天国

空(Sky)
光の帯

 天国なんか目指しても仕方がないと思っているとしたら、それはちょっと考え直した方がいいかもしれない。

 天国には何があるか? 天国にはこの世を去った人たちがいる。
 たとえば天国プロ野球。天国ドラフトで川上と沢村は別のチームに分かれて対戦しているかもしれない。
 4年に一度の天国ワールドカップや天国オリンピック。
 天国F1ではアイルトン・セナとジル・ビルヌーブとニキ・ラウダが天国サーキットでバチバチにやりあっていたり。
 天国紅白歌合戦もあるだろうし、天国ウッドストックではジョン・レノンとプレスリーと尾崎豊が同じ舞台で歌っているかもしれない。
 天国図書館には太宰治やサリンジャーの読んだことがない作品がたくさん揃っているだろう。
 天国映画ではどんな競演が実現しているのか。
 芸術・学術方面でもそうそうたる顔ぶれだ。天国サロンでは彼らが夜な夜な語り尽くしている。
 戦いが好きな連中は相変わらず東西に分かれて合戦をしているのだろう。

 あらたに死んだ人間はあの世で新人として迎えられる。優れた人間は10年の一度の大型新人や平成最初の怪物などといった扱いで大歓迎されるに違いない。

 どうだろう、天国に行ってみたくなったんじゃないだろうか?
 天国に行くには天国にふさわしい人間になる必要がある。善良であるだけではなく、何か手土産も必要だろう。
 天国を天国たらしめているのは場所ではなく人なのだ。
 
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