六本木ヒルズは金持ちの家へ遊びに行くような感じ

東京(Tokyo)
六本木ヒルズ-1

PENTAX istDS+smc PENTAX-DA 18-55mm(f3.5-5.6 AL), f6.3 1/80s(絞り優先)



 東京ミッドタウンをあとにした我々は、お上りさんの見本のように六本木ヒルズにも行ってみることにした。今やこの二つは六本木名物として抱き合わせとなっている。しかし、これが意外と遠かった。地下鉄の六本木駅を挟んで北と南にあって、地図上の直線では400メートルくらいでも、道の連絡が悪いから、実際には1キロくらい歩いた気がする。もしかしたらバスとかでも行けるのだろうか。
 向かっている途中に地図を見ていたら、出雲大社があった。出雲大社って、あの出雲大社か? まさか同姓同名の別物ということはないだろうなと思いつつ、ついでだから寄ってみることにする。確かに出雲大社はあった。でもなんだこりゃ。マンションの中というか、民家を改造した造りみたいというか、思い描いていたものと全然違う。こんな近代的な出雲大社なんて知らない。背後には六本木ヒルズのタワーがそびえ立っている。
 帰ってきて調べてみたところ、正真正銘出雲大社の東京分祠で、明治初期に建てられたという由緒正しい出雲大社だった。もともとは出雲大社の宮司が東京出張所を作ったことが始まりで、以前は神田神社の社務所内にあったものを六本木のこの地に移したんだそうだ。祭神は本家と同じく大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)で、この神様は縁結びの神様として名高い。まさかそんなことになっていたとはこのときは思いもしなかったから、下で手を合わせるだけで終わってしまった。大国主大神さんは気を悪くしてないといいけど。
 縁結びの神社として一部では知られているようで、参拝客もけっこういるようだ。しかし、ここまで近代的な造りにされるとちょっと戸惑うというかありがたみがない気もする。

六本木ヒルズ-2

 六本木ヒルズのクモのところで10時に、なんていう待ち合わせがあるそうだ。高さ10メートルの巨大なクモが六本木ヒルズの足もとでビルを守っている。深夜人がいなくなったら、このクモがガシャガシャいいながら動き出してビルの周辺を警備するに違いない。そして、不審者を見つけると、口から糸を吐き出してあやしいやつを捕まえるのだ。うん、きっとこいつならやってくれる、そう思わせる説得力がある。
 クモの下から写真を撮ろうとしたら、ツレが離れて遠巻きで見ていた。クモのオブジェを撮る人はいても、恥ずかしげもなく下から撮る人はあまりいないようだった。確かにまわりにはたくさん人がいて恥ずかしいといえば恥ずかしいけど、居直りお上りさんとして他人の視線に私は負けなかった。ある意味六本木ヒルズに勝ったと言えるかもしれない。

六本木ヒルズ-3

 六本木ヒルズの敷地内に残された毛利庭園。近代建築に取り囲まれた日本庭園というのもちょっと不思議な光景だけど、これはこれで日本らしくて悪くない。外国人が作る間違った日本映画みたいな面白い味を出している。取り繕ったような洋式の公園を作るのではなく、ここに日本庭園を残したのは正解だった。
 江戸時代、この場所には長府毛利家の上屋敷があった。三本の矢で有名な毛利元就の孫である秀元がここに屋敷を建てて庭園を造った。
 赤穂浪士の討ち入りのときは、赤穂藩の浪士10人(岡島八十右衛門ら)がこの屋敷に預けられて、この地で切腹している。
 明治の陸軍大将乃木希典は、ここで幼年時代を過ごした。
 その後、第二次大戦で焼け、戦後ニッカウヰスキーの工場となったり、テレビ朝日の敷地になったりして、現在は六本木ヒルズがこの地に建った。
 庭園の向こうに見えているのがテレビ朝日の本社ビルだ。「美味紳助」と「オーラの泉」のポスターが貼られていた。オーラはいつの間にかテレ朝の看板番組になっていたのか。
 右に見えているのが六本木ヒルズのマンションである六本木ヒルズレジデンスだ。目立つ超高層ビルが2棟、低めの2棟とあわせて4棟ならなる。言うまでもなく高い。家賃はだいたい100万円から500万円くらいだそうだ。
 六本木ヒルズというと、たいていは森タワーのことを思い浮かべるのだけど、実際は5つのエリアに分かれた総称が六本木ヒルズということになる。衣食住となんでも揃っていて、敷地面積11.6ヘクタールといえばもう立派な街と呼べる規模だ。ウォーキングコースというのもあって、歩いて一周するだけでもけっこう時間がかかるだろう。
 デザインは、森タワーなどをコーン・ペダーセン・フォックス・アソシエイツが担当して、商業エリアなどはジャーディ・パートナーシップによる。
 最寄り駅は、地下鉄日比谷線か大江戸線の六本木駅になる。感覚的には日比谷線の方が近そうだ。どちらにしても出口を間違えると遠回りになるのでそれは避けたい。

六本木ヒルズ-4

 ヒルズとテレビ朝日に隣接する六本木けやき坂通り。橋の上から正面に東京タワーが見える。両者の位置関係がけっこう近いことがこの写真からも分かる。
 この通りはクリスマスイルミネーションがきれいなことでも知られている。写真を撮った橋の上も、クリスマスシーズンには鈴なりのカップルの姿が見られるのだろう。ここで三脚を立ててイルミネーションとライトアップされた東京タワーを撮るツワモノもいるだろうか。ぜひ撮りたくなるスポットではあるけど、カップルまみれの中にひとりで突っ込んでいくには勇気がいりそうだ。

六本木ヒルズ-5

 タワーとテレビ朝日の間は大きな屋根のある野外ステージだ。普段はこのようにオープンスペースで、椅子とテーブルがあるから坐ってくつろいだりできる。人目さえ気にしなければお弁当だって食べられる。私たちは人目も気にせず、深川で買った10円まんじゅうを広げて食べた。
 今回テレビ朝日には入らなかったけど、テレ朝にもパブリックスペースがあって、一般も自由に入っていけるようになっている。

六本木ヒルズ-6

 六本木ヒルズといえばやっぱりなんといっても展望台だ。お上りさんとしては、ここにのぼらないことには始まらない。しかしこれが1,500円ときた。おぬし、やるな、という値段だ。東京タワーの展望台が820円+特別展望台600円で1,420円だから、それよりも高い。だから普段はなかなか行く気になれなかったけど、7月の一週目は七夕割引があって二人で1,800円ということでのぼってみる気になったのだった。ネットの東京デートナビクーポンを使えばいつでも1,500円が1,200円になるから、とりあえずクーポンをプリントアウトして持っていって、男二人なら入口で女子二人を誘ってカップルとして入れば300円は得するというせこい戦法がある。一人で来ている女の人はめったにいないだろうから、野郎一人でこの作戦を使うのは難しいけど。
 東京シティービューと名づけられたこの展望台は、高さ250メートルで、東京の街をぐるり360度を見渡すことができる。東京タワー、新宿、汐留、池袋サンシャインシティ、お台場のレインボーブリッジ。遠くには東京ディズニーランドや羽田空港も見える。まわりに高い建物がないのから視界が開けている。
 深夜1時まで営業しているというのもここの魅力だ。

六本木ヒルズ-7

 さすがに三脚は全面的に禁止なので夜景撮りは厳しい。光が反射しにくいガラスを使っているそうだけど、それでもまったく映り込まないというわけではない。撮る角度を工夫しないと、上の写真のように盛大に映り込む。これはこれで味だと思って、ここでは採用したのだけど。
 ベストビューポイントは、入口から入ってすぐの東京タワーが見える方向だろう。こちらが一番明るくて見るものも多い。その分、競争率が高くて、一度居座ったカップルはなかなかどこうとしない。どうしてもここから見たい場合は、どけどけどけーい、邪魔だ邪魔だ、どけどけどけーいと、いつもここからのギャグで迫ってみてはどうだろう。そういえば彼ら、最近見なくなったな。
 以前までは屋上のスカイデッキに出られたのに(プラス500円)、今はどういうわけか休止中になっている。何か不都合なことがあったのだろうか。写真で見るとかなりの吹きさらし状態でスリリングそうだ。もし再開したら、ぜひ行ってみたい。

六本木ヒルズ-8

 この状況で少しでもまともに撮るには、ガラス面と平行にレンズをくっつけるようにカメラを置いて、タイマーを使って撮るのがいい。これなら手ぶれしない。タイマーだから絞りはなるべく絞った方がいい(この写真は絞り足りないけど)。
 右下に神宮外苑の絵画館がライトアップされて夜の中に浮かび上がっていた。思えば私の東京通いは、去年の12月、あの神宮外苑のイチョウ並木から始まったのだった。あれから7ヶ月。絵画館は感慨深いものがある。
 
 お上りさんとして森タワーの展望台にのぼって夜景を見るだけなら、六本木ヒルズに対して反感を抱いたりひがんだりする必要はまるでない。たとえ自分がヒルズ族になれなくても東京シティービューからの眺めが楽しめないわけではない。ただ、やっぱり六本木ヒルズという存在に対しては平静ではいられないところが誰の中にも多少なりともあるんじゃないだろうか。憧れにせよ、そうでないにせよ。ニューリッチ層であるIT企業などをたくさん受け入れたことがいいことだったのかそうじゃなかったのか。ある意味では六本木ヒルズというのは差別社会の象徴的な存在でもある。
 貧乏人は置き去りの高級志向。悪い言葉で言うと成金的。これみよがしなところが一般人にはかちんと来て、新進の金持ちには心地がいい。最初からそういうコンセプトで始まったわけではないだろうけど、どこか差別化するようなところがあるように感じられる。マスコミが作り出した幻想というだけではない。
 似て非なる東京ミッドタウンができて、今後はますます比較されることが増えていくだろう。あっちにはそういうアクの強さがなかったのは、六本木ヒルズをある種の反面教師としたのかもしれない。でっぷり太った押し出しの強い森タワーと、シャープな印象のミッドタウン・タワーは、外観だけでもその方向性の違いが見て取れる。
 六本木ヒルズは今後も六本木とニューリッチの象徴であり続けるだろう。否が応でもそういう宿命だ。10年後、20年後、どうなっているだろう。他にもっと新しいものができて、ここは過去の栄光のようになるのだろうか。それとも、別の姿に変化していくのか。

六本木ヒルズ-9

 ハート型のカップルシールに、みんな願いや約束を書いてボードに貼り付けていた。東京シティービューは、恋人の聖地100選のうちの一つに選ばれていることもあって、カップルが多い。
 七夕の夜、また来年も一緒に来ようねと多くの恋人たちがここで誓ったことだろう。1年というのはすぐに過ぎるけど、その間にはいろんなことがある。変わらないものは何もなくても、変わりながら進んでいくことが大切だ。一組でも多くの約束が守られますように。
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コメント
  • 2007/07/14 16:59
    勝ってます、間違いなく勝ってます

    首都高でヒルズ前を通過する時、いつも思う「デぶなビルだな」と

    くもの下から見たヒルズ

    いい写真でした

    自分勝手にストーリーが浮かびました

    あの中にいて、いろんな”騒動を”起こした人たちの象徴みたいですwww

  • クモの巣にからめとられる
    2007/07/15 06:05
    ★ただときさん

     こんにちは。
     私は果敢にも六本木ヒルズに挑んで、見事撮り切ってやりましたよ(笑)。
     なかなかクモの下から撮る勇気のある人は少ないようでした。(^^;
     あの上に上って待ち合わせをしてる人がいたら、さすがの私もその人には勝てないですけどね。

     六本木ヒルズは、やっぱり生意気ですよね。
     実力は認めるけど、そんなに威張らなくてもいいじゃないかと思ってしまう。
     でも、実際ヒルズ族になってしまえば、心地いいんだろうなぁ。
     何年後かに、あの中に私がいて威張ってたら勘弁してくださいね(笑)。
     なんて言ってると、あのクモの巣に絡め取られてしまうのか。(^^;
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