
YouTubeでELAIZAのMVを初めて見たとき、セクシー路線のアーティストがデビューしたのだなと思った。歌もルックスもいいし、これは売れそうだなとも思った。
ELAIZAがモデルで女優の池田エライザだと知るのはずいぶん後になってからだった。
池田エライザ(公式サイト)については名前とグラビアか何かの写真を少し目にしたくらいで、知っているというほど知ってはいなかった。池田エライザって知ってる? と訊かれたら、確かモデルか何かだよねと答えられる程度だ。
女優としても多くの作品に出ているようなのだけど、wikiのページで出演作一覧を見ると、観たことがある作品がほとんどないから、これなら知らなくても仕方がない。ただ、映画『みんな!エスパーだよ!』は観たので、それで印象に残っていないということは個人的に引っかかるものがなかったのかもしれない。
音楽活動に関しては、テレビの音楽番組『The Covers』の司会を務めたことがひとつのきっかけになったようだ。番組の中で何曲か歌ったようで、YouTubeにもアップされている。
ELAIZAとして本格的に音楽活動を始めたのが去年2021年8月なので、まだ日は浅い。アルバム『失楽園』とシングル曲『Close to you』を発表した。
YouTubeの登録者数は半年で3万人を超えているから、歌手ELAIZAの知名度は私が思う以上に高いのだろう。
最近、「ゴチになります」の新レギュラーになったというニュースを見た(昔は観ていたけど今は観ていない)。今度ますます一般的な知名度も高まっていくのではないかと思う。
ELAIZAの実力やいかに? ということになるのだけど、まずはデビュー曲となった『Close to you』を聴いてもらうのが早いと思う。
ELAIZA 『Close to you』 2021年9月6日
歌唱の実力はかなりのものだと思うけどどうだろう。歌の上手い女優が”歌ってみた”レベルではない。
アルバム曲の中の数曲は作詞を担当しているし、カバー曲のときにギターも弾いていたから作曲の可能かもしれない。
音楽一本でもやっていけるかといえばそれは分からないけど、モデル、女優とあわせて芸能活動の柱の一本となり得ると思う。
以下のネットのインタビュー記事を読めば歌手ELAIZAについてある程度知ることができる。
池田エライザが“ELAIZA”として“届ける”よりも“考える”を大切にした『失楽園』(長谷川誠)
ELAIZAをつくる音楽DNA シンガーの母が歌うスタンダード・ナンバー、チャイコフスキー、音楽観を変えてくれた最先端ポップス(森朋之)
母親がフィリピンとスペインのミックスで歌手だったというから、生まれながら音楽的素養があったというべきかもしれない。歌の上手さとか運動神経などはやはり遺伝的な要素があるように思う。
池田エライザ×上白石萌音 『I believe』 絢香
2020年8月のFNS歌謡祭で上白石萌音と歌った絢香の『I believe』歌唱が世間に大きなインパクトを与えたようだ。
女優であり歌手でもある実力派の上白石萌音に対して一歩も引けを取っていけない。
ただ、本家と聴き比べてしまうと、実力差は大きいと感じざるを得ない。
ELAIZA 『惑星』 2021年11月8日
1stアルバム『失楽園』より
アルバムのラスト曲。
個人的にオリジナルに勝るカバーはないと考えているのだけど、新しい世代が古い世代の曲をカバーすることで曲が世代を超えていく意義があるのは間違いない(有名人が歌うからカバーであって素人が歌うのはカバーではないけど)。
ELAIZAの曲はELAIZAがオリジナルで、やがてもっと若い世代がカバーすることで蘇ることになるのかもしれない。
今のうちにELAIZAを知っておけば数年後には古参を名乗れる。
池田エライザ 『時代』(中島みゆき)
中島みゆきのオリジナルが発表されたのが1975年(昭和50年)。
あれから50年近く経ってまだこうして歌い継がれているというのはすごいことだ。音楽が大量生産されて使い捨てられていく中でも、名曲はこうして残っていく。
中島みゆきといえば、『糸』や『地上の星』、『空と君とのあいだに』や『銀の龍の背に乗って』など名曲が多いけど、個人的には『悪女』が一番印象に残っている。子供の頃の私はあの曲を聴いてどういうわけか妙に悲しいような切ない気持ちになっていた。今はあんな曲を作れるアーティストはいなくなってしまった。
ELAIZA 『AYAYAY』 2021年11月8日
作詞が池田エライザ名義になっているからELAIZA以前に書いた曲かもしれない。
声に特徴があるようでなくて、クセがあるようでない。だから聴きやすい。でも、ちゃんと引っかかりはある。
歌が上手い素人たくさんいるけど、プロとしてやっていけるのはその中の一部だ。下手だからプロになれないわけでもない。
要するにその歌声にお金を払ってもいいと思えるかどうかだ。
そういう意味でいうと、ELAIZAの歌はお金が取れる。モデルや女優としての実績込みだとしても。
池田エライザ 『Woman”Wの悲劇“より』(薬師丸ひろ子)
松本隆作詞活動50周年トリビュートアルバム『風街に連れてって!』が2021年7月14日に発売されて、その中のひとりとして池田エライザが選ばれた。歌ったのは薬師丸ひろ子の『Woman"Wの悲劇"より』だ。
歌手としてデビューしている女優はとても多いのだけど、本格的に活動して成功を収めたということでいうと、薬師丸ひろ子はその走りといえるかもしれない。
この曲の歌手として池田エライザを指名したのが松本隆だったのか、プロデューサーの亀田誠治だったのかは分からないけど、そのあたりを重ね合わせたとも考えられる。
1 「夏色のおもいで」吉岡聖恵 (作曲:財津和夫 オリジナルアーティスト:チューリップ 1973年リリース)
2 「君は天然色」川崎鷹也 (作曲:大瀧詠一 オリジナルアーティスト:大滝詠一 1981年リリース)
3 「SWEET MEMORIES」幾田りら (作曲:大村雅朗 オリジナルアーティスト:松田聖子 1983年リリース)
4 「SEPTEMBER」宮本浩次 (作曲:林 哲司 オリジナルアーティスト:竹内まりや 1979年リリース)
5 「Woman“Wの悲劇”より」池田エライザ (作曲:呉田軽穂 オリジナルアーティスト:薬師丸ひろ子 1984年リリース)
6 「セクシャルバイオレットNo.1」B’z (作曲:筒美京平 オリジナルアーティスト:桑名正博 1979年リリース)
7 「スローなブギにしてくれ(I want you)」GLIM SPANKY (作曲:南 佳孝 オリジナルアーティスト:南 佳孝 1981年リリース)
8 「キャンディ」三浦大知 (作曲:原田真二 オリジナルアーティスト:原田真二 1977年リリース)
9 「風の谷のナウシカ」Daoko (作曲:細野晴臣 オリジナルアーティスト:安田成美 1984年リリース)
10 「ルビーの指環」横山剣(クレイジーケンバンド) (作曲:寺尾 聰 オリジナルアーティスト:寺尾 聰 1981年リリース)
11 「風をあつめて」 MAYU・manaka・アサヒ(Little Glee Monster) (作曲:細野晴臣 オリジナルアーティスト:はっぴいえんど 1971年リリース)
新旧取り合わせたなかなか面白い顔ぶれになっている。
池田エライザがテレビで歌ったのはこちらの動画で。
池田エライザ 『sweet memories』(松田聖子)
リハーサルということで池田エライザの素が垣間見える。
池田エライザ 『ぼくたちの失敗』 森田童子
もちろん、森田童子のオリジナルには誰が歌っても及ばないのだけど、カバー曲によって思い出して懐かしい気持ちになりつつ、オリジナルをあらためて聴いてやっぱりいいねと思う流れが生まれるのがいい。カバーってきっとそういうことだから。
YouTubeの一般ユーザーはアルバム『失楽園』を聴くことができないのだけど、Premium会員は全曲聴くことができるのだろうか。
私はAmazon Music Unlimitedの無料お試し期間中なので聴くことができる(でも有料会員にはならないつもり)。
一般が観られるMVが3曲だけというのはちょっと寂しい。知名度を上げるためにももっと増やして欲しい。
公式サイト
ユニバーサル ミュージックによるELAIZA公式サイト
ELAIZA『失楽園』
これまでの”勝手にシリーズ”は「音楽カテゴリー」にまとめてあります(さかのぼるときは”次”をクリックしてください)。