代々木公園に行ってはきたけどどんなところと訊かれても困る - 現身日和 【うつせみびより】

代々木公園に行ってはきたけどどんなところと訊かれても困る

代々木公園風景-1

PENTAX istDS+smc PENTAX-DA 18-55mm(f3.5-5.6 AL), f8 1/50s(絞り優先)



 東京都民にとって、日比谷公園と代々木公園の違いって何なんだろう? 場所の違い以外にも何か決定的な差や微妙なニュアンスの違いがあるのだろうか。日比谷公園は好きだけど代々木公園は好きじゃないとか、その逆とか。
 観光客の私が両方行った印象としては、どちらもどことなく似た印象で、それぞれの特徴が掴めなかった。いまだにあまり区別がついていなかったりもする。両方の公園を思うとき、なんだか学生時代の紛らわしい暗記物を思い出す。遣隋使と遣唐使はどっちがどうだったかだとか、大坂夏の陣と冬の陣はどっちが先だったかとか、それくらい区別をつけるのが難しい。私の中では、松本楼がある方が日比谷で、ない方が代々木公園と覚えている。
 東京に住んでいて何度も行っていれば、まったく別物なんだろうけど、一回行っただけではよく分からなかった。覚えているのは、どちらもやたら広くて、滅茶苦茶人が多かったということだけだ。いい天気の休みの日ということで特に賑わっていたのだった。
 上の写真は、公園の外で、早くもこの大人数。年に一度の祭りでも行われているのかと思ったら、いつもやってるフリーマーケットだった。フリマにこんな人だかりができるあたりが東京ならではだ。東京は何かを発信する人も、それを受け止める人も無闇矢鱈に多い。たとえば、名古屋の路上でライブをしている特異な人がいたとして、名古屋人はほとんど見て見ぬフリをして通り過ぎる。東京では何組もストリートライブをしてるグループがいて、それを一般の人たちがたくさん立ち止まって聴いているのだ。東京人って意外とヒマな人が多い。名古屋の私の感覚からすると、東京人には違和感を覚えることが多い。昼ご飯を食べるのに行列で待つなんてのも信じられない。

代々木公園風景-2

 代々木公園野外ステージ。代々木公園の外で路上ライブをしているメンバーにとっては、ここは近くて遠いステージなのかもしれない。
 1985年、デビュー2年目の尾崎豊が、「Last Teenage Appearance」で3万人を集めたという代々木オリンピックプールを探したけど分からなかった。NHKホールがある方だったんだろうか。ここでも一つややこしいのは、第一体育館と第二体育館とあって、代々木オリンピックプールはそのどちらかなのか、どちらでもないのか、どうなんだというのがある。あと、国立代々木競技場というのがあって、神宮外苑にも国立競技場があって、一体どっちがどっちなのやらこんがらがってくる。国立競技場といったらどっちを指すんだろう? やっぱり外苑の方なんだろうか。そもそも二つも国立競技場があるなんてことは代々木公園へ行って初めて知ったことだった。と思ったら、国立西が丘競技場というのもあるらしい。代々木公園の迷宮にはまり込んでしばらく抜け出せそうにない。

代々木公園風景-3

 いよいよ公園の中に入った。うわっ、人多っ! と思わず小さく叫んでしまった。だだっ広いから混雑してはいないのだけど、見渡す限り小さく無数の人が見える。野鳥の会の会員でも人数を数えるのに手こずりそうだ。
 みんな木陰を選んで座り込んで何をしてるというふうでもないのが不思議な光景に映る。お弁当を食べるわけでもなく、花見するには花もなく、観光に来ているという感じでもない。観光地のようでありながら決定的に何かが違っている。しいて言えば無目的感が強いとでも言おうか。日頃忙しくしている東京人にとっては、何もない公園で何もせずにぼぉーっとすることが贅沢な休日なのかもしれない。
 私は貧乏性だから、何もせずに長時間ただ坐っているのはつらい。坐るなら坐るだけの理由がないと。疲れたから休むとか、弁当を食べるとか、何かを見物するとか、最低限それくらいの必然性が欲しい。これはきっと田舎者の感覚だ。田舎の人は道ばたにぼんやり座り込んだりしていない。そんなことをしてたら通りかかった人が心配してどこか具合が悪いのかと訊ねてくる。田舎の人間は意味もなく散歩やジョギングをしたりもしないのだ。

 代々木の森は明治神宮を建てるときに作った人工の森だったと、明治神宮のときに書いた。代々木公園は代々木の森の中にあって、明治神宮と隣り合わせになっている。ただし、明治神宮をしっかり管理するために、直接行き来することはできない。代々木公園へ行くにはいったん外に出なければならない。明治神宮は開園、閉園がはっきりしていて、夜間は入れないようになっている。天皇家の関係ということでさすがに警備は厳しい。代々木公園も一応閉園時間というのがあるようだけど、入ろうと思えばどこからでも入れそうだ。ただし、深夜はかなり怖そう。事件も起きているし、こんな森深いところでは迷子になりかねない。
 東京は怖いところだとずっと思っていたけど、時と場所を選べばそうではないことが分かった。昼間、人の多いところなら他の街と危険度は変わらない。けれど、夜になると場所によっては恐ろしげなところも確かにある。それは必ずしも繁華街だけとは限らない。むしろ明るい繁華街は女の子が一人でも平気で歩いてるからけっこう安全のようだ。
 それにしても、朝の5時くらいから開店してる店がたくさんあるというのも、やっぱり東京ってヘンなところだなと思う。

代々木公園風景-4

 公園の中央には池が3つあって、大小3つの噴水が30メートルの高さに水を噴き上げている。これは比較的新しい施設で、1990年(平成2年)にできたものだそうだ。夜間はライトアップもされるとか。
 けど、この池の水がやたら汚い。何か変なものが浮いてるし、水も濁っている。風向きによっては噴水の水が風に乗って飛んでて水浸しになる。私たちもベンチに座っていたら水がかかって、慌てて逃げ出したのだった。ありゃたまらん。池の水はもっときれいにならないものだろうか。
 代々木公園には災害対策用の給水施設があって、何かあったら都民はここに水をもらいに来るといいそうだ。あの池の水だけは飲みたくないけど。

代々木公園風景-5

 雑木林は不思議な造形美を見せていた。秋になるとここは紅葉名所となって、林は一面赤や黄色に染まるという。イチョウの黄色い絨毯は見応えがありそうだ。秋になったらまた写真を撮りに行こう。
 春は桜も楽しめる。ここは広くて宴会場には事欠かないからさぞかし賑わうのだろう。
 樹木は、モミジ、クスノキ、黒松、ケヤキ、サルスベリ、ハナミズキ、モクレン、ユリノキ、キンモクセイなど、1万本を超えるそうだ。季節の花もあれこれ咲く。
 見本園では、東京オリンピックに参加した国のうち22ヶ国が国の木の種を持ってきて植えていったものが成長して今立っている。

 江戸時代、この場所は大名や旗本の屋敷が建ち並んでいた場所だった。
 1910年(明治43年)に日本帝国陸軍の徳川好敏大尉が、日本で初の飛行に成功したことから、この地は陸軍代々木錬兵場となった。その時の飛行は、高度70メートル、距離3,000メートルだったそうだ。
 敗戦の1945年(昭和20年)、アメリカ軍に取り上げられて、米軍の宿舎が作られた(ワシントンハイツ)。
 その後日本に戻され、1964年に東京オリンピックが開かれたとき、ワシントンハウスは選手村として活用されることになる。公園のまわりに国立代々木競技場やNHK放送センターなどが作られたのもこのときだった。
 公園として一般公開されたのは、1967年(昭和42年)。東京23区内では4番目に広い公園となっている。
 井の頭通りをはさんで噴水がある北側の森林ゾーンをA地区、スポーツ施設やイベントホールなどがある南側をB地区と呼んでいる。間には歩道橋がかかっている。
 公園内の施設としては、サイクリングコース(レンタル自転車あり)、犬を放し飼いにできるドッグラン、日本初の野鳥の聖地バードサンクチュアリなどがある。遊べるようなものはほとんどないので、ここへ行くときは時前で遊び道具を持っていかないといけない。バドミントンとか、ボールとグラブとか、羽子板とか、ゲイラカイトとか。
 飲食店は、B地区の方にたくさんの出店が出ていた。週末だけかもしれないけど。

代々木公園風景-6

 唐突に立っている「閲兵式の松」。代々木練兵場時代、ここに明治天皇を迎えて閲兵式が行われていたことからそう呼ばれている。はずれの方なので、こちらまで訪れる人は少ない。かたわらではメリケンさんの二人が水着で日光浴をしていた。歴史を知ってか知らずか。

代々木公園風景-7

 公園の片隅に、ポツンと取り残された選手村の宿舎跡があった。オランダの選手が使ったものらしい。オランダ人は大きいから、こんな小さな宿舎では狭かったんじゃないだろうか。当時、何人くらいオランダ人選手が来てたんだろう。
 私たちが訪れたのは先月なので、今は手前の花壇の顔ぶれが変わっていると思う。

代々木公園風景-8

 公園にいた人を恐れない茶トラ野良。いい表情をしてる。元近鉄の金村みたいだなと思った。私の好みのタイプの猫だ。ふてぶてしい顔をした茶トラが一番好きだから。
 こんな広い公園でもお世話係の人がいるんだろうか。どこにも猫おばさまはいるから、きっと大丈夫なのだろう。体つきも毛並みもよかったから、メシに困ってるような感じはなかった。人なつっこいし。

 代々木公園に行って、帰ってきて調べて、こうして書いてはみたものの、どうにもとらえ所がない。都民の憩いの場というのは分かるのだけど、みんな何をしに代々木公園へ行くんだろう。ストリートパフォーマンスをするとか、フリマをのぞくとか、子供を遊ばせに行くとか、犬の散歩にいくとか、はっきりしてる人ももちろん大勢いるのだろうけど、何もしてないように見える人の数の多さに圧倒されて、私の中で判断停止になってしまった部分がある。
 駅でいえばJR山手線の原宿駅になる。原宿へ用事に行ったついでに代々木公園で休んでいくというパターンもありなのか。明治神宮前駅や代々木八幡駅なんかもあって、交通の便がいいから人が集まるというのもあるだろう。もう一度行ってみればもっと分かることがあるのだろうか。
 私にとっての代々木公園は、なんとなくつかみ所のないところだ。代々木公園を知らない人に代々木公園を説明しようとすると口ごもってしまう。広くて人が多いところでは説明を受けた方もイメージがわかない。特徴のない広い公園と言えばそうなのかもしれない。興味のある人は一度行ってみてくださいと逃げを打って、私の代々木公園レポートは終わりとなる。
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コメント
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私は「東京の人」なので
この日記面白く読ませていただきました。

ほかも町の人はこう感じるんだぁ~!と。


代々木公園に定義や目的を求める東京人はいませんよ。
ただ単に、休日にのんびり過ごしに行く緑の多いところ
だったり、子供や友達と憩いに行く場所でもあるし、
ひとりお散歩する場所であったり。

だから、理解とかそういうことではないのです。
感覚なのかな?

で。
「原宿へ用事に行ったついでに代々木公園で休んでいくというパターンもあり」なのです。

2010-02-03 07:05 | from 真弓の実

何もない贅沢

★真弓の実さん

 こんにちは。
 真弓の実さんは東京の人だったんですね。
 東京もここ2、3年であちこち巡り歩きました。
 まだまだ回りたいところもあるんで、また行かなければ。

 代々木公園は、よそ者から見ると、なんとなく捉えどころのない不思議な感じでした。
 どういうところだったかと人に訊かれたら答えるのが難しいというのか。
 都心であれだけ広くて何もない空間が、東京では貴重な存在なんでしょうね。
 でも、東京って意外と広いところがたくさんある。
 御所とか新宿御苑とか。

2010-02-04 01:38 | from オオタ | Edit

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