人間に翻弄されるホテイアオイは救世主か悪魔か? 2006年8月28日(月) - 現身日和 【うつせみびより】

人間に翻弄されるホテイアオイは救世主か悪魔か? 2006年8月28日(月)

ちょっと少なめホテイアオイ

Canon EOS 10D+TAMRON 28-300mm XR(f3.5-6.3), f7.1, 1/50s(絞り優先)



 勢和村丹生大師の近くにあるメダカ池。毎年、夏に帰郷したときホテイアオイに会いに行く。今年はいつもより2週間遅れになったのに、そのわりには数が少なかった。初夏から咲き始めてピークは9月だから、そろそろにぎわっていてもよさそうなものなのに。何らかの理由で枯れて少なくなってしまったのか、それとも増えすぎて減らしたのか。いずれにしても今年はちょっと寂しい光景だった。
 10年ほど前、故郷の田んぼがどんどん荒れていくことを寂しく思った地元の人たちが、休耕田を利用してホテイアオイを植えることを思いついた。ホテイアオイ200株、メダカ50匹を放流したのが始まりだ。何故メダカとホテイアオイなのかといえば、自然の金魚鉢をイメージしたんだそうだ。そういえば昔から金魚鉢にはホテイアオイが付きものだった。
 最盛期には1万5,000株にまで増えたというから、ホテイアオイの繁殖力は並みじゃない。実はそれがホテイアオイにとっては致命傷にもなるのだけど。
 3年前の9月には、立梅用水の開設180周年ということもあって、大きなイベントも開かれたようだ。コンサートやら出店やらでお祭り騒ぎだったらしい。知らなかったから当然行ってないけど知っていてもたぶん行かなかっただろう。でも、うちの田舎でそんなにも大勢の人が集まったのは最初で最後かもしれないので、見ておく価値はあったか。

ホテイアオイを近くから

 英名はウォーター・ヒアシンス。どこがヒヤシンスに似てるんだよと文句を言いたくなるけど、異人さんの感覚にケチをつけてもしょうがない。逆に向こうの人からしたら布袋葵というのが何のことかさっぱり分からないだろう。外国は七福神を知っているのだろうか?
 別名は布袋草。茎の中ほどがぷくっとふくれてこの部分で浮いているのだけど、これを布袋様のおなかにたとえて名づけられた。とても日本らしいネーミングだ。でも布袋さんのモデルは中国の僧侶。中国ではこの花のことをなんと呼んでいるんだろう。今回、調べがつかなかったので宿題とする。
 葵といってもアオイ科ではなく、ミズアオイ科に属している。モミジアオイや芙蓉なんかの仲間ではなく、日本の仲間はコナギだけしかいない。元々は熱帯アメリカが原産地だから、日本で仲間を見つけるのは難しい。孤独な転校生みたいだ。
 明治時代に観賞用として持ち込まれて、外飼いの金魚桶などに浮かべられていた。ああ、あの浮き草がホテイアオイなんだと思った人も多いんじゃないだろうか。外で飼うときの日よけとしてもこの草はよかった。
 それはそうと、こいつは増え方が尋常じゃない。栄養のある池などでは、水面が見えなくなるくらい爆発的に増えてしまう。船が進めなくなるくらいというから、そこまでいってしまうときれいも何もあったもんじゃない。当然、水の中に光が入らず、生態系にも悪影響を与えてしまう。野良ホテイアオイが野生で繁殖して害草として駆除されるなんてことも日本各地で起こっている。ただし、元々熱帯の植物なので北では冬を越せない(5度が限界らしい)。北海道の人なんかは見たこともないかもしれない。
 一方で水質浄化の救世主として汚れた池やなどに導入されることがある。水中の窒素分を吸い込んで水をきれいにするんだそうだ。とはいえ、やっぱり増えすぎるとかえって水質悪化につながったりするので、なかなか難しいというのが現状のようだ。
 植物にしても動物にしても外来種を持ち込んで何か上手いことをしようして成功した例はめったにない。ハブの天敵として野に放ったマングースがちっともハブと戦わなかったというのは笑い話にもならない。いや、笑えるけど。考えてみると夜行性のマングースと昼行性のハブが道でばったり出会う確率はすごく低いし、マングースにしてみればわざわざ危険なハブに挑んでいかなくても他に食料となるものがたくさんあるのだから、あえてハブをやっつけようなんて思うはずもない。あれはショーだから戦ってるだけだったのだ。

 暑い夏を彩る涼しげなホテイアオイの花。だけど、実情はそんなに甘いものでもない。人の勝手な都合で持ち込まれ、もてはやされたかと思えば使い捨てられ、しまいには邪魔者扱い。もしホテイアオイが話せたら、わたしは都合のいい女じゃないわ! とわめき散らすだろうか。それとも、身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、と静かな口調で語るだろうか。しかし、世界十大害草として「青い悪魔(blue devil)」呼ばわりされているのを知ったら、そりゃあないぜと愚痴もこぼしたくなるだろう。こんなに一所懸命きれいに咲いてるのに、と。
 たくさん咲いているホテイアオイを見ていたら、向こうもこちらを見ていることに気づいた。無数の目玉が一斉にこちらをじっと見つめている。それがちょっと怖いような気がして、私はホテイアオイの池から足早に立ち去ったのだった。少し離れた場所で振り向いて、また来年会いに来ますと約束をして。
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コメント
非公開コメント

良く似た花でミズアオイがありますよね・・
こちらは、希少価値。
どちらも、綺麗ですよね~

2006-08-29 23:01 | from miyu | Edit

まだ見ぬミズアオイ

★miyuさん

 こんにちは。
 そうそう、ホテイアオイに似たミズアオイってのがあるんですってね。私は見たことがないんですよ。絶滅を危惧されてるとか?
 ネットで調べたら、倉敷にも群生地があるみたいですね。miyuさん、見たことありますか?
 もし、写真が撮れたらブログで紹介してくださいね。(^^)
 季節は秋みたいだから、もう少し先かな。
 私も近所で探してみよっと。愛知県の奥地の方まで行けばあるみたいなんだけど。

2006-08-30 04:09 | from オオタ | Edit

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