ノウゼンカズラが似合うような人なら絡みつかれてみたい - 現身日和 【うつせみびより】

ノウゼンカズラが似合うような人なら絡みつかれてみたい

ノウゼンカズラという響き

Canon EOS 10D+SMC TAKUMAR 55mm(f1.8), f6.7, 1/125s(絞り優先)



 ノウゼンカズラ。---その言葉には不思議な魅力がある。耳に触れると何故だかとても心地がいい。たとえばアルジャーノンのように。
 能と禅という言葉から世阿弥の幽玄世界が思い浮かんだり、「愛染かつら」に似ているということで悲恋を思ったりもする。パステル・オレンジの花は、トロピカルジュースにささっていそうな姿だけど。

 南国をイメージさせるこの花の故郷は、意外にも中国だった。日本には平安時代にやって来たという。平安貴族の庭先にもこの花が咲いていたのだろうか。だとしたら、平安人はこれを見て異国情緒を感じたことだろう。この色は日本にはなかった色だろうから。
 千年も日本で過ごせば、日本の風景にも溶け込む。今では夏を代表する花のひとつとなった。日当たりのいいところでオレンジの花を次々に咲かせては落とし、落としては咲かせる。花は基本的に一日花なのに、花期は6月から9月までと長い。それだけたくさんの花を持っているということだ。
 木の寿命も長く、朝鮮出兵のとき豊臣秀吉が持ち帰った木が今でも金沢の玉泉園に健在だという。
 つる性なので、木とか塀とかいろんなものにからみつき、まとわりついてどんどん伸びていく。とにかく丈夫なのがとりえで、日本の夏でも元気いっぱいなノウゼンカズラなのだ。

 漢字は凌霄花。読むのも書くのも難しい。初めは当て字で「乃宇世宇」と表記されていたようだ。凌霄は漢名で、読みは「のせう」や「のしょう」が後に「のうぜん」となった。もしくは、「りょうしょう」とも読む。
「凌」は「しのぐ」、「霄」は「そら」で、ツルがどこまでも伸びていって空をも凌ぐ高さになるという意味でそう名づけられた。
 貝原益軒が「花上の露目に入れば目暗くなる」と書いたことで毒を持っていると言われることも多いけど、実際は無毒だそうだ。昆虫たちもこの花が好きで、ハチやアリなどがたくさん集まっていた。
 古くは薬としても利用していたようだ。花は利尿剤として、茎や葉はリュウマチ、痛風などに効くと言われていたらしい。実際のところはどうかよく分からないので、私はなるべく近づかないようにしている。もしかしたら本当に毒があるかもしれない。フグだって食べない。

 ノウゼンカズラには、アメリカ南東部原産のアメリカノウゼンカズラというものもある。格好は似てるけど、もっと花が小さくて濃い赤色をしている。黄色いのもあるらしい。
 オーストラリア原産のピンクノウゼンカズラというのもあるそうだけど、これは見たことがない。他にも園芸品種がいくつかあるようだ。
 英語名はトランペット・クリーパー(trumpet creeper)。言われてみればトランペットに似てなくもない。いや、むしろ昔の蓄音機に似ている。
 いろんな木にからみつくことから、浮気性というような言われ方もする。

 ノウゼンカズラ。花を見るたびに口の中で言ってみる。そのたびにやっぱりいい響きだなと思う。何か私の心に触れるものがあるのだろう。それが何なのかはよく分からないのだけど。
 暑い夏の昼下がり、花もぐったりしてる様子のものが多い中、こいつは当たり前のような顔をして元気に咲いている。情熱的でもなく、クールでもなく、ごく普通に。暑苦しい感じがしないのもこの花のいいところだ。
 ノウゼンカズラには鎌倉がよく似合う。特に根拠はないのにそう思う。平安時代に伝わったのに京都ではない。やっぱり鎌倉だ。いつか、ノウゼンカズラを見ながら夏の鎌倉を歩いてみたい。歩き疲れたら、カフェのテラスでトロピカルジュースを飲もう。2本のストローで一緒に飲んでくれる人を募集してます。ノウゼンカズラを耳に差すのが似合う人希望です。
関連記事ページ
コメント
非公開コメント

ノウゼンカズラは私も大好きなお花です^^
色がいいですよね~♪
二本のストローでトロピカルジュースを飲んでくれて、「ノウゼンカズラ」が耳にさして似合う人が早く現れるよう祈っていますね。ハイビスカスやフヨウじゃきっとダメなんですよね?(笑)

2006-08-15 16:22 | from RIRICO | Edit

2本ストローとかペアルックとか

★RIRICOさん

 こんにちは。
 ノウゼンカズラは、なんだか知らないけど妙に心惹かれる花なんですよ。特にその響きが。
 日本にはちょっとないような微妙な色合いですよね。
 RIRICOさん、もしかして似合いますか?(笑)
 ハイビスカスでもなく、芙蓉でもなく、もちろん朝顔でもありません。やっぱりノウゼンカズラじゃないと。
 でも、トロピカルジュースを2本のストローで飲むような世界は、実はとっても苦手です。(^^;

2006-08-16 03:15 | from オオタ | Edit

トラックバック

https://utusemibiyori.com/tb.php/338-2b41b08f