
OLYMPUS E-M5 + Panasonic LEICA 25mm F1.4 / OLYMPUS 9-18mm / 75-300mm
農村景観日本一のうたい文句に惹かれてこの展望台にやって来て景色を眺めたとき、多くの人はちょっとがっかりするかもしれない。確かにのどかな田園風景だとは思うけど日本一ってほどじゃないんじゃないかなと。富山とか新潟あたりに行けばもっとすごい農村風景がありそうだし、実際あるに違いない。北海道のスケールだってこんなものじゃない。
では何が日本一かといえば、ありふれているという点で日本一なのだという。それも自分から言い出したのではない。昭和63年に京都教育大学の木村教授という人が唐突に言ったことに端を発している。別に農村景観日本一コンテストとかがあって選ばれたとかそういうことでもない。
まあ、日本一かどうかはさておき、かつてありきたりだった農村風景も今や絶滅寸前で希少価値になっているのは間違いないだろう。こういう風景は日本全国どこにでもありそうで案外ないんじゃないだろうか。
コンビニはもちろん、店らしい店も見当たらず、ただ田園が広がり、民家が散在しているばかり。自動販売機さえあるのかどうか。展望台は作ったけど特に観光地化しているわけでもない。
時間が止まったような古い家並みがあるわけではない代わりにマンションやビルといった異物もない。家屋は新しくもなく古くもなく、どこまでいっても普通といえば普通の風景が広がっている。
そんなことを考えつつあらめて景色を眺めてみると、なるほど、これはけっこうすごいことかもしれないと思うのだ。
木村教授が紹介しなければ、金輪際この地を訪れることはなかったはずだ。展望台では奈良から来たというご夫婦と出会った。中部地方の外にも知られているらしい。
そんなわけで、今日は恵那歩きの4回目を。週に一回くらいはやっておかないと、このシリーズが続いていることを忘れられてしまいそうだ。

この日の目的のひとつに、展望台から明知鉄道を撮ることがあった。
最初、どこをどう走っているのか分からず、ぼんやりしていたら見逃しそうになった。かなり距離があって、音もよく聞こえない。本数が少ないから、時刻表は不可欠だ。

一本目が今ひとつだったのでもう一本待ってみた。
今度は位置を決めて狙い通りに撮ったのだけど、あまりパッとしなかった。
普通の状況で普通に撮っただけでは絵になりづらい。状況なり光なりのプラスαの支援が欲しい。田んぼが水鏡になる5月の夕焼けどきとか、雪が積もったときとか。
なんにしても、明知鉄道はもう一度ちゃんと撮りにいかないといけないと思った。










富田地区を通って岩村へ向かった。
つづく。