マスクメロンの地位が下がったのは幸せなことかな? - 現身日和 【うつせみびより】

マスクメロンの地位が下がったのは幸せなことかな?

渥美のマスクメロン

Canon EOS 10D+SMC TAKUMAR 55mm(f1.8), f5.6, 1/4s(絞り優先)



 網のないメロンなんてメロンじゃないやい! と、風邪をひいた小学校のときに駄々をこねたことがあるだろうか。私はない。心の中で思っていても、そういうことを口にする子供ではなかったから。
 かつては高級果物の代名詞だったマスクメロンも、今では中級果物くらいにランクダウンした感がある。日常的に食べるところまではいかないまでも、贈る方ももらう方もそれほどリキまなくなってきた。機が熟すのを待ちきれず、勢い余って食べてしまったらまだ全然固くて失敗した! なんてこともなくなり、むしろ食べることを忘れて熟しすぎてしまうことさえある。それは私が出世したからではなく時代が変わったからに他ならない。それは必ずしも幸せなことではないようにも思う。
 写真のメロンは、当然自分で買ったものではない。こんなもの自分で買うくらいならジャンクレンズを3本買う。ちょっとしたお盆の贈りものとしてもらったのだった。病気で寝込んでいるわけでもありません。ピンピンしてます。
 そういえば昔は、高級メロンなんてもらったら自分はよっぽど悪いんじゃないかと心配になったものだった。

 メロンが野菜に分類されていることに納得がいってない人も多いだろうけど、メロンはウリ科の野菜だ。トマトだってスイカだってイチゴだって野菜だから、メロンだって野菜と言われればそうなんだろう。区別としては、一年(もしくは二年)で実がなってそのまま枯れてしまうのが野菜で、実がなるまでに何年かかかって一度実がなったら毎年収穫できるものが果物というのが定義だそうだ。
 メロンに関して言えば、祖先が瓜(うり)だと思えば野菜と納得がいく。原産地は北アフリカという説が一応有力だそうだ。そこから世界に広がり、いろんな品種に分かれ、ヨーロッパ方面へ行ったものがメロンとなり、中国に伝わったものが瓜(マクワウリ)になった。当初はどれも今のように甘いものではなく、他の野菜と同じ扱いで作られ食べられていたのだろう。
 メロンの歴史は古く、古代エジプトやギリシャ、ローマ時代にも食べられていたようだ。日本でも弥生時代からあったと言われている。
 その後世界各地で様々に品種改良され、今のように甘い果物のようなメロンが作られるようになり、栽培方法も確立されていった。
 近代メロンが最初に栽培されたのは北海道だ。明治初期に開拓使の人たちによって実験的にメロンが栽培されたのだけど、このときはあまり上手くいなかったらしく、味も美味しくなかったということで成功には至らなかった。
 明治20年代になるとヨーロッパから種を取り寄せて温室メロンが作られるようになる。明治30年代にそれが成功し、当時は超高級品として富豪や高級役人にのみ食べられていたという。本格的な商売用メロンの栽培は、大正13年に静岡県で始まったとされている。
 翌14年にはイギリスから初めてネットメロンの「アールス・フェボリット」が持ち込まれて、一気にメロン熱が高まることになる。庶民は安いマクワウリを食べ、一部の金持ちだけがネットメロンを食べていたのだった。悔しくて瓜に網目を書いたやつがたくさんいたことだろう。
 一般人が美味しいメロンを食べられるようになるのは昭和37年に入ってからだ。マクワウリとカンタロープを掛け合わせたプリンスメロンの登場まで待たねばならなかった。この年は皇太子(今の天皇陛下)が結婚した年で、それにちなんで名づけられた。昭和に育った私たちがよく食べていたのがこのプリンスメロンだった。私はマスクメロンのニセモノだと思っていたけど。

 現在はいろいろな種類のメロンが作られている。安心ですメロンが縮まって命名されたアンデスメロンを始め、私は食べたことも聞いたこともないホームランメロンやクレオパトラメロンなんてのもあるそうだ。
 産地としては夕張メロンが有名だ。最初は悪口を言われた中身の赤いメロンを大変な苦労をして高級メロンに育てたというのを「プロジェクトX」でやっていた。写真は愛知県の渥美のメロンだ。ここもけっこう有名で出荷量も多い。メロン出荷日本一は意外にも茨城県の鉾田だそうだ。北海道はどこもたくさん作っている。北海道の笑い話として、スイカを盗むと停学で、メロンを盗むと退学になる、というのがある。満更笑い話でもないというから、それだけ北海道の人にとってメロンは大切な存在ということだろう。
 マスクメロンが高いのには理由がある。それは野菜や果物の中で栽培が一番難しくて手間がかかるからだ。種を蒔いて、収穫まで3ヶ月かかり、その間まったく目が離せない。特に網目をきれいに出そうとすると、ボーリングの球を磨きまくる人のように磨きまくりのメロン農家さんなのだ。メロンが成長する過程で表面がひび割れたところにあふれ出てきた果汁が固まって網目になる。ある意味あれがマスクメロンの命とも言える。きれいに細かく出ているものほど美味しいそうだ。
 マスクというのは、タイガーマスクとかのマスクではなく、ジャコウを意味するmusk、つまり、香りのいいメロンということだ。
 メロンの語源は、リンゴのようなウリを意味するギリシャ語のmelopeponから来ている。
 メロンは、体内の塩分を調整したり、コレステロールを減らしてくれる効果もある健康的な食べ物でもある。ただ美味しいだけじゃない。二日酔いにも効くし、高エネルギーだから、お見舞いの品としても最適というわけだ。
 もし、あなたが病気になってメロンが食べたくなったときは私を呼んでください。マスクメロンは高いからメロンパンとメロンシャーベットを持っていって、耳元で「デカメロン伝説」を歌ってあげましょう。30代以上にしか効かない!?
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コメント
非公開コメント

はじめまして。
9~12種の農薬を使って創られる日本のメロン、高級でないはずがありません!
高価な農薬使用量も、世界一。

2006-09-15 21:19 | from サイコ~! | Edit

外国人もマスクメロンは好物なのかな

★サイコ~!さん

 はじめまして、こんばんは。

 マスクメロンはそんなにたくさんの種類の農薬を使ってるんですか。知らなかったです。
 怖いといえば怖いけど、それだけ手間暇かかってるということですよね。
 多少体に悪くても、年に一度くらいしか口に入らないから私は大丈夫です(笑)。

 外国人はあのマスクメロンを日本人のように美味しいって思うんだろうか。
 どの国にどれくらい輸出してるのかとか、どこの国の人が好んで食べるのかとか、また調べてみたいことができました。

2006-09-15 23:35 | from オオタ | Edit

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