正体不明のカエルさん(知らないだけ)は田んぼでゲロゲーロ - 現身日和 【うつせみびより】

正体不明のカエルさん(知らないだけ)は田んぼでゲロゲーロ

田んぼのカエル

Canon EOS 10D+SMC TAKUMAR 55mm(f1.8), f5.6, 1/500s(絞り優先)



 地味は最大の防御、それが自然界の掟。目立つが負けなのだ、ゲロゲーロ、とカエルくんは言うだろう。田んぼのわきにしゃがんでみると、カエルぴょこぴょこ3ぴょこぴょこ、あわせてぴょこぴょこ6ぴょこぴょこ(言えてない)と、カエル飛び跳ねまくりの季節は夏なのである。
 誰もが知っているカエルだけど、カエルとは何かと訊かれてはっきり答えられる学者はひとりもいない。何故なら、カエルがいつどこでどのような生き物から進化したか、直接の祖先は何かが分かってないので、カエルとは何かを定義することができないから。便宜上、尾っぽのない両生類(無尾目)というグループに入れられてはいるけど、本当に全部が同じ仲間かどうかは分からない。将来、カエルの祖先が見つかれば、そのとき初めてカエルは本当の意味でカエルとなることができるのだ。
 相当昔からいたことは確かなようで、マダガスカルの2億年以上前の地層から化石(トリアドバドラクス)が発見されている。ただし、それが本当にカエルの祖先なのか、枝分かれしたものなのかは、はっきりしてないのだという。何しろカエルの化石は見つかっている数がすごく少なくて、進化過程もほとんど分かっていないようなのだ。こんなにも未知の生き物だったとは知らなかった。

 現在世界には4,800種類ほどのカエルが知られている。まだまだ未知のものも多く、今後も新種が見つかるに違いない。日本には40種類ほどがいると言われている。トノサマガエル、アマガエル、ヒキガエル、アオガエル、アカガエル、ど根性ガエルあたりが有名だ(最後のはちょっと違う)。
 ほとんどのものは水辺で暮らしている。水中暮らしのものも、完全陸上のものも、ほとんどいない。水の中ばっかりではふやけてしまうし、体が乾くと死んでしまう。だから、水際じゃないといけない。
 田んぼの国ニッポンでは昔から馴染みの生き物だった。春を告げる使者として、また縁起のいい生き物として大切にされてきた。外国のように食用にしようとはあまり考えなかったようだ。
 万葉集にも詠まれ、松尾芭蕉や小林一茶の俳句にも登場する。「やせ蛙まけるな一茶これにあり」は一茶の代表作のひとつだ。
 芭蕉の句に出てくるように、昔は「かはづ」と呼ばれていたと思われがちだけどそうではなく、これはカジカガエルのことで、いつからか混同されてしまっただけだ。かえる、という言葉の方が古い。
 かえるという名前は、ケーロケロという鳴き声から来たという説と、必ず元いた場所に帰るところから来たという説(貝原益軒)がある。お金が返る、という意味でカエルの小物を財布に入れておくなんてのも昔流行った。
 オタマジャクシは、杓子(しゃくし)に形が似てるところから来たのだろうということは分かるけど、そう呼ばれるようになったのは江戸時代からで、その前はカエルコ(蛙子)と呼ばれていたそうだ。
 かつては学校の理科の時間にカエルの解剖をやらされたものだ。あれはイヤな授業だった。今でもやってるんだろうか。
 蛙の子は蛙、 蛙の面にしょんべん、など今でもよく使われる言葉もある。井の中の蛙大海を知らずは特に。ただ、あれに続く言葉、されど空の青さを知るという負け惜しみみたいな理屈が私は好きだ。

 写真のカエルは何ガエルだろう。ヌマガエルのような気がするけど、自信はない。イボイボがないからツチガエルではないと思う。腹が白ければヌマガエルの確率が高くなるとはいうものの、いちいちつかんで腹を確認したりはしない。『山渓ハンディ図鑑 日本のカエル』が欲しい。カエルにもっと近づくために。
 これがヌマガエルだとすると、本州の中部(千葉や神奈川)から西に生息するやつで、大きさは4センチ前後。写真のは3センチもなかったくらいだから、他のカエルの子供なのかもしれない。
 たいていのカエルがそうであるように、これも肉食だ。アリ、クモ、ミミズ、コオロギなどを食べている。基本的に生き餌しか食べないので飼うのは難しい。というか、毎日昆虫を捕まえられるくらいヒマな人じゃないとカエルにはつき合ってられない。もしくは、昆虫ごと飼うという手もあるにはある。上手く飼えば10年も生きるやつもいるそうだから、挑戦してみる価値はある。カエルを飼っていることが世間話のネタとして役に立つかどうかは微妙なところだけど。
 学名は、沼の女神。ちょっと名前負け。

 水につかりながら気持ちよさそうにしているカエルを見ていたら、この夏はまだ水に入ってないことを思い出した。たまにはプールに行って泳ぎたい気持ちがないでもない。もしプールに行ったら、私の華麗なるカエル泳ぎを披露しよう。ゲロゲーロと青空球児のモノマネをしながら平泳ぎをしてる男を、あなたはこの夏どこかのプールで目撃するかもしれない。気軽に声を掛けてください。もし誰にも気づいてもらえないときは、プールサイドで輪島公一の蛙跳びアッパーをやってます。
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