
勝手に発表シリーズの新規開拓アーティスト編の2022年第一弾として【三浦透子】を紹介します。
三浦透子を知っているという人の半分は映画『天気の子』がきっかけだろうし、もう半分は女優として認識しているだろう。歌手・三浦透子としての知名度はそれほど高くないと思うけどどうだろう。
個人的には『天気の子』のときはそれほど強い印象を持たず、YouTubeで『通過点』を聴いたときに、これってあの三浦透子なんだろうかと思ったのが再認識するきっかけだった。
現在までにカバーアルバム『かくしてわたしは、透明からはじめることにした』とオリジナルミニアルバム『ASTERISK』の2枚を発表している(配信限定や映像作品という形でも何曲か出している)。
YouTubeのチャンネル登録者数は6300人ほどだから歌手としての知名度はまだまだなのだろう。
ネットでインタビュー記事を探したけど、あるのは女優・三浦透子としてのものがほとんどで音楽関係はごく少ない。
音楽ナタリーのサイトでカバーアルバムについてのインタビュー記事があるくらいだ。
声がここまで連れて来てくれた、透明から始まる物語(永堀アツオ)
女優がカバーアルバムから音楽活動を始めるというのはあまりないことだと思うのだけど、声がよくて歌が上手いことは『天気の子』で実証済みだったからというのもあっただろう。
『天気の子』のときは音楽を担当したRADWIMPSの野田洋次郎がオーディションを行って三浦透子を選んだ。
野田洋次郎は「まだ何にも染まっていない荒削りながらもまっすぐなあの歌声で今回『天気の子』の楽曲を歌ってもらえたことは、この映画にとって幸福なことだったと思います」とインタビューで語っている。
監督の新海誠は「役者の歌声というよりも、世界そのものの響きのような声。個人の感情をすこしだけ越えたような何かを、まっすぐに運んできてくれる声。三浦透子さんの声には、そんな印象を持ちました」と言い、それぞれ”まっすぐ”という言葉を使っている。
そう、この”まっすぐ”というのが歌手・三浦透子の核心部分で、たとえばそれはカバーアルバムに収録された『Precious Memories』とオリジナルのglobe版を聴き比べるとよく分かる。
どちらが好きかは好みが分かれるところだろうけど、三浦透子の奇をてらわない歌い方は聴く者に歌詞をまっすぐに届けてくれる。
そこが長所であり、短所ともなり得る部分だと感じる。
残念ながらカバーアルバムの『かくしてわたしは、透明からはじめることにした』はYouTubeでは聴くことができない。私は今無料お試し期間中のamazon music unlimitedで聴くことができたのだけど、チャンスがあれば『Precious Memories』はぜひ聴いてほしい。あらためて名曲だと思った。
globe版はYouTubeにアップされている(ライブバージョンの方が沁みるかな)。
女優・三浦透子としてのキャリアはすでに20年近い。6歳のときにオーディションで2代目なっちゃんに選ばれてサントリーの「なっちゃん」のCMに出演したことをきっかけに芸能活動を始めている(2022年現在25歳)。
これまで出演した作品は数多く、近年は映画の主役なども務めている。
そのあたりはwikiのページに詳しいので、そちらをご覧ください。
公式サイトはTOKO MIURAになっている。正式な読みは”とうこ”だと思うのだけど、”とおこ”だったりするのだろうか。
三浦透子 『通過点』 2021年9月6日
作詞作曲はYeYe(かつては橋口なつこ名義で活動していた)。
今のところ三浦透子自身は作詞作曲は行っていない。作曲はともかく作詞だけでもやると音楽活動が更に広がりを見せるだろう。やればできる人なんじゃないかと勝手に思っている。
この曲はデジタル配信という形ながらシングル曲ではあるので、今後も女優と平行して音楽をやっていくようだ。期待して待ちたい。
RADWIMPS feat. 三浦透子 『祝祭』 2019年7月19日
テレビ出演時(?)のフルバージョンはこちら。
生歌でも上手い。女優さんだしテレビでも堂々としている。
特徴のなさが味わいのなさと感じて物足りないと思ってしまう人もいるかもしれない。
RADWIMPS feat. 三浦透子 『グランドエスケープ』 2019年7月19日
こちらも『天気の子』の劇中曲。
これを聴くと映画の映像が蘇る。
三浦透子 『愛にできることはまだあるかい』 2020年5月27日
『天気の子』の主題歌としてRADWIMPSが歌った曲を三浦透子がカバーしたもの。
アルバム『ASTERISK』に収録されている。
三浦透子 『蜜蜂』 2020年5月27日
作詞はサンタラの田村キョウコで、作曲が同じくサンタラの砂田和俊と田村キョウコ。
曲が先にあって三浦透子が歌ったのか、三浦透子がアルバムを作るにあたってサンタラがあらたに作ったのか、そのあたりの事情はよく分からない。
サンタラという二人組バンドを私はまったく知らないのだけど、wikiのページによると1999年から活動をしているというからベテランに近い中堅どころだ。
曲調はあえて古いフォーク調にしたのだろう。
三浦透子の歌声はこういう曲の方が特徴が出ていいように思う。
三浦透子 『ブルーハワイ』 2020年5月27日
作詞作曲は曽我部恵一。
2000年に解散したサニーデイ・サービスのフロントマンで、カバーアルバム『かくしてわたしは、透明からはじめることにした』の中でサニーデイ・サービスの『東京』のカバーを収録しているので、その関係で楽曲提供したのではないかと推測する。
三浦透子 『波がたった』 2020年5月27日
作詞作曲はスカートの澤部渡。
バンド・スカート(Skirt)のボーカル澤部渡ではなく、スカートは澤部渡のソロプロジェクトで、楽曲提供などを行っている。
音楽業界に詳しい人なら、アルバム製作に携わったメンバーの渋い人選が分かるのではないだろうか。
三浦透子 『おちつけ』 2020年5月27日
楽曲提供はTENDRE。
TENDRE(テンダー)は河原太朗のソロプロジェクトで知っている人も多いんじゃないだろうか。
三浦透子 『FISHANDCHIPS』 2020年5月27日
作詞作曲は赤い公園の津野米咲。
アルバムの発表が2020年5月で、津野米咲が29歳で亡くなったのが同じ年の10月だから、津野米咲の置き土産のような曲だ。
赤い公園の初期作品のようなテイストを感じる。
三浦透子 『UZU』 2020年5月27日
映画『ムヒカ 世界で いちばん貧しい大統領から日本人へ』の主題歌で、作曲は森山直太朗。
というわけで、歌手・三浦透子は今後も要注目なのです。
公式サイト
『かくしてわたしは、透明からはじめることにした』
『ASTERISK』
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