リニモは今日も浮かび上がって静かに行ったり来たり 2006年9月21日(木) - 現身日和 【うつせみびより】

リニモは今日も浮かび上がって静かに行ったり来たり 2006年9月21日(木)

夕暮れリニモ

OLYMPUS E-1+Super Takumar 28mm(f3.5), f5.6, 1/50s(絞り優先)



 愛・地球博の目玉のひとつにリニモがあった。県外から訪れた人は会場までの交通手段としてけっこう利用したんじゃないだろうか。あまりいい思い出はなかったかもしれない。何しろ混雑がひどかった。一時は定員オーバーで動かなくなるなんてこともあったりして。待ち時間の長さにうんざりした人も多かっただろう。
 あれから一年経って今、地元の人間にとってリニモは風景の一部としてすっかり定着した感がある。けっこう短い間隔で運行してるから、線路沿いを車で走っていると必ずといっていいほど見かける。しかしながら、日常の足として根付いているかといえば決してそうはなっていない。
 誰が計算したのか知らないけど、1日に31,000人の乗客を見込んでいたところ、閉幕後半年の平均が12,000人と3分の1近くしか利用されてないというこの現実。名古屋人や愛知県民がみんな車を持ってることを知らなかったのか? だいたいこの地方の人間の気質をまったく理解していない。目新しいものができると最初は物珍しくてみんなどっと押し寄せるけど、その後は潮が引くように見向きもしなくなるという性質を。ナゴヤドームだってツインタワーだって中部国際空港だってみんなそうだったではないか。一家に一台どころかひとり一台車を持っている車社会の愛知で、あえて不便で高い公共交通機関を誰が使うものか。万博のときに客が増えたのは、駐車がパーク&ライド方式で高くて面倒だったからだ。もし、万博会場近くに大駐車場があれば、リニモなんてガラガラだったに違いない(それは言い過ぎ)。
 沿線の学校が15ほどあってその学生の利用を見込んでいたらしいけど、その前からバスがあったわけで、リニモに乗り換える必然性はほとんどない。安ければ別だけど高いんだから。それに駅から学校までも遠いし。
 万博記念公園の再オープンで多少は客も増えるだろうけど、沿線がこの先劇的に開発が進むとは思えないから、今後も苦しい経営が続くだろう。そう簡単に廃線にはならないにしても、まだ乗ってない人は早めに乗っておいた方がいいと思う。

 リニモ(Linimo)というのは、この路線(愛知高速交通東部丘陵線)の愛称で、正しくはリニアモーターカーだ。漢字で書くと、磁気浮上式鉄道。字の通り磁気で浮かび上がって進む近未来の乗り物で、日本で初めての常時線として開通したのだった。
 詳しい仕組みは文系の私にはよく分からないのだけど、車体に取り付けた電磁石に電流を流すとレールに対して浮くようになっていて、推進は回転モーターを平たくのばしたリニアモーターによるんだとかなんとか。とりあえず理屈は理解できなくても冷蔵庫は便利に使えるのと同じようなもので、深く追究するのはやめようと思う。システムの総称としては、HSSTという言葉が使われている(High Speed Surface Transport)。
 21世紀の交通手段として期待されているリニアモーターカーだけど、発想や実験はかなり昔から行われていたようだ。電磁誘導反発式は1914年のイギリスで、リニアモーター自体は1841年には作られていたんだとか。
 一番の利点としては、浮いてることで騒音や震動が小さくなって乗り心地がよくなるという点だ。加速もスムーズで、勾配やカーブにも抜群の強みを持っている。もともとこの沿線は藤が丘から地下鉄が延びる計画があったところで、そこに万博を機にリニモを持ってきたというわけだ。地下鉄に比べたらコストも安いし時間もかからないということで採用された。構造上、脱線の心配がなく、タイヤなどがない分、消耗品も少なく住むからランニングコストの面でも有利だった。
 問題点しては、つぶしが利かないというところだ。何しろ他にこのシステムを採用してるところがないので、万博のとき大量に作った車両をどうすることもできないでいる。車両が余ってしまってしょうがない。遊んでるからといってそんなにじゃんじゃん走らせるわけにもいかないし。万博期間中の混雑を見て、もっと車両を増やしやがれと思っただろうけど、実はこんなやむにやまれぬ理由があったのだ。

夕暮れリニモ

 いろいろ大人の事情はありつつも、今日もリニモは健気に一本道をひた走る。わずか8.9キロ、9駅、17分の道のりを行ったり来たり、行ったり来たり。最高速度は約100キロと決して速くない。車両編成は3両ということもあって、なんとなく田舎の列車を思わせるような風情もあったりする。ラッシュ時は6分間隔で、普段は10分間隔くらいで出てるので、便利は便利だ。あまり待たなくても済む。
 始発の藤が丘駅から終点の八草駅までは360円と、微妙な金額。愛・地球博記念公園駅までは340円。一家四人で往復すると2,720円。こりゃ、どう考えても地元の人間は車で行くだろう。駐車場は一日500円なのだから。
 運転士さんはもちろん坐っているけど、運転その他は全自動なので、実はいなくてもいいのかもしれない。あんまり赤字が続くと、人件費削減のために、この席にはモリゾーとキッコロのぬいぐるみが置かれることになるかもしれない。万博会場を走っていた無人バスが実際にそうであったように。
 今後のリニモのゆくえとしては、いかに地元の人間が愛着をもって支えていくかにかかっている。リニモ側の企業努力だけでは近い将来つぶれてしまう可能性は高い。小牧の桃花台線のように廃止が決まってから慌てていては手遅れになる。
 そう思うなら、まず自分が乗りに行こうよ、とどこからか声がする。そう、私はまだリニモに一度も乗ったことがない地元の人間なのだ。ダメじゃん。でも、乗ってみたいぞ、リニモ。どんな乗り心地がするんだろう。内部の写真も撮りたいし。そのときは、一日乗り放題の「Linimo1DAYフリーきっぷ(大人800円)」を買って、5往復くらいしてみよう。
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こんにちは。私は、小牧市にある桃花台ニュータウンに住んでいます。こちらの記事に、トラックバックさせてもらいました。一応、「鉄道沿線を写した、夕焼けの写真」つながりです。

どちらの写真も、すごく綺麗な「夕焼け」ですねぇ。 (^^)

あと、夕焼けとかで影になっている建築物って、とても哀愁があって、すごく好きです。どちらの建築物も、すごく哀愁が漂っている感じがします。

2006-09-23 02:52 | from kyu3

桃花台線の電車写真も撮りたい

★kyu3さん

 こんにちは。
 今(少し前の?)話題の桃花台ニュータウンと桃花台線ですねー。
 ああなってしまっては、もう引き返すことはできないんでしょうね。廃線になる前に一度ちゃんと電車が走ってるシーンを撮っておこうと思ってるんだけど、まだ一回も電車自体見たことがないのです。(^^;
 明治村や犬山方面へ行くときによくあのへんを通るのに、タイミングが悪いのかなぁ。
 夕焼け写真、見させていただきました。なるほど、なるほど、こういう感じで撮ればいいんですね。あとは電車の時間を調べてから行かないと(笑)。

 秋はやっぱり夕焼け空がきれいですね。
 時間的にも、今はこの時間帯に写真を撮ることが多いということもあって。
 またいつでも遊びに来てくださいね。(^^)

2006-09-23 03:40 | from オオタ | Edit

これを読んだ矢先
でかい事故がドイツで起こりましたね・・・

いつも思うんですけど、そんなに速くする必要があるのか?と
飛行機と競り合ってるわけではないでしょうな?

ものには、ほどほど、ってあると思うんですよ

時速300キロ超える必要をあまり感じません、空飛べる速度だし・・・
電車のいいところは「簡単に、気軽に乗れる」はず
飛行機は、早いけど飛行場まで遠かったり、乗るまでにいろいろ手続きがややこしかったり、時間がかかったり・・・・

それぞれ一長一短があると思うんですよ

時間にだけこだわって、その分危険が増すようでは、本末転倒

あ、あとついでに言うと

新幹線とかの乗車率200パーセントって、重量違反にするべきでは??定員違反か?

危険すぎます
車ではありえませんな

2006-09-24 09:58 | from ただとき

急いでどこへ行こう

★ただときさん

 こんにちは。
 そうなんですよね、ちょうどのタイミングでリニアモーターカーの事故でした。(^^;
 脱線しないから安全ってのは神話だったんですね。
 ただ、なんであんな大きな障害物があったのに自動停止しなかったのかが謎ですよね。作って間もないならともかく、ずっと長く実験してきて今になって、てのが不思議。

 その点、日本の場合は、まだ新幹線で大きな事故がないのが救いですよね。どんどんスピードは上がってるのに。
 昔、狭い日本そんなに急いでどこへ行くっていう標語があったけど、最近そういえばすっかりそんな発想もなくなりましたね。
 速さは便利だけど、その一方で失ってるものも多いんだろうなぁ。

 とりあえず私は、数年に一度しか電車に乗らないので、まずは大丈夫と思うんだけど、そのときに当たったら、それはもう自分の不運として誰のせいにもできない気分。(^^;

2006-09-25 04:16 | from オオタ | Edit

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鉄塔と夕焼け - その2(小牧市桃ヶ丘3丁目)

また「ハードディスク」のストックから、1枚。この写真は、これまで撮影した中で、私が一番気に入っていた「夕焼けの写真」と、同じ日に、同じ場所で、撮影した物です。(※拡大写真は、こちら。)この写真を掲載するに当たって、これまで「一番綺麗だと思っていた写真」と

2006-09-23 02:47 | from 桃花台新聞