今年最後は布池教会で反省なき締めくくりと来年への思い

教会(Church)
大聖堂内部




 布池教会の中に入るのはその日が初めてだった。
 重い扉を静かにそっと開いて、おそるおそる中をのぞき込む。大聖堂の内部は静まりかえり、木の椅子に腰を下ろしている人の姿が数人確認できた。どうやら入っても大丈夫そうだ。ちょっとおじゃまします。

 名古屋市千種区にカトリック布池教会。高い二本の尖塔がそびえ、このあたりのランドマークになっている。
 クリスマスイブの日曜午後、ミサを終えた礼拝堂は夜のクリスマスキャンドルまでの間、しばしの休息に入っていたらしい。私たちも椅子に座ってしばらくの間、そこで過ごすことにした。クリスチャンでも仏教徒でもないけれど、教会は無神論者も受け入れてくれるところだ。
 見上げるとアーチ型を描く天井がとても高い。正面上部にはイエス・キリスト十字架のステンドグラスがはめられ、光を通して鮮やかな色彩を放っている。振り向くと二階には大きなパイプオルガンがあるのが見える。以前どこかで、その音色を聞いたことがある。それは遠い記憶を呼び覚ますような懐かしい音だった。
 大聖堂の中の空気感をどう表現すればいいだろう。神聖という言葉は逆に安っぽく、厳かというほど重たく暗いものではない。ひんやりしているけど暖かくて、硬質だけど堅苦しくはない。濃密な空気に全身が包まれて守られているような安心感を覚える。思った以上にここは居心地がいいなと思った。一度坐ったらもう動き出せないような気さえしてくる。たった壁一枚でこれだけの空気を閉じこめることができるのはどういうことだろう。外界とは明らかに異質の空気が支配する、まさにここは異空間だ。
 ひとつには人間の善良な部分で成立しているということがあるだろう。悪い人間はほとんど入ってこない場所だし、少しくらいの悪い想念もここでは簡単に浄化されてしまう。あるいは、祈りの念が空気に重みを与えているのだろうか。
 大聖堂というのは、他のどの場所の空気感にも似ていない特別なところだ。特に布池教会はそれが色濃いように思う。ここを訪れて心地いいと感じれば、それは善良な側に属している証拠と言っていいのではないか。人が人を選ぶように、場所もまた人を選ぶ。



布池教会外観

 5階建ての鐘楼は地上50メートル。遠くからでも2本のとんがりがよく目立つ。東区の自慢のひとつだ。名古屋市の都市景観重要建築物にもなっている。
 ゴシック様式の建物は鉄骨鉄筋コンクリート造で、1962年(昭和37年)に建てられた。聖ペトロ・聖パウロ司教座教会とも呼ばれるカトリックの教会だ。
 司教座聖堂はカテドラル(Cathedral=大聖堂)とも呼ばれ、カトリック教会の中心を意味している。この布池教会は愛知、岐阜、石川、富山、福井県の名古屋教区の中心となっている。司教座のことをカテドラともいうので、なんとなくややこしい。
 日本のカトリック教会は16の教区があって、東京、大阪、長崎の三つの教会管区に分けられる。一般人は覚える必要のない知識だけど、自分の住んでる街のカテドラルくらいは知っておいてもいいかもしれない。
 場所は、東区の桜通と錦通に挟まれたやや奥まったところにある。最寄り駅は、地下鉄東山線の新栄町駅か、地下鉄桜通線の車道駅で、それぞれ歩いて10分くらいだろう。高い尖塔を探しながら行けば見つかると思う。車の場合は、道一本隔てた東側に小さな無料駐車場がある。



布池教会前の人々

 教会前の人々。若いカップル、写真を撮る人、塔を見上げる人、結婚式の説明を受ける二人。ここは名古屋で一番大規模なカトリック教会結婚式を挙げることができるところでもある。最大参列者数は700人だとか。それだけいっぱいにするには芸能人か財界人でもないと難しいかもしれない。
 平日20名で54万円というのか高いのか安いのか、私にはまったく見当がつかない。これがどこまでのコースなのかもよく分からない。もしかしたら、披露宴まで含めての金額なのだろうか。結婚式の終わりには白い鳩が飛ぶらしいから、鳩代ってことも考えられる。その鳩たちはちゃんと小屋に戻ってくるんだろうかなんてことが気になったりならなかったり。
 値段はともかく、本物の教会で結婚式を挙げたいカップルには断然おすすめできる。結婚式場の教会とは全然違うはずだ。もう少し規模が小さくてもいいなら南山教会もあるけど、名古屋で一番といえばやはりここだ。神前で名古屋一となると熱田神宮会館ということになるのだろう。
 日本の場合はカトリック教徒でなくても教会で結婚式はできる。ただ、結婚準備講座というものに参加しなくてはならないようだ。

 大聖堂の中で30分ほど過ごしていたら、少し人が増えてきてザワザワしだした。夕方からのクリスマスキャンドルの準備も始まったので、おいとますることにした。非日常的空間から日常へ。扉を開けた向こうには、いつものざわついた街の音がして、私たちは一瞬にして夢から覚めた。けど、やはり私たちが生きるのはこちら側だ。あちら側ではない。教会はたまに行くくらいがちょうどいい。一年に一度とかそれくらで。あちらが日常空間になってしまったら、ありがたみがなくなってしまう。
 今年最後の絶好の懺悔の機会だったけど、意外にも何も思うところはなかった。あの空間に身を置いただけで充分と思ってしまったところがある。反省するのはもう少しあとにしよう。今日が終わればまたすぐに次の年が始まる。
 今年一年、どうもありがとう。来年もよろしく。さよなら2006年、こんにちは2007年。
 
【アクセス】
 ・地下鉄東山線「新栄駅」下車。徒歩約8分。
 ・地下鉄鶴舞線「車道駅」下車。徒歩約10分。
 ・JR中央本線「千種駅」下車。徒歩約15分。

 ・無料駐車場 少数あり
 
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コメント
  • 幸せな贈り物
    2006/12/31 02:31
    オオタさま

    こんばんは。
    一年間、お疲れ様でした。
    毎回、楽しく読ませて頂きました。(^^)

    今年の締めが、私の大好きな、この教会だなんて、
    とてもステキなプレゼントをもらったみたいです。
    ありがとう・・・。*^^*

    この前の日曜日、はじめて訪れたのですが、
    教会の空気に、すっかり心を奪われてしまいました。

    来年も、頑張って書き続けてくださいね。
    きっと、毎回、誰かの心に、幸せな贈り物が届いているって思うから。(^^)

    では、また、らいねん・・・ん?(笑)
  • 書きも書いたり読みも読んだり
    2006/12/31 02:42
    ★maoさん

     こんにちは。
     お久しぶり……じゃないですね、全然(笑)。

     そうなんですよ、今年最後はやっぱりここかな、と。締めくくるには一番ふさわしいところのような気がして。
     これがタロとジロの南極観測船じゃちょっと違いますもんね(笑)。
     いやー、布池教会、よかった。しみじみ。
     毎日あんないいところばかり巡っていたら、かえって感覚が麻痺してしまいそうだけど、初めて行ったりたまに行ったりするといいですよね。
     maoさんにも喜んでもらえてよかったです。

     一年間読んでくれて、こちらこそお疲れ様でしたと言いたい(笑)。
     一体いつからこんなに長くなってしまったんだ!?(^^;
     最初の頃は、文章も短かったし、ササッと書けてたのに。
     来年はまさかこれ以上長くなることはないだろうと思うけど、またつき合ってくださいね。(^^)

     そんなわけで、また来年……というにはちょっと早いのか。
     でも、やっぱり来年ですね。
  • 2006/12/31 16:05
    いつも、読んでいて楽しいブログで
    自分が、旅行に行ってる気分で見ています・・
    来年も、いろんなところ見せてください・・・・

    P.S
      もこと漫才コンビは・・・・・
      (ノ≧ロ)ノ<嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌
  • 優しい~森には~♪
    2006/12/31 23:15
    熱田神宮会館の文字を見てから、この歌が頭から離れません(><)

    私もまったく宗教には関係ないけれど、教会はググ~~っときますね^^
    とっても素敵な教会ですよね。
    岡崎には大した教会って言う教会なんてないので
    返って結婚式場の教会の方が立派に見えるくらい(笑)

    教会は女の子の永遠の憧れですよね^^
     ↑
    憧れで終わりそうですねという突っ込みは禁止ですから!(笑)


    毎日素敵な写真をありがとうございました^^
    来年も行きたくなるような記事をお願いしますね^^

    よい年をお迎えくださいペコリ(o_ _)o))
  • 毎回長い
    2007/01/02 04:06
    ★ゆきさん

     こんにちは。
     毎日の長々とした文章につき合ってもらってどうもありがとうございます。(^^)
     私は書くのはどれだけ長くても平気なんだけど、書いたものを読み返すのがあまり好きじゃなかったりするんですよ。長すぎるだろう、とか思ったり(笑)。
     今年もますます長くなっていくんだろうか。自分でも不安だ。(^^;

     読んでもらった人が、少しでもそこへ行ったような気分になれるといいなぁと思ってます。
     今年はまた東京へ行くから、ゆきさんの馴染みの場所も出てくるかもしれないですね。
     自転車で風になってる人を見かけたら、小さな声で呼びかけてみますね。ゆきさん……? と。
  • やっぱり愛知県民
    2007/01/02 04:17
    ★もこさん

     こんにちは。
     やっぱり、愛知県民ですね。
     熱田と聞いて反射的に、優しい~森には~神話が~生きてる~♪
     この宇崎竜童の歌声が頭の中を流れてしまうとは(笑)。
     確かに、あれは耳に付いてますよね。(^^;
     その後、エンドレスは終わりましたか?

     教会のよさは、私も最近になって初めて知ったのでした。あれはいい空間ですね。
     もこさんも心地いいのなら、実は善良な人だったんですね(笑)。
     岡崎の教会事情は、家康とキリスト教の関係があるのかな。
     豊橋に豊橋ハリストス正教会ってのがあって、そこはぜひ一度行きたいと思ってるんですよ。もこさんちからならそんなに遠くないのかな。もし、あっちへ行くようなことがあったら寄ってみてくださいね。

     去年はこちらこそどうもありがとうございました。
     今年こそ、もっとアイの写真出しますんで(笑)。
  • 2007/01/05 16:47
    教会・・私は教会にはほとんど行ったことはありません。
    いや一回もないのかも・・結婚式場のしか記憶にない・・
    私は毎年お店のフィリピンの子達を初詣に連れて行きますが教会ではなく神社です。
    一回は実家の広島県の宮島の厳島神社に連れて行ってあげたいのですが
    とてもじゃないがそこまで大人数を連れて行こうとなると一苦労です。
    教会は死ぬまでにサグラダ・ファミリアに行ってみたいです。
  • 未知から既知へ
    2007/01/06 14:38
    ★ビアンキさん

     今日は普通、入ったことないところですよね。(^^;
     私も去年までは一度たりとも踏み込んだことのない未知の領域でした。
     でも、ふとしたきっかけで入ってみると、これが思いがけず心落ち着く空間だったのでした。
     特に人の少ない普通の日がおすすめです。

     フィリピンの人たちはクリスチャンが多いのでしょうか。だとしたら、教会は馴染みが深いところなんでしょうね。
     厳島神社は喜んでくれるでしょうか。私を連れて行ってくれたら大喜びなんだけど(笑)。
     厳島神社はいつか必ず行きたいところのひとつです。清盛神社も。

     サグラダ・ファミリアは永遠に完成しないと思っていたら、2022年とかに完成予定なんだとか。
     それはそれでちょっと寂しいなぁ。あそこはいつまでも建て続けていて欲しい。
  • 2007/01/08 02:47
    そうそうサグラダ・ファミリアは完成しそうなんですよね。
    あれは未完成・・・不完全であるとこがひとつの魅力ですからねぇ!
    見たいような見たくないような・・
    想像力をかきたてられるところが素晴らしいんでしょうね。
  • 未完の大器というけれど
    2007/01/08 23:27
    ★ビアンキさん

     サグラダ・ファミリアは完成させちゃダメだろうって思いますよね(笑)。
     ガウディもあの世で怒ってるかも?(^^;
     永遠に完成しないような感じだったのに、2020年とかだったらそんなに遠い未来じゃないですよね。
     行くなら、未完成のうちなのかな?
     完成したら何か決定的に変わってしまうんだろうか。
     なんにしても、一度は見てみたいですね。
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