タヌキがこんなにもスーパーな生き物だったなんて 2006年9月25日(月) - 現身日和 【うつせみびより】

タヌキがこんなにもスーパーな生き物だったなんて 2006年9月25日(月)

タヌキってこんなだったか

OLYMPUS E-1+Super Takumar 200mm(f4), f5.6, 1/125s(絞り優先)



 前回、東山動物園へ行ったとき、あ、タヌキだと思ってプレートを見たら、アライグマだった。あれ? タヌキってこんな感じじゃなかったっけ? とそのときはそれで終わった。けど、あれ以来実際のタヌキはがどんな顔をしてるのかちょっと気になっていた。なので今回の東山行きはタヌキを見ることも目的のひとつだった。
 それは、子供動物園ゾーンの「タヌキの里」にいた。ええー!? っと驚くタヌキの顔。こんな顔してたっけ? いや、野生のタヌキは見たことがないからあくまでも自分の中のイメージなんだけど、こんなんじゃなかった。もっと丸い顔をしてると思い込んでいた。これじゃあ犬ではないか。薄汚れた感じの雑種の犬でこんなのいるぞ。体型は犬とは違って丸々としてたから、その点では紛れもなくタヌキだった。
 まあタヌキもそれぞれ個性があって、こいつが全タヌキの顔を代表してるわけではないのだろうけど、思っているより犬に近い生き物だったのだ。犬科だから当たり前といえば当たり前にしても、アニメや狸の置物で作られたイメージは間違っていたらしい。それにしてもこいつ、しょぼくれた顔してるなぁ。

 タヌキの故郷は、意外にも北アメリカなんだそうだ。1,000万年ほど昔に誕生して、その後ユーラシア大陸を始め世界の広い範囲に分布を広げていったにもかかわらず、どういうわけか北アメリカでは1万年ほど前に絶滅してしまったらしい。
 現在は、日本を中心として東アジアに生息していて、この地域の固有種となっている。日本には数十万年前からいたようで、北海道から九州までの広い地域に生息している。沖縄にはいないようだ。北海道のものはエゾタヌキという種類で、本州のはホンドタヌキと呼ばれている。
 体の色が茶色っぽいのが南方で、黒っぽいものが北方らしい。毛並みということだと、冬場は厚着になってぱんぱんにふくらんでいるのに対して、夏場はごっそり抜けて貧相な体つきになるという特徴がある。便利といえば便利だけど、そんなに毛が抜けてしまっては室内飼いは厳しい。初夏は1時間ごとにコロコロを転がして毛を取ってないといけない。
 体長は60センチ前後、体重は5-10キロほどで、しっぽはわりとふさふさしていて10センチくらいと短い。
 顔がアライグマに似てると思ったら、英名はRacoon dog、アライグマ犬となっている。顔でいうと、アナグマとも似てるので間違えやすい。タヌキとアナグマをまとめてムジナと呼ぶ地方もあるとか。同じ穴の狢というのは、あれはタヌキとアナグマを指している。
 メシは典型的な雑食性。今の時期そこにあるものを食べるという、積極性を見せる。中でも好物はミミズというからちょっと意外だ。タヌキはそんなものを食っていたのか。他にもカエルやネズミ、魚、昆虫、鳥、ドングリ、穀物、植物の根っこ、果物などを食べる。海辺に暮らしてるやつはカニなんかもいただく。エサを取るためには木にも登る。イメージ違うなぁ。更に驚くことに泳ぎまで得意という。

室内タヌキ

 これは室内に隔離されていたタヌキだ。なんでも親を交通事故でなくして保護されたんだそうだ。タヌキの事故死もけっこう多いと聞く。動きが猫のようにすばしこくないから逃げるのが遅れるのだろう。
 こいつは上の写真のものとはまたずいぶん違った印象を受ける。やっぱり犬っぽいけど、こっちの方はかわいい犬っぽい。タヌキもこう見るとかなり顔つきに差があるようだ。
 あまり知られてないけど、タヌキというのはオシドリ夫婦なんだそうだ。いったん相手を決めたら、一年中ほぼカップルまたは家族で行動して、死ぬまでそれが続くという。これはほ乳類ではかなり珍しい。あんなにいつも一緒だったコアラと三原順子も今では家の中でも相手がどこにいるか知らない有様だというのに。
 しかもオスはとっても子煩悩なんだとか。子育ては母親任せという生き物が多い中、タヌキのオスは我が子のためにせっせとエサを運び、毛づくろいをしたり、一緒に遊んでやったりする。基本的に夜行性なので私たちがその姿を目にすることはほとんどないのだけど、もし彼らが昼行性だったとしたら、私たちは中のいい夫婦のことをオシドリ夫婦ではなくタヌキ夫婦と呼んでいたかもしれない。これからは出来たダンナさんを見たら、タヌキのオスみたいだなと形容することにしよう。なんでだと訊かれていちいち説明するのが面倒だけど。
 自分では巣穴を掘らず、元々あった穴や、アナグマやキツネが掘った穴をレンタルして、だいたい年に一度、春に3-5頭くらいの子供を産む。

 タヌキ寝入りという言葉は、銃で撃たれたときに当たってもいないのに倒れて、死んだかと思って近づいていくと、起きあがって逃げていくことがよくあったことから来ているそうだ。タヌキにしてみたらだまそうとしてそんな演技をしたわけではなく、驚いて失神しただけなのに、そんなふうに思われて心外だったろう。現在でも車とヘッドライトに驚いてそんなふうになることがあるそうだ。逆にそれが命取りになったりもするのだけど。
 狸という漢字が、けものへんに里と書くように、昔から人里の近くにいた生き物だった。昔話に登場したり、歌に歌われて親しまれてきた。しかし、タマが大きいというのは事実ではないようだ。もちろん、腹鼓(はらつづみ)を打ったりもしない。

 それにしても、今回タヌキについて勉強したことで彼らに対するイメージが大きく変わった。かなり尊敬に近い感情を持つようになったと言ってもいい。なんでも食べて、木にも登り、水泳も得意で、仲良し夫婦の子煩悩ダンナなんて、なんて素晴らしいんだ。考えたら私に持ってないものばかり持っているではないか。うらやましいぞ。
 こんなにも立派な生き物なのに、人をだます悪いやつと思われたり、キツネのように神様の使いとして祀られることもなく、いつまで経っても日陰暮らしで日の目を見られそうにない。干支にも入れてもらえず。唯一大事にしてもらってるのは、信楽焼の狸の置物くらいのものだ。
 私としては今後はもっとタヌキを大事に思いつつ、更に接近遭遇していきたいと思っている。近所でノラ猫のエサ場に出没するという噂もあるから、今度夜見張ってみよう。それと、信楽焼の狸もひとつ買って部屋に飾っておこうじゃないか。タヌキを見習えよ自分、という戒めのために。全日本狸地位向上組合などといものがあるのなら、ぜひそこの会員にもなりたいと思う。
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