ちょっとついでのつもりで寄った光則寺でガクアジサイを堪能する

鎌倉(Kamakura)
光則寺-1

PENTAX istDS+smc PENTAX-DA 18-50mm(f3.5-5.6 AL), f8.0 1/50s(絞り優先)



 長谷寺で整理券をもらったあと、1時間の待ち時間を利用して、近くの光則寺(こうそくじ)へ行くことにした。こちらはややマイナーな存在のお寺ということで訪れる人もさほど多くない。庭のアジサイをゆっくり見て回ることができる。長谷寺から歩いても5分くらいで、写真を撮りながらアジサイを見て回って30分ほどなので、あちらの待ち時間を使うには最適なところだ。拝観料はセルフで100円。

光則寺-2

 もともとは鎌倉幕府第5代執権北条時頼の重臣だった宿屋光則の邸宅があった場所で、のちに日蓮に帰依した光則が屋敷を改築して建てたのが光則寺だ。
 日蓮が幕府を批判した意見書『立正安国論』を、寺社奉行だった宿谷光則と父の行時の手を経て時の執権北条時頼に渡されたことから(1260年)、ここに『立正安国論』の石碑が建っている。しかし、日蓮のやり方は無謀だった。鎌倉で流行ってる疫病や飢饉や災害などの原因は幕府が禅宗などにうつつを抜かしてるからで、それをやめないとますます国は乱れて権力者は早死にするぞなんてことを書いた文章を堂々と正面から送りつけたのだから、タダで済むはずもない。激しい迫害を受けて、とうとう1271年に佐渡に流罪となってしまった。
 弾圧は弟子にも及び、弟子だった日朗上人と4人の信者は、ここ光則寺に幽閉されることとなった。そのとき入れられていたという土牢が今でも裏山に残っている。監視の任に当たったのがこの屋敷の主人宿屋光則だった。ただし、ずっと牢に閉じ込められていたわけではなく、日朗上人は佐渡の日蓮に会いに7回も佐渡に行っているところから、わりとゆるやかな軟禁状態だったようだ。自分が流されても弟子を気遣う日蓮の姿勢に感銘を受けた宿屋光則はやがて日蓮宗の信者となり、屋敷を光則寺にしたのが1280年頃のことだった。自らの三代目の住職を務めている。
 日蓮は1274年に許されて、鎌倉を経由して、山梨県の身延山に入った。そこで久遠寺を創建している。53歳から9年間その地にとどまり、病を治療するため茨城に湯治へ行く途中、東京の池上(大田区で現在本行寺が建っている)で体調を崩して生涯をを終えることになる。遺言によって身延山に埋葬された。

光則寺-3

 光則寺のアジサイは、原種のガクアジサイか、原種に近いものがほとんどで、観光客向けというよりも住職が趣味で育てているような印象を受けた。境内の小屋にはリスとクジャクがいたりもして、あとから考えるとちょっと面白いお寺だった。アジサイには写真付きのネームプレートもかかっていて、その写真も住職が自ら撮ったものらしい。そのへんからしても、ここが趣味の庭的なアジサイなんだと思う。珍しい品種も多くて、他のメインどころとは違った面白さがあった。
 名前はいちいちメモ撮りしなかったからまったく覚えていない。アジサイの場合、バラとは違って名前はまあいいかと思ってしまう。再現性がないというか、アジサイ自体あまりあちこちで見る機会がなくて、他の場所で同じ種類のアジサイと出会う確率も低いから、頑張って覚えようという気になれない。
 アジサイの品種は、全部で500種類以上あるといわれている。日本産のものが100種類以上、西洋で改良されたものや逆輸入されたものもあって、はっきりと品種名が分からないものもある。バラのように系統立っていないのかもしれない。

光則寺-4

 原種の他に雑種や園芸種なども混ざっている。プレートには産地と名前が書かれているのだけど、それはその地で品種改良されたものなのか、その場所で見つかった原種のアジサイなのかはよく分からない。中には「園芸品種?」と書かれたプレートもある。そんな問いを私に投げかけられても困ってしまう。

光則寺-5

 鉢植えが多い中、このように直接地面に植えられた大きなものもある。このアジサイは特に見事だった。形からするとこれは西洋アジサイだろうか。淡いピンクとブルーが一本の木から出ていて、遠くから見るとティッシュで作った飾り物の花みたいに見えた。ネピア的アジサイ。

光則寺-6

 八重咲きのようなガクが密になった、変わったタイプのアジサイ。清楚なピンク紫が美しい。
 アジサイはアップで撮るとアジサイらしくなくなってしまうことが多いのだけど、これはアップがよく似合う。

光則寺-7

 これはアジサイだったのかそうでないのか。ソフトクリームのような形に咲いている。葉っぱもアジサイらしくなかったから、違う花かもしれない。

光則寺-8

 上品な青のガクアジサイ。ガクが四つ葉のクローバーのよう。
 よく知られているように、アジサイの花びらに見えるような部分は飾り花で、実際の花は中心の小さい部分にある。ガクがどうしてこんなに美しくて大きくなったかといえば、やぱり受粉のために虫たちを惹きつけるためなのだろう。けど、アジサイに虫たちがたかっている姿はほとんど見ない。花に匂いもないし、これじゃあ虫たちも寄ってこない。じゃあどうしてるんだろうと思ったら、自家受粉もするようだ。で、受粉すれば種もできて、その種を取って蒔いたり、地面に落ちればまた新しい芽が出てくる。アジサイの品種改良の原理は単純で、違う花同士で受粉させてうまくいけば別の種類のアジサイが生まれてくる。定着させるのは難しいのか簡単なのか。土壌によっても色が変わるから、アジサイ作りは思うようにいかないのかもしれない。逆に言えば何色が出てくるか分からない面白さというのもありそうだ。

光則寺-9

 登る石段の脇にもアジサイが植えられていて、ちょっと明月院風でよかった。
 境内には全部で150種類ほどのアジサイがあるようで、思いがけず楽しませてもらった。長谷寺の待ち時間でついでに寄るのが失礼なほど、ここはここで充分堪能できる。待ち時間があってもなくても光則寺はおすすめだ。
 長谷ゾーンとしては、アジサイの季節なら長谷寺を中心に、光則寺と御霊神社の3点セットがいい。大仏を見たことがなければ、高徳院まで足を伸ばしたい。隣駅の極楽寺駅ゾーンにも極楽寺と成就院があって、そちらまで歩けない距離ではない。ただし、今年は成就院のアジサイが全滅してるのでそちらまで行くまでもないだろう。極楽寺もアジサイはあるようだけど境内撮影禁止では仕方がない。
 けっこういい時間になったところで、我々は長谷寺へ戻ることにした。
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コメント
  • 2007/06/20 21:48
    オオタさん、光則寺の紫陽花もステキですね
    私は、八重の紫陽花がとっても気に入りました
    咲き方もピンク紫な色もとっても可愛いですね
    写真がとても愛らしく撮れています

    すぐ下のソフトクリームのようなお花は柏葉紫陽花です
    我が家にもまだ2年目で小さい柏葉紫陽花があります
    朱花ということで通販で買いましたが、何故か今のところ白花です

    上品な青のガクアジサイも、シンプルでとても綺麗ですね・・・好きです!!

    オオタさんも薔薇がお好きなのですね
    私は、切花加工のパートをしているので色々なお花を扱うのですが、今日は5000本の薔薇を加工しました・・・ビックリするでしょ!!v-405
    色々な薔薇を見れるのは嬉しいけれど、やっぱり棘が刺さって痛いです
    おまけに、薔薇の名前を覚えるという余裕すらない忙しさなんですよ・・・苦笑

  • アジサイの微妙な世界
    2007/06/21 04:08
    ★miyaさん

     こんにちは。
     光則寺は長谷寺の待ち時間なければ行っていたかどうか分からないんだけど、行けてよかったです。思いがけず変わったガクアジサイをたくさん見られて得した気分。
     アジサイっていうと、ほとんどが園芸種って思っていたらそうでもないんですね。原種でも自然交配でいろんな変種や雑種が生まれてるんですね。知らなかった。

     色はホント、多彩ですよねぇ。
     バラもそうなんだけど、アジサイも微妙なニュアンスによっていいと思ったりそうでもなかったりして面白い世界でした。
     同じ青や紫でもちょっとした違いでずいぶん違ってくるもんですね。

     白い変わった形のは、そうそう、柏葉って書いてありました。思い出した。ありがとうございます。(^^)
     なんとなく相撲取りの親方っぽい名前だなぁとは覚えてたんだけど(笑)。

     それにしても、一日5,000本の切花加工ってのはすごいですね。(^^;
     トゲが大変そう。(>_<)
     いちいち名前を見て覚える場合じゃないですね。
     これなんて名前ですかなんて訊いてたら作業が止まってしまいますもんね。(^^;

     バラもアジサイも終わって、次は何かなぁ。
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