
Canon EOS Kiss Digital N+EF50mm(f1.8 II), f1.8, 0.4s(絞り優先)
生き物は色が大切だ。ただ色が違うというだけで、その印象は大きく違ってくる。人から見て、カラフルできれいな生き物は好ましく、地味な生き物はかわいくない。ただしそれは、生き物の側からすると事情は違ってくる。好きで原色になったわけでもないのに、色がきれいというだけの理由で人間に捕まってしまう。派手な色をしてるほどより不幸になる確率が高くなるというのは、生き物にしてみたら理不尽でしかないだろう。人間も動物も、何が幸いして何が災いするかは分からない。美人がいつも幸せになれるとは限らないように。
日本人にとってもカエルは、一般的に冴えない生き物という認識だと思う。ヒキガエル、ツチガエル、ウシガエル、トノサマガエル、どれもみんな華やかさに欠ける。唯一アマガエルはきれいだけど、他は深緑や茶色や褐色で、あまりかわいげがない。けど、世界のカエルは色も姿も多種多様で、特に暑い地域にすんでいるものは鮮やかな色をしているものが多い。ただのカエルも色付きになるだけでかわいく見えるから不思議だ。
上の写真の赤いのは確か、トマトガエルだったと思う(プレートをメモ撮りしてないので間違えてるかもしれない)。もしそうなら、文字通りトマト色をしているからその名が付けられたということだろう。サビトマトガエルというやや濁った色のトマトガエルもいるそうだ。これはそちらかもしれない。
マダガスカルに生息しているカエルで、でっぷりした体つきで、動きは鈍い。カエルのくせにジャンプもほとんどせず、指先の吸盤もない。たいては地中や落ち葉の下などに半分もぐってまったりして過ごす。敵に襲われると、逃げるのではなく体を膨らませて威嚇する。動くのが根っから嫌いらしい。

これはモリアオガエルだったろうか。本州と佐渡島にいて、四国、九州はいるようないないようなはっきりしていないらしい。
指先に吸盤があって、木の上とかもスイスイ登っていく。
地方によって個体差があって、前身が緑色一色のタイプと、目立つ褐色のまだら模様が入るやつがいる。
と、ここまで書いて、こいつはシュレーゲルアオガエルかもしれないと思い始めた。だとしてもそれは日本固有種で、本州、四国、九州に分布している日本産のカエルだ。虹彩が黄色いのがシュレーゲルアオガエルの特徴というから、やっぱりそうだろうか。モリアオガエルなら光彩は赤っぽいらしい。
日本のカエルなのに、名前はオランダのライデン王立自然史博物館館長だったヘルマン・シュレーゲルから取られている。シーボルトが日本で収集した生き物を研究した動物学者だったそうだから、その中にこのカエルも入っていたのだろう。
昔から馴染みのいわゆるアマガエルは、ニホンアマガエルが正式名で、これもよく似ている。カエルもけっこう種類が多くて見分けが難しい。
昔は雨上がりの学校帰りによくアマガエルなんかを見たけど、最近は道を歩いていてもカエルなんてまったく見なくなった。カエルが自由に暮らす空き地は、街中にはもうなくなってしまった。

こいつは笑った。ものすごいでっぷりした体つきで、巨体の関取みたいなベルツノガエル。これは後ろ姿だけど、前から見てもそのふてぶてしさは他のカエルを圧倒する。
カエル好きの間では知らない者がいないほど有名だそうで、飼っている人も多いという。外で嫌なことがあっても家に帰ってきてこいつを見たら吹き出してしまって、いい意味で脱力感に襲われそうだ。
アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル南東部あたりにいるやつで、発見者の名前であるベルと、頭にツノ状の突起があるところから名づけられた。
体色と模様は個体差が大きくて、必ずしも緑色ではなく、赤っぽいのや褐色っぽいのもいる。一体いったい違う体をしてるところもペットガエルとして人気が出た要因のひとつとなっているようだ。
これだけの体をしていたら重たくて動けないだろうと思いきや、太ったゴールキーパーのように意外にも動きは素早い。普段は葉や泥の下でぬーぼーとしていて、目の前を何かが通りかかると瞬間的に飛びかかって食ってしまう。でっかい口でとりあえずくわえてみて、食べられないと分かったら吐き出す。食べられるものなら何でも食べる。昆虫やトカゲ、ネズミの他、小鳥や小動物、ときにはヘビまで食べるというからすごい。動くものは全部エサと思っているらしい。飼う時は、自分が食べられないように気をつけなくてはいけない。うかつに前に手を出すとパクっといかれるかもしれない。
活発に動くのは雨季で、乾季の間は地中で休眠する。食べるか寝るかなので、そりゃあこんな体にもなってしまうというものだ。
カエルをペットとして飼うというのは、これまで考えたことがなかったけど、そんなにおかしなことではない。熱帯魚以上トカゲ未満、友達以上恋人未満のペットとして、女の子をうちに呼んでもたぶん大丈夫だ。は虫類よりもひかれないと思う。
種類によっては飼育はそれほど難しくないようだし、そこそこ年数も生きる。じっとしていてもその姿はおかしみがあって愛着もわきそうだ。鳴くといっても1匹や2匹ならそれほどうるさいということもないだろう。田舎のウシガエルの大合唱とか違う。
日本産のカエルなら今でも田んぼへいけばいそうだし、外国産は外観がペットにふさわしい。高いものは驚きの値段なんだろうけど、そのあたりは熱帯魚でも同じだ。水槽も小さいものでいいし、掃除や水替えも熱帯魚よりずっと楽そうだ。なんか、ちょっと飼ってみようかという気になってきた。いきなりベルツノガエルはきつそうだから、もっと小型でかわいいのがいい。トノサマガエルとかもやめておこう。
まずはもう一度東山動物園の自然動物館で世界のカエルをじっくり見てくることにしよう。前回はざっと流してしまって、名前も確認してなかった。次は飼うことを前提に、お気に入りを探す。
青柳の「かえるまんじゅう」のふたをくり抜いたお面を頭にかぶせて、ゲロゲーロと鳴きながら東山自然動物館のカエルコーナーの水槽にはりついているかえるクンがいたら、球児? と問いかけてみてください。そうだよ、好児と答えたら、それはまず間違いなく私です。カエル談義に花を咲かせましょう。