
FUJIFILM FinePix S1 Pro+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f5.6, 1/50s(絞り優先)
以前、ホッキョクグマ、ヒグマ、マレーグマについて書いた。地球上に棲む熊は全部で8種類。上の3つの他、アメリカグマ、アジアクロクマ、メガネグマ、ジャイアントパンダ、そして写真のナマケグマだ。今日はこいつについて書こうと思う。
ナマケグマという名前に似合わず、このときは休みなしにあちこちうろつき回っていた。その落ち着きのなさといったら、まるで大事な初デートの前に彼女からの電話を待っている男のようだった。狭い部屋の中をあっちへ行きこっちへ行きするので、おいおい、ちょっとは落ち着けよと声を掛けたくなるほどだった。もちろん、声に出して言ったりはしなかったけど。
説明プレートにも「ナマケグマという名前ですがちっとも怠けてません」というようなことが書かれていた。ナマケグマも自分の呼び名を知ったら驚くことだろう。オイラのどこが怠けてるっていうんだよぅ、と。
どうやら長く伸びたツメでナマケモノみたいに木から逆さにぶら~んとぶら下がる様子からそう名づけられてしまったらしい。それと、夜行性ということで、自然界では昼間寝てることが多いからというのもあったのだろう。でも、動物園のナマケグマは昼間でも活発で、まったくナマケモノっぽくはなかった。モシャモシャの毛並みが、怠け者というか不精者って感じはあったけど。
体長は1メートル50から2メートルくらいで、体重は100キロ前後と、熊の中では小柄な方だ。性格もおとなしいとされる。熊は寒いところにいるやつほど凶暴で、暖かいところにいるやつほど穏やかになる傾向がある。
インドからスリランカにかけての森林で暮らしていて、たいていは単独行動のようだ。動物園で1頭だけしかいなかったから寂しくないのかなと思ったけど、ナマケグマとしては孤独の方がかえって落ち着くのかもしれない。
全身の毛は黒色でモジャモジャ。白い鼻先と、長く伸びたツメが特徴だ。森の中でばったりトラと出会ってしまって戦わなくてはいけないときは、このツメが武器になる。その気になると案外強いらしい。ただ、人を襲うことはないそうだ。
食べ物は雑食性で、昆虫から果物、花、肉などを食べる。好物はシロアリ。巣をツメで壊して、唇と舌を丸めてストローのようにして木くずを飛ばし、そのあと舌ストローでシロアリをチューチュー吸って食べるのだ。けっこう賢い。シロアリにしてみたら、ものすごい強敵だ。巣の中でまったりしていたら、すごい吸引力でみんな食べられてしまうのだから。人間をシロアリにたとえるなら、マンションで家族団らんテレビを観ていたら、巨大な恐竜がツメでガバーっとマンションの壁を削り取って、中の人間たちをチューチュー吸い込んで食べてしまうということだ。想像すると、かなりイヤだなと思う。
マレーグマの白い鼻先は、巣に突っ込んだ証拠みたいにも見える。瓶の牛乳を盗み飲みした小学生みたい。おい、牛乳飲んだだろう! いや、飲んでないよ、と言いつつ白いヒゲができてるみたいな感じ。
熊はすべてそうなのだけど、このナマケグマも近年急激に数を減らし、絶滅の危機に瀕している。現地では生息地をサンクチュアリーに指定して保護してるそうだ。
人間も含めて、すべての生き物がなるべく快適に暮らしていける世界が実現するといいけど、なかなか上手くいかない。あちらを立てればこちらが立たずで。いろんな動物にとっては、人間がいなくなるまで生き残れば勝ちとなるだろう。
マレーグマについては、実はあまり書くことがない。特にドラマチックというわけでもなく、何か決定的に他と変わってる点があるというわけでもないから。ちょっとした特徴としては、他の熊と違って水に入らないとか、産んだ子供を背中に乗せて運ぶなんてのがあるものの、それが特に印象的な要素とはならない。一番のインパクトは名前で、それ以外は熊の中でも地味な存在と言っていいだろう。私自身、いつまで覚えていられるか、ちょっと自信がない。
ここまできたら、熊は8種類全部制覇したい。ジャイアントパンダは今、どこの動物園に行けば会えるんだろう? 私の中では、上野動物園のランランとカンカンで記憶が止まってしまっている。古っ! 調べてみたところ、恩賜上野動物園、神戸市立王子動物園、和歌山のアドベンチャーワールドの3ヶ所でしか見ることができないようだ。意外と少ない。中国も大切な宝をそう簡単に外国に出すわけにもいかないのだろう。東山動物園に譲ってくれないだろうか。キンシコウの縁もあるし。それが無理そうなら、一番近い和歌山に行かないといけないか。あそこも遠いんだけど。
アメリカグマ、アジアクロクマ、メガネグマもそれぞれ動物園で写真を撮って勉強してここで書きたいと思っている。余裕があれば、レオナルド熊についても語りたい。