多治見修道院はとっておきの大切な場所

教会(Church)
多治見修道院-1


 名古屋方面から国道19号線を東に向かって走り、上山町2交差点を左に曲がると、突然目の前に中世ヨーロッパが現出して驚く。おおっ! と小さく叫び声ももれるかもしれない。多治見修道院との初めての対面は、食パンをくわえて走りながら角を曲がったらいきなり美少女とぶつかったときのような思いがけない出会いだった。
 それまでキリスト教には一切無縁だった私に、教会の魅力と親しみやすさを教えてくれたのが多治見修道院だった。その存在を初めて知ったのが去年の2月。一度どんなところか遠巻きに見てみようとおそるおそる出向いていった私は、修道院の建物に圧倒されつつ、導かれるように大聖堂にふらふらと入り込んでしまった。そして、その空気に触れたとたん、私はかつて味わったことのない厳粛さに打ちのめされ、同時に心地よさに包み込まれてしばらく動けずに立ち尽くことになる。

 岐阜県多治見市にあるカトリック神言修道院は、1930年(昭和5年)に神言会の宣教師モール神父によって、修道生活と修道士育成のために建てられた。最初の30年は神言会の日本本部として機能していた伝統のあるところで、男子日本三大修道院のひとつとされている。ただし、残りふたつがどこかは定かでない? 調べても、多治見の修道院が三大修道院のひとつという情報しか出てこないのだ。北海道の聖ベネディクト女子修道会・札幌修道院と長崎のフランシスコ会・長崎修道院が日本三大修道院というのはあったけど、これが本当かどうかもよく分からない。
 神言会(しんげんかい)というのは、1875年にドイツのアーノルド・ヤンセンによって作られたカトリックの修道会で、日本には1907年に入ってきた。名古屋や秋田、長崎などで活動が行われ、名古屋の南山大学もこの系列になる。多治見修道院も南山大学のものという一面(全面的に?)もあるようだ。
 修道院の建物は、地上3階、地下1階の木造建築で、建坪1,000坪、ぶどう畑は3,000坪という、かなり広い敷地を持っている。建物を正面から見ると細長いかまぼこ型のように見えるけど、実際はコの字をしている。白い壁に赤い屋根、尖塔に鐘楼、アーチ窓と、どこをとっても本物感満点だ。
 裏手に回ると、南山の関係者が研修や合宿などに使うログハウスや、広い畑、修道士や神父の墓やマリア像などがあり、こちらの空間はより俗世との隔絶感がある。
 大聖堂内部は、白と青を基調とした涼やかな色合いで、窓にはステンドグラスが入り、壁には宗教画などが描かれている。基本的には撮影禁止なのだけど、人が少ないときに頼めば撮らせてくれるようだ。

 ここの空気感が、他の教会よりも更に濃密なのは、かつては修道院でもあった歴史とも無関係ではないだろう。ドイツなどからやって来た多くの修道士たちが、ここで日々祈りの生活していたそうだ。世間とは断絶した中での彼らの思いや息づかいが、今でもこの場所につなぎ止められているように感じる。
 ドイツ人宣教師たちによってもたらされたものは、キリスト教だけではなかった。何しろ酒好きの彼らだ。ただ、修道院でビールというわけもいかない。やはり修道院といえばワインだろう。そのワイン作りは今でも受け継がれ、修道院ワインとして地元ではちょっとした名物となっている。
 前の畑で作っているブドウから作った自家製ワインは、一般にも販売されていて、大聖堂入口を入ってすぐの売店で買うことができる。赤、白、ロゼとそれぞれ1,500円ほどのようだ。ただ、少人数の手作りのため、年間で5,000本ほどしか作れないというからなかなか貴重と言えるだろう。私は酒類は一切ダメなので買ったことも飲んだこともないのだけど、飲んだ人によると、やや渋めでこびない味らしい。秋にはワインフェスタが行われるようだ。



多治見修道院-2

 この多治見修道院は非常に素晴らしいところなのだけど、いくつか残念なところもある。たとえばこの写真に写ってるように、エアコンの室外機がむき出しになっていたり、建物正面に関係者の車がとまっていたりして中世の雰囲気に浸りきれなかったりする。進入禁止の黄色いやつや赤いコーンが無造作に置かれていて、それが写真に写ってしまう。作られた観光施設ではないから仕方がないところではあるのだけど、そのあたりの気遣いがもう少しあると、更にいい雰囲気になると思うのだけどどうだろう。

 月曜定休で、大聖堂に入れるのは、9時から16時まで。外は半開放状態なので、外観の写真を撮るだけなら夕焼けでも夜でもいい。無料駐車場もある。
 ログハウスは一般でも、1棟1泊10人で25,000円で借りられるようだ。大聖堂では結婚式もできる。
 日曜日には当然ミサも行われている。ただし、このときはさすがに一般の見学は無理だろう。
 日本でも屈指の大きなパイプオルガンがあるので、機会があれば一度は聴いてみたいと思う。



多治見修道院-3

 教会や修道院なんて一般人は近寄りがたい場所と思っている人も多いだろう。私も去年まではそう思い込んでいた。へたに入っていったら信者にされてしまうんじゃないかとさえ思っていたくらいだ。でも実際はまったくそんなことはなく、ひとりでふらりと訪れて、大聖堂の中にひょいっと入っていっても全然平気な場所だ。もちろん、誰かが話しかけてくるとかそんなこともない。神社やお寺と同じようなものという認識でいい。
 大聖堂や礼拝堂の空気感というのは、日常の生活空間とはまったく異質のもので、その場にいかなければ決して味わうことができないものだ。そしてそれは、驚くほど心地がいい。10分も座っていると、心が落ち着いてふっと気持ちが軽くなる。出てきた後は、自分が浄化されていることがはっきり分かるほどだ。
 この多治見修道院は、私のとっておきの大切な場所であり、自信を持っておすすめできる場所でもある。デートにもいいし、家族で行くのも悪くない。もちろん、ひとりでも大丈夫。
 機会があればぜひ一度訪れてみてください。
 
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コメント
  • そろそろ尼寺へ出家しますか(笑)
    2006/11/18 10:20
    夕べね、丁度この修道院をネットで検索した所なのです。
    なんて偶然なのかしら(笑)
    なんちって・・・・
    『永保寺』を検索していたら、見つけたんです(≧m≦)ぷっ!

    多治見は行く気満々のもこさんです(o^-^o) ウフッ
    岡崎からでも、新しい高速を使えば結構近いようですので
    風邪っぴきが治ったら、いざ出陣です!!
    乞うご期待~v-344
  • 意外と近い多治見
    2006/11/19 04:18
    ★もこさん

     尼寺へ行け、尼寺へ!
     あ、いきなり、失礼しました。ハムレットです。いや、オオタです。

     多治見修道院は、男子の修道院なんで、もこさんはどうでしょうね。
     どうでしょうって考えるなって?(笑)
     永保寺と修道院はセットのようなものですからね、せっかく行くなら両方行くのがオススメです。
     ただ、どちらもインパクトが強くて、最初に行った方の印象が残りがちなんで、行きたい方に最初にした方がいいですよ。

     岡崎からなら、東海環状自動車道に乗りさえすれば、けっこうすぐですよね。土岐南多治見インターを降りたらもう近いです。
     あとはETCを使いこなせるかどうですね。はは。

     早く風邪を治して行ってみてくださいねー。(^^)
  • 2006/11/23 20:40
    修道院と永保持行ったんですね。今頃、見せていただきました。
    永保持の紅葉いいですね。修道院は今の私には、また、泣けそうな場所です。
    今は一人ではいたくないので。
    四季桜も、もう、行く元気も失いつつあります。
    困った、母ちゃんですが、きっと、元気になります。
  • しばらく潜ったままになりそう?
    2006/11/24 03:01
    ★kattyanさん

     こんにちは。
     慌ただしい日々が一段落して、今はがくんとしてるところかもしれないですね。
     しばらく寂しい日が続くと思うけど、少しずつ浮上してきてくださいね。(^^)

     そうそう、多治見行ってきました。一年ぶり以上になるのかなぁ。
     これくらいの時間では変わるはずもなく、やっぱりあそこは落ち着くし、気分がいいのでした。
     永保寺の本堂がいまだに工事してたのはちょっと驚いたけど。(^^;
     修道院は時間切れで大聖堂に入れなかったのが心残りです。また行かなくては。

     小原村は近いうちに行こうと思ってます。
     今年の紅葉はここがメインということになるのかな。
     kattyanさんの分まで写真撮ってきて、またブログに載せますね。
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