
人は欲を原動力として生きている。
自分は欲深くない人間だと思っても、たとえば他人の幸せを望めばそれは欲となる。そもそも、生きているということが生きることを欲しているということだ。
他の生きものを食べなければ生きていけないし、それは菜食主義者であっても同じだ。
即身成仏という究極的な生き様を選んだとしても、それは他者を救いたいという欲から発している。
人はどこまで行っても欲からは逃れられず、欲を完全否定してしまえば身動きが取れなくなる。息をすることさえできない。
人間は欲と共に行くより他に道がない。欲に振り回されず、欲と上手くつき合っていくことが最善ではなくても次善の策だ。
その舵取りは誰にとっても難しい。
この世界が神の欲から成り立っているとすれば、我々もまた欲を否定する必要はないということかもしれない。