夏に咲く花たちが街に戻ってきて秋の気配を遠くに感じた - 現身日和 【うつせみびより】

夏に咲く花たちが街に戻ってきて秋の気配を遠くに感じた

住宅前のモミジアオイ

Canon EOS 10D+TAMRON 28-300mm XR(f3.5-6.3), f8, 1/100s(絞り優先)



 道ばたや民家の庭先などでちょくちょく姿を見かけるのに名前を知らない花がたくさんある。野草は勉強して覚えようとしてるけど、庭の花はちょっと分野外という思いがあって、なかなか積極的に調べるまでいかない。そうしてるうちにいつの間にか花が終わって見かけなくなり、忘れてしまう。そしてまた季節が巡ってきて、そういえばあの花去年も見たけど名前知らないよなぁということになる。この赤いのもそういうやつのひとつだった。
 見覚えはある。ネットか図鑑で名前を見かけたような気もする。思い出せそうで思い出せない。で、どうしたかといえば、「7月の花」で検索して探り当てた。時間はかかるけど、まったく手がかりがない花の名前を調べたいときはこの検索方法が使える。
 モミジアオイ、それがこの花の名前だ。
 なんでモミジなんだと思ったら、葉っぱの形がモミジに似てるからだとか。そんなに似てないぞ。
 花はハイビスカスによく似ている。びよーんと突き出した雄しべや雌しべの格好も。どうやらお仲間らしい。モミジアオイの場合は、花びらが深く裂けているのが目印だ。ムクゲ、フヨウも同属になる。そういえば似てる。
 別名は、中国名に由来する紅蜀葵(こうしょっき)。色から来るイメージだろう。これに対し黄色いトロロアオイを黄蜀葵(おうしょっき)と呼ぶらしい。
 英名は、Scarlet rose mallow。深紅のバラ色の葵。いい名前をもらっている。

 とても夏らしい赤色を持つこの花の故郷は、意外にも北アメリカだった。もっと南国かと思った。アメリカ東海岸のフロリダやジョージあたりの沼地に自生してるという。寒さにもそこそこ耐えられる種のようだ。
 日本での開花は7月から9月にかけて。背丈は2メートルくらいになる。花も大きく、20センチくらいあるだろうか。
 明治時代初期に日本に渡ってきたそうだ。今では日本の夏風景にすっかり溶け込んでいる。夏を感じさせるいい赤だ。
 花は一日限りでしぼんでしまうあたりも、日本の情緒とよく合う。アメリカ人はこの花のことをどう感じてるのだろう。

公園のキョウチクトウ

 これは公園なんかでもよく見かけるし、名前を知ってる人も多いかもしれない。キョウチクトウ(夾竹桃)だ。
 花色はピンクの他に白や赤、オレンジなどがあって、けっこうまぎらわしい。これってキョウチクトウっぽいけど違うかも、と自信がなくなりがちだ。園芸品種も多く、八重咲きもある。
 なんで竹に桃なんだろうと思ったら、中国人が付けた名前で、葉が竹に似ていて、花が桃の花っぽいからという理由らしい。原産はインドで、中国を経て江戸時代(1724年)に日本に渡ってきた。そのときの名前が夾竹桃で、この文字をそのまま音読みしてキョウチクトウとなった。なんとなく手抜きのネーミングみたいでちょっと気に入らない。名前の響きと姿も合ってないし。
 この花を紹介するとき、必ずといっていいほど言われることは、毒を持っているということだ。葉っぱや枝に毒があって、間違って食べた牛が死んでしまったというから毒性は弱くない。ただ、コンビニで弁当を買って割り箸をもらうのを忘れたから、公園に植えてあったキョウチクトウの枝を折って箸代わりに使って食べた、なんてことをしない限り大丈夫なので、それほど心配することはない。おなかと背中がくっつきそうになっても、キョウチクトウだけは食べてはいけない。

水仙っぽくはないナツズイセン

 道沿いに突然現れたピンクの花束。なんだありゃ、と驚いた。ユリっぽいけどユリじゃない。これはきっとナツズイセンというやつだ。
 全然水仙に似てないじゃないかと思ったら、葉っぱが水仙のものに似てるかららしい。そっちか。けど、名前を付けるときは、できれば花の特徴から付けて欲しい。特にこいつは、花が咲いてる時期は葉っぱがなくなってるから、余計に分かりづらい。
 もうひとつ、リコリス・スクアミゲラという呼び名もある。リコリスというのはギリシャ神話に出てくる海の女神の名前だから、こっちの方がいい。ただ、スクアミゲラというのがちょっと覚えづらいかも。
 英名は、Resurrection lily。直訳すると、よみがえるユリ。どういう理由でそんな名前を付けたんだろう。
 葉っぱがなく、茎がヒョロっと伸びて、その先端に唐突に花が咲くというスタイルは彼岸花そっくりだ。それもそのはず、これはヒガンバナ科。オレンジ色のキツネノカミソリなども仲間だ。
 大昔に中国から渡ってきて、今では里近くの山野に野生化しているものもある。

 梅雨の前後、寂しくなっていた花たちがここへ来て、だいぶ戻ってきたような印象を受ける。道路脇や民家の庭も少しずつにぎやかさを取り戻してきた。季節はようやくこれから夏本番だけど、花はすでに秋へと移り変わりつつある。秋の七草のオミナエシや萩、キキョウなども咲き出している。
 お盆まであと2週間。それが過ぎれば季節は、はっきりと変わる。しばらく散策を休んでいたから、8月はもう少しペースを上げて季節を追いかけて行こうと思っている。急ぎすぎず、遅れないように。
 季節と足並みを揃えて進んでいけるのも、日本人として生まれた幸せのひとつだ。
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