられるほどデンパークについてのイメージが固まってないのだ。なんとなく漠然とした感じで、とらえどころのないところだったから。なのでもう少し周辺から固めていって、最終的に本編を書こうと思っている。
 私自身、デンマークという国について基本的な勉強をしてから出直さないといけない。デンパークを語るにはまずデンマークについて知るべきだ。けど、デンパークは思いのほかデンマークではなく、私たちを戸惑わせることになるのであった。
 つづく。
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