夏の名残の花火大会はヘビ花火で幕が開き吹き出し花火で幕を閉じた - 現身日和 【うつせみびより】

夏の名残の花火大会はヘビ花火で幕が開き吹き出し花火で幕を閉じた

9月の花火-1

Canon EOS 20D+Canon EF50mm f1.8II



 上の写真を見て、すぐに正体が分かった人は30代、40代かもしれない。おお、これは懐かしいと思うことだろう。20代は知ってるだろうか、ヘビ花火のことを。
 私たちの子供時代において、ヘビ花火はシャレの一つとして確固たる地位を築いていた。おもちゃ花火の中ではもちろん中心を担うような花形ではなかったけど、冗談や笑いのネタとしてヘビ花火はいつも子供たちの身近にあった。
 あれからずいぶん長い年月が経って、ヘビ花火はどうなったんだろうと思ったら、いつのまにやらかなりマイナーな地位へと滑り落ちていたようだ。昔は駄菓子屋やおもちゃ屋なんかで普通に売られていたのに、今は探してもそう簡単に手に入らなくなっていた。いつからか子供たちに人気がなくなったのだろう。オークションで探してみても、出品が一つしかないところを見ると、今どきもう誰もやらなくなったらしい。その存在さえも遠い過去のキワモノとして忘れ去られてしまったのだろうか。
 けど、ツレが東急ハンズで見つけてきた。なるほど、あそこはこういうものを置いていそうだ。恥ずかしさに耐えて買ってみせたツレの勇気をたたえつつ、吉良ワイキキビーチで我々は夏の名残の花火大会を開くことになった。
 花火といえば当然夜暗くなってからなのだけど、ヘビ花火の場合は暗くなったら何も見えなくなってちっとも楽しくない。これだけは昼間にやらないと意味がない。これを花火の範ちゅうに入れてもいいんだろうかという疑問はひとまず棚上げにしておいて。
 はやる気持ちを抑えつつ、辺りをうかがい、人の目がないことを確認する。海辺でヘビ花火をする大人二人は客観的に見てかなり怪しい。というか、馬鹿っぽい。この姿を見られたらちょっと恥ずかしいので、人がいないタイミングを見計らってやらないといけない。わっ、なんだあれ、なんて言いながら子供が集まってきたら最悪だ。大人に見られたらくすくす笑いが起こりそう。
 よし、今がチャンス、着火オーライだ。よし、いけ、とばかりにヘビ花火に点火する。うわー、なんだこの煙は。怪しく黄色い煙がモクモク出てきて焦る二人。これは目立ちすぎるぞ。のろしを上げたみたいではないか。ホラ貝の音が聞こえてきそうだぞ。でも、おー、ヘビが伸びてきたー、わはは、これこれ、これぞヘビ花火だと大受けの私たち。何十年ぶりかで見るヘビ花火の勇姿は、子供の頃の記憶そのままだった。黒いニョロニョロは昔も今も何も変わってなかった。

9月の花火-2

 これがヘビ花火だ。ヘビ玉という商品名で売られていた。製造元が愛知県の西尾市というので驚いた。全国的にも製造業者は減っていることが予想される中、どうして西尾だったのだろう。西尾が特に花火の生産で有名というわけでもないのに。
 ヘビ花火なんかは販売価格も原価も安いものだから、100円ショップでも売ればいいのに。話のネタにでもと買っていく人がけっこういると思うけどどうだろう。でも、リピーターはあまり期待できそうにない。こんなもの、久しぶりに一回やったら充分だから。

9月の花火-3

 今回一番できがよかったのがこの双頭の蛇だ。2つ同時点火作戦で、いい感じに伸びていった。
 最後まで切れずに上手く伸びれば成功で、途中で切れてしまったら失敗だ。どういうふうに伸びるかはやってみなければ分からない。伸びる姿の変化がヘビ花火の面白さで、これが一定なら楽しさも半減してしまう。

9月の花火-4

 3個同時はグロテスクになって美しくなかった。2個がヘビ花火本来の姿を失わず楽しめる限界とみた。数十個同時になんてことを面白半分にやってみても、炎と煙でヘビの姿が見えなくなってしまう。もはやそれは違う遊びだ。一つずつニョロニョロさせるのが正しいヘビ花火のやり方に違いない。
 燃えている最中や燃え残りは、赤々と火を内部に保っていて近づくと怪我をしそうだ。噴火した溶岩のようでもある。伸びている最中のヘビを持つことは大変危険なのでちびっ子はしちゃいけないぞ。
 2袋のヘビ花をやりきって、すっかり堪能した私たちは、夏の名残の花火大会第一部を終えたのだった。たぶん人にも見られてないと思う。浜辺で怪しいものを燃やしているという通報もされずに済んだ。第二部は暗くなるのを待って、おもちゃ花火をやることになる。これまた何年ぶりか。
 最近は夏の公園などでも花火を楽しむ人が少なくなった。私たちが子供の頃は、毎日何組もの親子やちびっ子たちが公園で花火をしていたのに。それだけ昔は娯楽がなかったということか。テレビは一家に一台で、まだビデオも普及してなくて、テレビゲームもなかった。今振り返ると、毎日何をしてたんだろうと不思議に思うけど、あの頃はあの頃で毎日することがたくさんあって楽しかったはず。与えられることが少なかった分、自分から楽しさを見いだしていこうという積極性があった。今の時代に子供時代を過ごすよりも、あの頃過ごせたことは幸運なことだったと思う。昔と今と、別々の時代の両方の楽しみを楽しむことができたから。ヘビ花火もこうして、二度違う楽しみ方ができた。

9月の花火-5

 第二部は手持ち花火から静かに始まった。これまたとても懐かしい感覚だ。
 おもちゃ花火の撮影は初めてだったので、最初は全然勝手が分からず手探りでの撮影になった。ツレは右手で花火を持ちながら左手にコンパクトデジを持っての撮影という無茶なことになっていた。
 基本的にシャッタースピードを何秒くらいにすればいいのか予測がつかない。絞り開放のf1.8とかで撮ると、花火の明るさにつられてシャッタースピードが1/200とかの高速になってしまう。そうすると手ぶれはしなくても、花火の質感がうまく出ない。あとになって気づいたのだけど、手持ち花火の場合は、絞り優先ではなくシャッター速度優先モードにした方がコントロールしやすくなる。今回は最後までそれに気づかないまま終わってしまった。花火は時間が短いからあれこれ考えたり試したりしてる余裕はない。

9月の花火-6

 これなどもシャッタースピードが速すぎる。でも、偶然面白い写真になった。海の中の生物のような、宇宙を漂う生き物のような、不思議な世界だ。
 たまたま失敗から生まれた写真だけど、花火撮影は必ずしも花火らしく撮らなくてもいいということが分かった。速いシャッタースピードでも間違いじゃない。
 花火をやっている人と花火を一緒に写す場合は、ストロボでスローシンクロをすることになる。私はフラッシュ撮影はしないので、スローシンクロなんてやりたくてもできない。

9月の花火-7

 これも花火写真としては失敗だけど、写真としては気に入った。花火の光がネオンライトのようで儚くもあり、幻想的でもある。

9月の花火-8

 次は吹き出し花火だ。このへんの花火は昔のものよりも進歩して多彩な表現をするようになっていた。
 今回はセット買いをしたので、自分で選んだ花火ではない。夜の海岸で暗闇の中懐中電灯で照らしながら花火を選んでいたから、ほとんど闇鍋に近いようなものがあった。闇花火だ。短い時間の中で、手に持った花火を順番に点火していった。
 昔一番好きだったのが、パラシュート花火だ。打ち上げ花火と同時に落下傘が打ち上がって、それがゆらゆらと落ちてくるのを拾うのが楽しかった。なんでそんなことくらいであんなに楽しかったのかは、今となっては自分でも理解できない。もう一度思い出すために、今度パラシュート花火も買ってやってみようか。
 ロケット花火やネズミ花火なんていう派手なのはあまり好みではなかった。線香花火は時間が短くて、それがいつも残念に思ったものだ。今回も線香花火を何本かやってみたけど、風が強くてダメだった。すぐに玉が落ちてしまって。浜辺というのは実は花火にはあまり向いてないことにも今回分かったことの一つだ。吹きさらしで風を遮るものがない。

9月の花火-9

 吹き出し花火もシャッタースピードを何秒にするかで表現が違ってくる。速くすると火の粉の感じなって、遅くすると火が軌跡を描く。あまり長すぎるとわずらわしい感じになる。
 位置取りも難しくて、上がってみないとどの程度の大きさになるか分からないから、偶然を味方に付けるか、慣れるまで撮るしかなさそうだ。
 風に流されすぎてもあまりきれいにならない。

9月の花火-10

 高速シャッターで撮るとこうなる。これはこれで成立してるし、好みとしてはこういう弾ける感じの方が好きだ。
 今回で少しだけコツが分かりかけてきたので、次はもう少しいい写真を撮りたい。花火セットは遊びきれずにまだ半分残った。来月もう一度海へ行くから、そのとき再チャレンジしたいと思っている。

 何年ぶりか思い出せないくらい久しぶりの花火となったけど、やっぱり花火は楽しいものだ。やる前の予想よりもずっと楽しめた。打ち上げ花火にはない面白さがある。大人が二人でヘビ花火をしてはしゃいでいるのはどうなんだなどと反省してはいけない。楽しんだ方が勝ちなのだから。人に見られない範囲で。
 こうして夏の名残の花火大会は無事に終わった。吉良ワイキキビーチのみなさん、お騒がせしました。2007年の夏もそろそろ行こうとしている。今年は心おきなく夏を見送ることができそうだ。また来年と笑顔で手を振りながら。
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コメント
非公開コメント

ありがとうございます!!

じつは前から気になっていたんです

その存在価値を

蛇花火、夜にやるとみえないもんね(爆)

昼にやればいいんだwww
しかもマグマみたいでおどろおどろしい、ある意味カッコイイ!!

2007-09-17 19:40 | from ただとき | Edit

ちなみに、おれは、縦に3つのっけてやってましたwww

2007-09-17 19:43 | from ただとき | Edit

うわぁ 蛇花火懐かしいですね!
そうですか、今は普通に売っていないのですね

花火ってシャッター速度によってでこんなに色んな表情を見せてくれるのですね♪

2007-09-18 01:23 | from mimi | Edit

心のヘビ花火

★ただときさん

 こんにちは。
 まさか、ヘビ花火をしてありがとうと言われるとは思ってなかったです(笑)。
 でも、誰の心にもヘビ花火はあるんですね(すごい決めつけ)。
 あれは少年少女の甘く切ない思い出なんですよね。

 今こそ、ただときさんもヘビ花火再び、ですよ。
 誰とどこでやるかが難しいところなんだけど(笑)。
 夜にやるヘビ花火もおつなものかもしれない。
 あのマグマのような赤い火がチロチロしてきれいだろうなぁ。
 ニョロニョロはよく見えないけど(笑)。

 並列3つではなく直列3つって手もあったんですね。
 それは連続して伸びて面白そうだ。
 もう一度やる機会があるかどうかは怪しいけど。(^^;

2007-09-18 06:43 | from オオタ | Edit

懐かしくてもいい

★mimiさん

 こんにちは。
 ヘビ花火を懐かしいと口走ってしまうのは、ある意味危険な発言です(笑)。
 若者は知らないはずだから。はは。
 
 でも、実際懐かしいですよね。私も何年ぶり、何十年ぶりだろう。(^^;
 おもちゃ屋なんてのが最近は少なくなったし、コンビニに置いてあるはずもなく、いざ買うとなるとけっこう苦労します。
 買うこと自体照れくさくもあるし。(^^;

 おもちゃ花火の撮影はまったくの初めてだったんだけど、難しくもあり面白くもありました。
 意外と速いシャッタースピードで面白い写真になることが分かったんで、次もいろいろ試してみようと思ってます。

2007-09-18 06:49 | from オオタ | Edit

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