新出来のムクノキはまだ元気

新出来のムクノキ

 出来町通り沿いの歩道に一本の大きな木があって、道路側にはみ出しそうになっている。この道を走ったことがあるなら、街路樹として植えたにしては不自然すぎる状況に違和感を抱いた人も多いのではないだろうか。
 場所は白壁交差点と中産連ビル前交差点の中間、道路の南側になる(地図)。金城学院高校の北と言った方が分かりやすいだろうか。



新出来ムクノキ説明板

 脇に説明板が立っていて、それを読むとどういうことか理解できる。
「このムクノキはかってここにあった民家の庭で、神木『白龍さん(白ヘビ)の住む木』としてあがめられていた。
 その後、この道路(新出来町線)を現在のように拡幅する際、民家と共に移転や伐採の対象となった。
 しかし、神木をどう扱うか検討した結果、昭和45(1970)年、そのままの状態で街路樹として残して道路整備をすることとし、現在までその姿が残されることとなった。 名古屋市」

 前を走っている片側三車線(中央はバスレーン)の道路が民家だったといわれてもピンと来ないと思うけど、かつてここは名古屋城下の武家屋敷が集まっていたところで、東西の幹線道路というものはなく、碁盤の目状の町並みだった。
 今昔マップの明治中頃(1888-1898年)のものを見ると、江戸時代から明治にかけてのこのあたりの様子が見てとれる。
 その後、ここを市電が走るようになった。大正から戦前、戦後にかけてのことだ。
 その市電が戦後に廃止となり、その線路跡を再整備して作ったのが出来町通りだった。説明板にあるように昭和45年なので、現在60代以降の名古屋人ならそのあたりの変遷を覚えているのではないかと思う。
 白壁一帯は空襲の被害が少なかったため、武家屋敷の名残が残り、名古屋市の町並み保存地区に指定されている。



新出来ムクノキ見上げる

 名古屋市内にはクスノキ(楠木)の巨木はけっこうある。熱田神宮や南区の村上社、瑞穂区の田光神社など、神社の御神木となっているものが多い。
 しかし、ムクノキの巨木は少なく、出来町通りから少し南に入った主税町にあるムクノキとともに名古屋を代表するムクノキとなっている。
 樹齢に関する情報がなくてはっきりしことは分からないのだけど、100年以上、もしかすると数百年単位だろうか。

 車通りの多い道沿いにありながら今も元気に育っている。さすがに白蛇はもういないだろうけど、白龍神の魂は宿っているかもしれない。
 通りを走ってこのムクノキが目に入ったら、名古屋の街の変遷と白蛇に思いを馳せてやってほしい。

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