
勝手に発表シリーズ第十五弾は、「新規開拓アーティストその1」と題してお送りします。
勝手に発表シリーズも回を重ねて紹介したいアーティストや曲の在庫が底をついてしまった。過去編をやり、ゲーム編やアニメ編をやり、外国編もやって、それで終わりにするつもりだったのだけど、私自身が勝手に楽しいのでこのまま続けていくことにした。
ところで、皆さんはYouTube Music(Web)を利用しているのだろうか。私は全然知らなくてつい最近知ったのだけど、2018年から始まっていたというから完全に乗り遅れている。
私のように知らない方のために簡単に説明すると、YouTube(Web)の動画の中から音楽だけを集めて独立させたサイトといったらいいだろうか。要するに無料の音楽サイトだ。
もともとあったGoogle Musicも2020年にYouTube Musicと統合したようで、そちらの流れから利用するようになったという人もいるだろう。
存在を知ってはいても有料の聴き放題サービスと思っている人もいるかもしれない。私も最初はそうかなと思っていた。
少しややこしいのが、YouTubeにも有料のPremium版があって、YouTube MusicにもPremiumがあるという点だ(980-1,180円)。
説明は面倒なので省略するけど、Premiumにすると広告が入らなかったり、スマホでバックグラウンド再生ができたり、ダウンロードできたりするといったあたりが主な特徴となっている。
スマホで日常的にYouTubeを見るという人にはメリットが大きいけど、私のようにPCでしか見ない人間には広告を外すためだけに月1,000円は高い。スマホ版とPC版を分けてもらって、PC版が月500円ならPremiumにしたい。
で、何が言いたかったかというと、YouTubeとYouTube Musicを併用すると便利ですよということだ。
YouTubeの場合、たとえばアーティスト名で検索をすると余計な動画がたくさんヒットしてその中から目当ての曲を見つけるのに手間取ることがある。やっと見つけたと思ったら、知らん人の歌ってみた動画だったりして、違ーう! となったりするのは多くの人が経験しているはずだ。
その点、YouTube Musicならアーティスト名で検索するとアーティストごとに動画と曲がグループ化されているので探しやすい。ひとりのアーティストの曲を集中的に聴きやすいし、PCで何か作業をしながら流しておく場合は自動再生にしておくと順番に曲が流れるので便利だ。
欲を言えば、おすすめの曲やアーティストの候補をもっとたくさん表示してもらえるとそこからさらに広がっていくのにとは思う。その部分でいうと、YouTubeの方がどんどん連鎖的にいろいろなアーティストの曲を聴けるので都合がいい。
両方のサイトを出しておいて、サイト間を行き来しながら曲を探していくというスタイルがいいんじゃないかと思う。
というわけで、ここ最近知って気に入ったアーティストと曲を紹介します。
いつも言うように私はだいぶ世間から後れを取っているので、とっくに知ってるよという方も多いと思うのだけど、まだ知らなかった人との橋渡しになれば何よりです。
足立佳奈 『ひとりよがり / THE FIRST TAKE』
足立佳奈は若い世代にはよく知られた存在らしいのだけど、私はまったく知らなかった。THE FIRST TAKEで初めて知った。
他の映像ではそうでもないのだけど、この映像の中の足立佳奈は神がかり的にカワイイ。
ヘッドホンが左右逆なのもカワイイので問題ない(もう一曲のTHE FIRST TAKEの『話がある』でも逆なので確信的にやっているのか)。
誰が最初に言ったか、”カワイイは正義”は本当だと思う。
milet 『inside you / THE HOME TAKE』
非常に独特な歌い方をするので、好き嫌いが分かれるかもしれない。
私は最初ちょっとなじめなかったのだけど、何度か聴いているうちに心地よくなってきた。
カナダに住んでいたこともあって英語も話せるというから、アメリカ音楽の影響もあるのだろう。アメリカの古いカントリーとかフォークを思わせる部分がある。
Aimer 『茜さす』
もっと早くどこかで引っかかっていてもよさそうだったのに、今まで知らなかったのが不思議だ。曲は耳にしていたのにそのときは引っかからなかったのだろうか。
おしらのしらスタで覚えたエッジボイスというやつを効かせまくっている。ここまでやると普通はくどく感じるものだけど、Aimer(エメ)の場合はそうならない。確かな歌唱力によってきちんとコントロールされているからだろう。
Aimer 『蝶々結び』
RADWIMPSの野田洋次郎がこの曲はAimerの声で歌うべきだと思って楽曲を提供したのだそうだ。
こういう歌詞というのは日本人しか絶対書けないもので、どんな外国語に翻訳してもニュアンスは伝わらないと思う。蝶々結びが恋愛や人と人とのつながりの象徴となるといった発想さえ浮かばないだろう。日本人ならそれが感覚的に理解できる。日本語というのはすごい言語なのだということをもっと自覚していい。
伶 × 清塚信也『白雪姫 / THE FIRST TAKE』
Flowerのボーカルだった鷲尾伶菜がFlower解散後に伶としてソロ活動を始めたらしいのだけど、そもそもFlower自体を私は知らなかった(E-girlsは名前だけかろうじて知っていたけど曲は聴いたことがなかった)。
YouTubeのコメント欄を読むと、Flower解散を惜しむ声が多数あるから、魅力的なグループだったのだろう。その頃もダンス系のグループでありながら鷲尾伶菜のソロボーカルだったというから、伶としての活動はソロ既定路線だったのかもしれない。
ピアノを弾く清塚信也は凄腕ピアニストとしてよく知られる存在らしい。私は「すべらない話」で初めて知ったので(紅白出場のときの裏話を面白おかしく語っていて笑った)、話の面白いピアニストくらいにしか思ってなかった。この演奏を聴いてなるほどと納得した。
ピアノも歌もテクニックは土台にすぎなくて、その上のプラスアルファがあるかないかで人の心を震わせられるかが決まってくる。上手いだけならプロでもアマチュアでもたくさんいる。その中で表現力と個性があって説得力を持ち得るのはごく一部に限られる。
ヨルシカ 『春泥棒』
ボカロ系アーティストのひとりというかグループというかユニット。
コンポーザーのn-bunaが楽曲を担当し、ボーカルのsuisが歌う。
詳しいプロフィールなどは公表されていない。
心がふわりと浮き立つ曲だ。小さい音で始まり、途中から突然通常の音(やや大きめ)になり、また小さい音に戻る。このあたりは非常に計算されている感じだ(最初にボリュームを上げすぎると途中で驚くので注意を)。
歌詞やMVの映像にもいろいろ仕掛けが施されているので読み解いてみると面白いと思う。
Ayase 『幽霊東京』 (self cover)
ボカロPとして活動していた頃のAyaseを知らなかった人の大部分はYOASOBIのコンポーザーとして初めて知っただろうけど(私もそうだ)、この曲を聴いて、なんだよ、Ayase、歌も歌えるのか、ちきしょー、と思ったんじゃないだろうか。
いやいや、つい言葉乱暴になるほどクールでカッコいい歌い方だ。これはもう気に入らないわけにはいかない。
セルフカバー曲はあと一曲、夜撫でるメノウ / Ayase (self cover)しかアップされていない。こんなに歌えるならもっと歌ってほしい。
『幽霊東京』のオリジナルは初音ミク・バージョンで、yamaのカバー・バージョンと聴き比べるのも一興かと。
SHE'S 『Letter』
最初に聴いたときは、男女ふたりのボーカルが交互に歌っていると思ったら、パートごとに地声と裏声を使い分けて歌っているのだった。こういう裏声の使い方はけっこう珍しいんじゃないだろうか。
男性4人組のバンドで、作詞作曲はボーカルの井上竜馬が担当している。
メジャーデビューは2016年というから、古参のファンにしたら今更感もあるだろうけど、私は最近知ったばかりなので新鮮だ。
この曲はMVも素晴らしい。ディレクターは山部修平で、SHE'S(シーズ)のMVでは『Masquerade』や『Your Song』でもディレクターを務めていて3部作になっている。
中でも『Letter』は特によくて、何度も見てそのたびに切なくなる。見るたびに自分が別れを経験したような気持ちになる。
とてもよかったときの二人の関係性と、終わりを迎えたときのふたりの距離感がよく表現されていて、そのコントラストはある意味とても残酷だ。
(最初の列車内のLINEのメッセージがラストシーンにつながっている)
主演の赤楚衛二と横田真悠も魅力的。
まだ他にも新規開拓したアーティストが何人もいるので、その2、その3と続いていく予定です。