
OLYMPUS E-M5 + Panasonic LEICA 25mm F1.4
名古屋と近郊の食パンをめぐる旅。今回紹介するのは、中区鶴舞にある「スーリープー(SURIPU)」さん。名古屋のパン好きにはよく知られている店だ。
多数の高評価を得ていながら、ちらほら辛口の意見も見られ、そのあたりがどうなのだろうと行く前から気になっていた。
鶴舞公園の西250メートルほどのところにその店はある。ただ、鶴舞駅を起点にすると道路が複雑に交差していてどちらへ向かったらいいのか少し混乱するかもしれない。地下鉄鶴舞線が通っている大須通で、地名としては千代田2丁目になる。目印としては鶴舞郵便局で、細い道を隔てた西隣に位置している。駐車場はない。
店の外観は一見するとパン屋には見えないというのは誰もが指摘するところだ。ただし、前を通ればパンの香りが通りまで漂っているのですぐにそれと分かる。
店内はかなり狭い。最近リニューアルされて、テイクアウト用のコーヒースタンドがあらたにできた。
外観をおしゃれと見るか見ないかは人によって分かれる。もともとは事務所か何かだったのを改築したのだろうか。
それにしても、この店はなんだろう。少し不思議な感じがする。パンの味以前にお店としてのコンセプトがよく分からない。
若い3人くらいの店員さんが私服で店を切り盛りしている。学生のバイトのようにも見える。まずその地点で戸惑う。別に接客態度に問題があるとかそういうことではない。なんというか、売っているパンと店員さんとの間のギャップがある。
店頭がそうなので、パンを焼いている職人さんの顔が見えづらい。年配の職人さんなのか、男性なのか女性なのか、上手くイメージできない。webサイトも一応はあるものの、必要最小限のことしか書かれておらず、店のメッセージや方向性のようなものが見えてこない。
外観にしても店内にしてもシンプルではあるものの、計算されたシンプルさには思えず、やっぱりそっけないと感じてしまう。
値段設定に関してはいい素材を使っているせいもあるのだろう、やや割高だ。かといってテーラテールのような高級志向というのとも違う。
それでいてパンは一級品というのだからますます混乱する。
名古屋を代表するパン屋のひとつには違いないのだろうけど、県外の人にも自信を持ってすすめられるかというと少しためらう。味はいいんだけどねと。
なんだかもったいないような気がする。せっかく美味しいパンを提供してるのだから、もっとちゃんとコンセプトを決めて、パンと店と人をパッケージにして売り出せばもっといい店になるのにと、余計なおせっかいをしたくなる。
もしかするとオーナーは職人気質の人で、美味しいパンを作ること以外はどうでもいいといったような考えの持ち主なのかもしれないと思ったりもする。むしろ気取ったパン屋が嫌いなのだろうか。
あるいは、あえてそっけないふうを装って、実は全部計算尽くという可能性もあるのか。深読みするならば。
そもそも、SURIPUとはどんな意味なのだろう。店名に込められた思いを知ることができれば、オーナーの意図や店の指向性なども分かってくるようにも思うのだけど。

なるほど、食パンを一枚食べただけでも高評価の理由が分かる気がした。申し分なく美味しく、レベルが高い。
外はカリカリで中はじゅわっと、口どけもいい。個人的にはもう少し小麦の香りや甘みが強い方が好みではあるけど、日常的に食べるならこれくらい控えめの方が飽きがこないと言えそうだ。
例によって他のパンは食べていない。それでも、どれを食べても美味しいだろうというのは想像がつく。他にはあまりないような珍しいパンもあるようだ。
とにかくもう二、三度は行ってみないと個人的な評価は定まらない。
まだ行ったことがない人は一度行ってもらうと、私が言わんとしていることがなんとなく分かってもらえると思うけどどうだろう。
スーリープーのサイト
お店の地図
8時~19時
定休日 月・火曜日