
OLYMPUS E-M5 + Panasonic LEICA 25mm F1.4
名古屋と近郊で食パンをめぐる旅シリーズの一回目は、今年2016年2月のポルカ編から始まった。
まだ紹介していない店もあるし、一年を振り返るには少し早いのだけど、いったん締めくくりとして、現状でのお気に入り3店を勝手に発表することにしたい。完全に独断と偏見で、基本的に食パンのみを対象にしていることをあらかじめお断りしておきたい。必ずしもパンの味のみで決めたわけではなく、お店の雰囲気やお店の人との相性といったものも多分に加味されている。美味しいパンを焼いて並べているだけではいいパン屋とはいえないというのが私の考えで、接客も大切だと思うし、妙に強いこだわりを押しつけられても困ると思ったりもする。
今回紹介する3店は、自分と親しい人におすすめしたいお店という観点から選んだという言い方もできる。ちょっとしたおみやげとして持っていくならこの店で買っていくというパン屋だ。誰にでもおすすめできるかというとそこまでの確信は持っていない。あくまでも私が好きな食パンを売っている店ということになる。
まず最初は、やはり尾張旭市東山町にある「ポルカ」さんだ。
当面、ここのマイベストは動かないと思われる。だからこそ、むしろここを超えるパン屋と出会いたいとも思う。
旦那さんがパンを焼き、奥さんがお店でパンを売り、バイトも雇わず、支店も出さず、パン屋というひとつの世界観が一店で自己完結しているパン屋さんが好きだ。私自身がそういう世界に少し憧れているというのがあるのかもしれない。
パンの美味しさに関しては多くの人が高く評価しているので私があえて言うまでもない。食べログの愛知県のパン屋ベスト10に入っているような店の美味しさを熱く語るのはかえって恥ずかしい。でも、私の1位はスーリープーでも、ル・シュプレームでもなく、やっぱりポルカなのだ。

ポルカは売れ残るほどパンを焼かないので、夕方ふらりと立ち寄っても食パンが残っている確率はすごく低い。店の前を5回通って1回あるくらいだ。前日に予約すればもちろん好きなものが買えるのだけど、たまたま立ち寄ってたまたまあると嬉しいから予約はしない。
食パンの代わりとしてバゲットを買ってみた。
フランスパンは固いという思い込みがあるのだけど、ちゃんとしたパン屋で焼いているものは決してそんなことはない。トーストすると表面はザクザクで、中身はしっとりしていて口溶けがいいから固さは感じない。
少し塩気が強いかなという気がしたけど、旨みがじんわりあとからやってくる。食パンとはまた違った美味しさがある。

普通のクロワッサンがなかったのでチョコクロワッサンにした。
チョコの甘さがクロワッサン本体の評価を難しくしているけど、美味しいことは間違いない。
表面は適度なバッシリ感があって、中身はモチモチしている。これこそクロワッサンだ。ほどよく香ばしい。
クロワッサンめぐりはまだ始めたばかりだけど、しばらくはこれを基準としたい。

再びイギリス食パン。
ポルカで一番好きな食パンはデニッシュトーストなのだけど、あれはプレーンな食パンとは違う。何種類かある食パンの中で、イギリス食パンがもっともスタンダードということになるだろうか。
ふわふわのくたくたで、形を保てないくらい柔らかい。手に持って香りをかいで切り分けるだけで美味しい食パンの予感がある。
サクッとした歯ごたえと、モチッとした食感、すっと溶ける口どけのよさ。鼻から香る小麦粉の風味とほのかな甘さ。
値段もこのサイズで180円くらいと安い。食パンの良心と呼びたい。
それぞれ好みの食パンはあるだろうけど、一般消費者だけでなく同業者の人もここの食パンを食べてみてほしい。果たして何人のパン職人がここの食パンを超えるものを焼けるだろうか。
ポルカさんのブログ
お店の地図
12時~20時まで
月・火曜日 定休

続いては、日進市香久山の「ブーランジェリー匠」さん。
ここも夫婦さんでやられている小さなお店ということで好感が持てる。お店の雰囲気も好きだ。
最初に食べたデニッシュトーストがかなり美味しくて忘れがたい印象を残した。一緒に買ったもう一種類の食パンも美味しくて、実力の高さをうかがわせた。
もう一度確かめるべく再びお店に出向いていった。家からちょっと遠いのが難点だ。近ければもっとちょくちょく行きたい。

二度目の食パンは角食パンだった。デニッシュトーストはいつもあるわけではないようだ。
中身がぎっしりで持つと重たい。たまにこういうタイプの食パンがあるけど、珍しいといえば珍しい。
かなりもっちり食感で、独特だ。高級食パンという感じがする。香りと味は控えめながら、クセがなく、口溶けも申し分ない。
私は軽い食感の方が好きなのだけど、もっちり系が好きな人にとっては唯一無二の食パンとなり得るんじゃないか。もっちりしっとり系の完成形といってもいいかもしれない。
匠が有名店なのかどうなのかはよく分からない。日進市周辺のパン好きの人たちにはよく知られているのだろうけど、愛知全域で多くの人が知っているというほどではないように思う。だからこそ私はこの店を推したい。二度目で実力の高さを思い知った。やるな、匠と思う。
お店の地図
11時~18時
定休日 日曜日・月曜日・祝日

3店目は、千種区にある「Meisterかきぬまs Backstube」さん。
知っている人は当然知っている有名店なのだけど、なんとなく損をしている店のような気がするのがこのパン屋さんだ。ご主人はドイツで修行してマイスターの称号まで取ったという筋金入りの職人ということで、ここをドイツパンの店と思って敬遠している人がいるんじゃないだろうか。本格的なドイツパンも売ってるけど、基本は普通のパン屋さんだ。ドイツ系寄りではあるけど日本のオリジナル・パンを売っている。
パンはもちろん美味しいので、味は間違いない。ただ、それだけではない魅力がこの店にはあるような気がしている。webサイトなどを見るとご主人のパン作りに対する強いこだわりや信念を垣間見ることができる。お店に行って実際にパンを買ってみるとそのあたりのことがよく感じられると思う。お店側としてはそんなことを望んではないのかもしれなけど、個人的にはもっと有名になってもっと高い評価を受けてほしいお店だ。
美味しいパン屋さん知りませんかと訊かれたら、テーラテールなんかよりも、かきぬまを紹介したい。ここの店を好きというと、ちょっとパン屋通な感じがするのだ。

この日店にあったのは、湯種食パンだった。
ややしょっぱさが感じられるも、歯ごたえ、口どけはいい。美味しさが遅れてあとから追いかけてくるのも好みのタイプだ。
ただ、どちらかというと前回食べた食パンの方が美味しいと思った。
MeisterかきぬまのHP
お店の地図
9時半~18時半
定休日 木曜日
家から自転車で1時間以内で行ける店はあらかた回った。まだ行くべき店が何軒も残ってはいるのだけど、なにしろ遠すぎるとちょっと気持ち的に苦しさがある。食パンひとつ買うのに自転車で往復3時間って、そこまで食パンマニアではない私。そのうち遠出をして蟹江の「ポンレヴェック」や幸田町の「緑と風のダーシェンカ」なんかも行ってみたいけどいつになることか。名古屋駅の駅ビルに入っている「フォション」あたりも気になっている。
そんなわけで、今後もいいパン屋さん探しは続くのだった。