東山植物園の紅葉トンネルで勝者と敗者がすれ違う 2006年11月22日(水)

施設/公園(Park)
東山植物園紅葉トンネル

OLYMPUS E-1+ZD 14-45mm(f3.5-5.6), f5.6, 1/25s(絞り優先)



 神社仏閣巡りばかりしていると、ジジむさくなりそうなので、生態エネルギーを補給するために植物園に行ってきた。紅葉を見て元気いっぱい……って、紅葉って枯れ葉じゃん!? 逆に私の生命エネルギーを吸い取られたかもしれない。東山の紅葉トンネルがきれいなのは、私の精気を奪ったからということがないとも限らない。
 写真は一番きれいなところを写してるから、これを見て、うわっ、早く行かなくちゃと焦ったあなた、ちっちっちっ、早まっちゃあいけないよ。まだちと早い。完全に染まるまでは、あと一週間やそこらはかかりそうだった。明日、あさってが雨模様で週末が晴れ、来週前半はまた雨ということで、早く行くならこの週末、ゆっくり見るなら来週の雨開けといったところだろうか。気温が高い日が続くようだから、一気に進むことはないと思う。
 なんにしても、鮮やかな色彩は目が覚める思いだった。これでまたエネルギーが補充されて、神社仏閣巡りができるというものだ。結局、そっち巡りたいのか、私。いや、そうではなくて紅葉の名所の多くが寺院関係なんで、否が応でもそうなってしまうのだ。別に根っからの神社野郎とかそういうことではないので、私にジンジャーオーターなどとあだ名を付けるのはやめてください。

 東山に行ったことがない人は、動物園と植物園と公園と遊園地の関係性が今ひとつ掴めてないところがあるかもしれない。単純に言ってしまえば、全部あわさって一体となった複合施設ということになる。入場料は動物園、植物園、遊園地共通で大人は500円だ。区域は一応分かれているものの、橋でつながっていて(ただし、いったん外に出ると再入園は不可となるはずなので注意)、東山スカイタワーも動物園の中にある。
 つながっているとはいえ、どちらも広い。動物園は32ヘクタール、植物園は27ヘクタールもあり、一日で全部回ろうとすると、日頃運動不足のおとーさんはヘトヘトのくたくたになって、月曜日の朝起きあがれなくなる恐れがあるほどだ。半日くらいでどちらか一方に絞った方がいいと思う。どちらも、ざっと歩いて一周するだけなら2時間くらいなのだけど。

 昭和12年、東山の雑木林の中に作られた植物園には、木や花や温室の植物などをあわせて5,500種類以上あるそうだ。デジカメで一種類につき一枚RAWで撮影したとして、1GBのコンパクトフラッシュが550枚くらい必要になる。フィルムで全部撮影したら破産しそうだ。
 熱帯地方の花や水生植物などを集めた「温室」、睡蓮池やプランターの花で彩られる「洋風庭園」、尾張藩の俳人横井也有にちなんで作られた庭園「也有園(やゆうえん)」、岐阜県白川村から移築した「合掌造りの家」、湿地植物を集めた「湿地園」、万葉集に詠まれた植物を配した「万葉の散歩道」、東海地方特有の木などを植えた「東海の森」、300種類の薬草を植えた「薬草の道」、名古屋市内最高峰にある「お花畑」、椿園、バラ園、アメリカ産植物見本園、中国産植物園林、梅林、桜並木、竹林などがある。
 いろいろ取り揃えてあって花に興味がない人でも楽しめるようになっているので、動物園しか行ったことがない人にもオススメできる。動物園と比べて人気がない分、のんびりゆったりできるのもいい。
 野鳥も多く、人の少ない午前中などは街中では珍しいもの見られるようだ。動物園の方の池などは、飼われてるわけでもないのに飼育動物たちと一緒になって暮らしていたりする。特に冬場はカモたちが多くなって、どれがどれやらよく分からないようなことになっている。すごい珍しいのがいるなと思ったら、動物園のアメリカオシだったり。
 日本庭園はたくさんの野鳥のさえずりが聞こえるということで、日本の音風景100選にも選ばれているのだった。

東山植物園の温室

 昭和12年(1937年)の開園と同時に作られた温室が、今度国の重要文化財に指定されることが決まった。こんなものがと言っては失礼だけど、神社仏閣や歴史的建造物以外でも重要文化財になるのは知らなかった。名古屋市内では10件目になるらしい。植物園の温室としては日本初となる。
 ロンドン植物園のキューガーデンの温室を模して作られ、完成当時「東洋一の水晶宮」と称されたのだとか。昭和12年としては、このデザインはかなり新しかったのだろう。今見てもさほど古めかしさは感じない。
 重文指定の決め手は、当時の最新技術が使われていて、建築技術史上重要な建造物という点だったそうだ。鉄骨の継ぎ目にはリベットを使わずに電気溶接されてるなどが高く評価されたらしい。
 東邦ガスがポンと出した25万円の中から、6万2,500円を使って建設されたという話だ。安っ! それくらいなら私でも出せるぞ。けど、現在同じ物を作ろうとしたら10億円かかるらしい。それは金輪際出せっこない。しかし、70年でそんなに物価って上がっただろうか。昭和12年の大卒初任給を調べてみたら75円だった。なんだか単位が小さすぎて上手くイメージできない。75円で一体何ができるというのか。もらっても途方に暮れてしまう金額だ。この調子でいくと、私がじじいになる頃は、大卒の初任給が2,000万円とかになるのか!?
 幅66メートル、高さ13メートル、総面積は596平方メートルあり、現存する植物園の温室としては日本最古となる。老朽化が言われて久しい東山動植物園だけど、古いまま残しておいていいこともあった。
 内部はブロック分けされていて、水生植物室、中南米植物室、サガロ温室、ハワイアンハウス、食虫植物室、多肉植物室、シダ室、中央ヤシ室などがある。一番の見どころは巨大サボテンだろうか。

 東山動植物園は、月曜定休で、開園は9時から4時半まで。入園は大人500円、中学生以下は無料。スカイタワー単独は500円で、動植物園との共通券だと800円になる。名古屋市内の65歳以上は100円なので、年食ったら行き放題だ。なんならここに住んでもいい(それは無理)。一年間のパスポートが以前は1万2,000円という無茶な値段だったのだけど、大きく反省してこの4月から2,000円になった。どんだけ反省したんだ、値下げしすぎだろう。近所なら4回行けば元が取れるので、持っていて損はない。
 駐車場が一回(一日)800円というのは高く感じる。丸一日停めるなら安いかもしれないけど、2時間やそこらで800円というのはイヤだ。そんな人のためには、遠くに無料駐車場がある。ありがてえことでごぜえます、と何故か卑屈になる私。南側の植物園(左手)と動物園(右手)の入園ゲートを超えて、左右に有料駐車場を見つつ、赤い大きな橋を過ぎて少し行った左手がそうだ。余分に歩く時間は5分くらいなので、800円と天秤にかけたら私は迷うことなくこちらに停める。ただし、無料は平日だけで週末はここも有料になってしまうので、そのときは路上駐車することになる(週末だけ駐禁じゃなくなるので)。

 秋は野草が少なくなるだけに植物園の花が貴重となる。なのだけど、やっぱり植物園の花にはトキメキを感じない。たくさん咲いているのを見ても、わぁーっと思わないし、あまり写真を撮る気にもなれない。野に咲く花と植物園に咲く花の決定的な違いって何なんだろう? その問いの答えは分かるようで分からない。たとえば温室の花だって、現地に行けば野に咲いているやつなのに、温室で見るとありがたみがない。外国で咲いているのを見たら心が動くはずなのに。天然鮎と養殖鮎の違いのようなものなのだろうか。
 それにしても、この時期の植物園はさすがに寂しい。お花畑も、ぬっくんの頭のようにめっきり寂しいものとなっていた。物足りない要因のひとつに虫たちの姿がまったくなったということもあった。さすがにこの時期はもう、生き残りの蝶もトンボも飛んでなかった。
 植物園のベストシーズンは、5月から6月くらいにかけてだろうか。一斉に花が咲き乱れ、虫たちが元気に飛び回り、歩き回っても暑すぎない。この時期は撮るものも多くて、気分も高揚する。紅葉が終われば、私の中でも植物園はオフシーズンということになる。また来年の春だ。
 今日感じたことは、動物園は親子連れや若いカップルが似合うのに対して、植物園は老夫婦がよく似合うということだった。ふたりで一日のんびり過ごして200円。それもまた、勝者の姿だと思う。閉園1時間前に500円払って駆け回りながら写真を撮ってる私は、もちろん敗者だ。植物園のコントラストは、赤と黄色の紅葉だけでなく、勝者と敗者のコントラストでもある。
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コメント
  • 2009/11/24 17:21
    おもしろい文章でした。楽しみました。
    こういうコメント書くのは初めてですが
    それだけ言いたかったので。。失礼します!
  • あれは3年前
    2009/11/25 00:06
    ★hatchさん

     こんばんは。
     コメントありがとうございます。
     励みになりました。
     3年前の文章は、読み返してみたらちょっと恥ずかしかったです。
     あの頃はハイテンションだったなぁ、と。
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