勝手に紹介 ~【月詠み】

音楽(music)
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 勝手に紹介シリーズ、今回は【月詠み(つくよみ)】です。
 前回の勝手にシリーズは8月3日の既出アーティストの新曲紹介だったのだけど、本編としてはその前7月6日の【あらたよ】だから、実質3ヶ月以上空いてしまっていた。
 この間、あまり音楽を聴いていなかったというのもあって、なかなかその気になれなかった。
 ただ、月詠みについてはそれ以前から知っていて、早く紹介したい気持ちがあった。

 コンポーザー兼プロデューサーのユリイ・カノンは2015年からボカロPとして活動していて、ある程度名前は通っていたので知っている人は少なくなかっただろう。代表曲としては『スーサイドパレヱド』、『おどりゃんせ』、『だれかの心臓になれたなら』などがある。
 これを聴くと分かるように、ボカロP時代はアップテンポでハイキーの曲が多かった。
 そのユリイ・カノンを中心とした音楽プロジェクト名が月詠みで、活動開始は2020年10月のことだ。
 一作目の『こんな命がなければ』 をYouTubeに投稿したのが10月10日だから、ちょうど2年ということになる。
 少しずつライブ活動もしているようだけど、まだまだネットの中だけの存在なので、一般的な知名度は低そうだ。
 とはいえ、チャンネル登録者数は43万人だから、決してマイナーな存在ではない。
 ここ最近はタイアップ作品が増えてきているので、広く一般に知られるのも時間の問題かもしれない。
 本人たちが表に出てくる気があるのかどうかは分からないのだけど。

 ネット検索をすると、それなりの件数が引っかかるものの、情報量としては少ない。
 そんな中、Real Sound(web)は早くから月詠みに注目して追いかけていたようで、何本かの記事が月詠みについて知る手がかりを与えてくれる。

 ⽉詠みはなぜ考察意欲をかき立てるのか ユリイ・カノンに問う、ストーリーを通した音楽表現の面白さ

 月詠み ユリイ・カノン、1st Story完結に向けて クライマックス飾る「月が満ちる」から始まったストーリー

 月詠み、ユリイ・カノンが綴る葛藤の先にある願い 新ボーカル迎えた第2章で明かされ始める物語のベール

 ボカロ曲から人間が歌うJ-POPへの移行はわりとスムーズだったようで、むしろ月詠みとして発表する楽曲の方がユリイ・カノンの世界観や思想をよく表しているように思う。
 人工的なのだけど人間的で、絶望しながら希望を捨てきれないでいる世界観はある種の人間の共感を呼ぶ。
 あまりあれこれ解説めいたことを書くよりも月詠みの曲を聴いてもらった方が早い。好きな人は好きだと思うし、駄目な人は駄目だろう。好みが分かれるアーティストだと思う。

 まだ曲数が少ないので、古い順に全曲を紹介します。




 月詠み 『こんな命がなければ』 2020年10月10日

 月詠みとしてのデビュー曲で、まだボカロ曲の名残が色濃い。
 当初、ボーカルはmikotoだった。この後、第2章と銘打ってプロジェクトは大がかりとなり、ボーカルもYueに交代することになる。




 月詠み 『ネクロポリス』 2021年1月16日

 2曲目にして早くもTBS系「CDTVサタデー」2月度エンディングテーマに採用された。
 走るピアノがユリイ・カノンの特徴で、それは1曲目からなのだけど、この曲は間奏のベースが印象的だ。
 ソフトでどんな音も作れるといっても、その楽器の本質的な良さを理解してないといい曲は作れないわけで、1つの楽器を極めるのも才能だけど、ソフト的に多くの楽器の音色を操れるというのも間違いなく才能だ。




 月詠み 『新世界から』 2021年3月29日

 ガンプラ40周年記念映像「ガンダムビルドリアル」主題歌として制作された曲。
 MVは初の実写となった。
 より広く一般向けを意識した楽曲となっており、メジャーとしての意識がこの頃から明確になったのではないかと推測する。




 月詠み 『真昼の月明かり』 2021年7月15日





 月詠み 『絶対零度』 2021年8月26日

 この5曲目の後、2021年9月8日に1stミニアルバム『欠けた心象、世のよすが』を発表し、その後しばらくシングルの発表がされなかった。
 何らかの話し合いというか相談があったのだろう。ボーカルのmikotoはここまでとなり、次の6曲目が発表されたのは5ヶ月後の2022年1月26日の『生きるよすが』だった。




 月詠み 『生きるよすが』 2022年1月26日

 この曲をもって月詠みの第2章が始まった。
 ボーカルもYueとなった。
 mikotoのボーカルが好きで交代は残念に思った人も多かっただろうけど、Yueになって月詠みは明らかにスケールアップしたように思う。参加メンバーも増えて、もはやユリイ・カノンの個人的なプロジェクトではなくなった感もある。
 ただ、初期の月詠みを支えたのは間違いなくmikotoの歌声で、楽曲はそう簡単に色あせない。




 月詠み 『メデ』 2022年2月24日

 J-POPに寄り過ぎたと感じたのか、少しボカロ曲寄りに戻したのがこの『メデ』だ。
 ハイレベルのボーカルYueを得て、ユリイ・カノンがYueなら歌いこなせると読んで作ったのかもしれない。
 早い曲調でピアノが疾走するというのが月詠み/ユリイ・カノンの最も特徴的な点だ。




 月詠み 『ヨダカ』 2022年4月13日

 TVアニメ『BIRDIE WING -Golf Girl's Story-』エンディング主題歌。
 実写とアニメを組み合わせたMVが制作された。
 私が初めて月詠みを知ったのはこの曲で、全部の曲を聴いた後にもう一度聴いたら、この曲によって月詠みの真骨頂は初めて姿を表したのだと思えた。
 この後月詠みがどれくらい活動を続けるか分からないけど、月詠みの最良の曲のうちの一曲はこの『ヨダカ』だと言い切ってしまう。




 月詠み 『イフ』 2022年5月8日

 プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク『MORE MORE JUMP!』のために書き下ろされた楽曲の月詠み版。
 初音ミク版はこちら




 月詠み 『アメイセンソウ』 2022年6月29日

 この頃には月詠みとしてすっかり安定感が生まれている。




 月詠み『花に雨を、君に歌を』 2022年7月15日

 10曲目の『アメイセンソウ』と11曲目の『白夜』の間に発表された曲で、どういう扱いなのかよく分からなかったのだけど、どうやらユリイ・カノンがTHE BINARY(web)に提供した曲のようで、こちらがオリジナル版だ(2020年5月9日発表)。
 その曲を月詠みとして、YueとSERAがツインボーカルで歌ったのがこの曲ということらしい。なので、月詠みのシングル曲という扱いにはなっていない。




 月詠み 『白夜』 2022年7月20日

 これまでの月詠みの曲でこれが一番好きだ。
 ハイテンポが月詠みの特徴ではあるのだけど、こういうスローテンポの曲もよくて、個人的にはこういう曲調を好んで聴いている。
 毎回こうじゃくていいから、何曲かに1曲はこういう曲も作っていってほしい。




 月詠み 『月が満ちる』 2022年8月17日

 これまでの最新曲。
 第2章以降の月詠みはコンスタントに月に1曲くらいのペースで発表してきたのだけど、9月、10月は新曲発表がない。
 8月にAudio Novelと題して『「だれかの心臓の心臓になれたなら」追懐録』を発表しているから、今後は更に活動の幅を広げることを計画しているのかもしれない。
 月詠みプロジェクトはそう長くはないような気もするけど、まだまだいい曲を作っていってほしい。


 月詠み 公式サイト


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