
「ヒットに殉じる」
作曲家・筒美京平が語った言葉だ。
その言葉は強くて重い。
「僕は自分の音楽性なんてことは言わない」とも語っている。
ここまで潔く自分を捨てることができたのは、自分が作る音楽に対して絶対的な自信を持っていたからだろう。
自分の作品に自信がない作家は自己表現に堕してしまうから詰まらないものしかできない。
筒美京平の言葉は物作りに携わる人間だけにとどまらず、すべての人にとっての指針になり得るものだ。
それはつまり、世の中に対して良いものを提供しようという姿勢だ。必ずしも形あるものに限らない。
自分のことなどどうでもいい。この世の中に対して何ができたかでその人間の価値は決まる。
自分がどうありたいかではなく、自分には何ができるだろうと考える必要がある。