
名古屋市西区枇杷島に清音寺(地図)というお寺がある。
平清盛によって尾張国井戸田に流された太政大臣・藤原師長と横江村長の娘との悲恋を伝える寺として知られている。
政争に敗れた師長が井戸田に流されてきたのは平安時代後期の1179年だった。
太政大臣といえば政界トップの地位にある人間で、そんな高位の人間が村娘と恋に落ちるだろうかという疑問はあるものの、琵琶の名手だった師長は、許されて都に帰る際、娘に白菊の琵琶と薬師如来を渡して去っていった。
別れを悲しんだ娘は、白菊の琵琶を抱いたまま池だか川だかに身を投げて亡くなってしまう。
それを憐れんだ村人たちが娘を弔うために建てたのがこの清音寺だという。
枇杷島の地名はここから来ているなどという説もある。
この話は江戸時代にもよく知らていたようで、『尾張名所図会』(1844年)の中でも「枇杷島の古事」という絵とともに紹介されている。
もう少し詳しいことは神社サイトの嶋川稲荷社のページに書いた。

入り口に「御嶽開山 覚明行者剃髪道場舊跡」と刻まれた石碑が建っている。
御嶽教の開祖、覚明霊神がこの寺で修行をして剃髪したという。
そのあたりについては神社サイトの御嶽社(枇杷島)のページに書いた。



【アクセス】
・名鉄名古屋本線「東枇杷島駅」から徒歩約7分
・駐車場 あり
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