夜遊び貴族のゴイサギさんはいざとなったら首が長い - 現身日和 【うつせみびより】

夜遊び貴族のゴイサギさんはいざとなったら首が長い

アオサギさんとゴイサギさん

Canon EOS 10D+TAMRON 28-300mm XR(f3.5-6.3), f8, 1/60s(絞り優先)



 水草がものすごいことになっている雨池で、アオサギさんと一緒にいる見慣れない鳥を見つけた。ファインダー越しでは小さくてよく見えず、体のサイズの割にピンクの足がやけに長い鳥だなと思った。帰ってきてモニタで見てみると、足長鳥ではなく、水面から突き出た棒に乗っているシークレットブーツ鳥だった。本人に自分を大きく見せようという意志はなかっただろうけど。
 こいつは前から一度見てみたいと思っていたゴイサギさんだろうか。姿からしてたぶんそうだろうと思いつつ、私の知ってるゴイサギさんはこんな羽をしていないので、やや自信が持てない。本来のゴイサギは黒と白のツートンのはずだ。
 調べてみたところ、どうも若のゴイサギ、通称ホシゴイのようだ。若いうちは茶褐色の羽に白い星のような模様を散りばめているところからそう呼ばれているんだとか。ただ、こいつにはそれがない。若と成鳥との中間のやつだろうか。生まれてから大人になるまでに3年かかるらしく、その間に何度か羽が生えかわってだんだん親の色になるようだ。写真のこれは、第2回夏羽というやつかもしれない。一番中途半端で美しくない時期だ。
 よく似ているヨシゴイというのがいるけど、あれは目が黄色だから違うと思う。とりあえずこいつはゴイサギさんだということで今日は話を進めたい。もし違っていたら、そのときは書き直そう。
 こうして並んでいると、アオサギってやっぱり大きいんだとあらためて思う。ゴイサギが60センチ弱のカラスくらいだから、至近距離で見ることができたら(それはまず無理なんだけど)かなり巨大な印象を受けることだろう。

 ゴイサギはなんといってもその名前の由来がいい。漢字で書くと五位鷺。五位の位を持ったサギという名前がついたのは、嘘か誠かこんなエピソードからだという。
 時は平安時代、醍醐天皇が平安京の御所の中にある神泉苑という庭園で、池のほとりにこの鳥がいることに気がついた。そこで、お付きの者にあの鳥を捕らえるようにと命じた。お付きの者たちは必死に捕まえようとするが野生の鳥がそう簡単に捕まるはずもない。どうやっても逃げ回って捕まらないので、中のひとりが、「天皇の命なるぞ、そこに畏まれ」と言ったところ、この鳥は天皇の前に飛び来てちょこんと坐ったという。それに感心した醍醐天皇は、「うむ、その所作、見事、従五位をさずける」とかなんとか言ったとか言わないとか。それ以来、この鳥は五位鷺と呼ばれるようになったんじゃ。
「平家物語」に出てくるエピソードだからまんざらデタラメでもないだろうけど、その前はなんと呼ばれていたかが伝わってないあたりに一抹の怪しさはある。
 五位というのは、平安時代の貴族にあたり、宮中にも上がれる身分なので、ゴイサギはかなりお偉いさんということになる。ゴイサギさん的には、位よりもドジョウやカエルをもらった方が喜んだと思うけど。

 日本ではそんな貴族階級のゴイサギも、海外では普通にサギの一種として扱われている。英名は、Black-crowned Night Herom、黒い冠羽を持つ夜行性のサギ、という味も素っ気もないものだ。
 極地や砂漠地帯、オーストラリア以外の全世界に生息しているありふれた鳥でもある。日本にもけっこうたくさんいるのにあまり見かけないのは、夜行性だからだ。ただ、完全な夜行性というわけではないので、夕方や昼間でも見かけることはある。いつも夜遊びばかりしてる大学生がたまに授業に出てくることがあるように。
 日本では、北海道では夏鳥で、それ以外は一年中いる留鳥だ。
 昼間は林などの寝床で寝てるかじっとしていて、夕方になるとエサ場の池や川などに出てくる。そのときの鳴き声がクワァーというカラスに似たものなので、夜ガラスと呼ばれることもある。
 鳥目というくらいだから、多くの鳥は夜目があまり見えないはずだけど、ゴイサギは夜目がきくらしい。ブルーベリーをたくさん食べてアントシアニンを補給してるからに違いない(ニセ情報)。
 写真のように水面近くの棒や岸辺でじっと待ち構えて、下を通りかかった魚やカエルなどをパクリといただく。他のサギたちのように足が長くないので、エサ場は限られる。ただ、ちょっと驚くのは、こう見えても実は首がなが~いのだ。普段はSの字に畳んでいて、いざ獲物を捕らえるときはびよ~んと伸びるので魚もびっくり。まさかー、と思いながら捕まってしまうのかもしれない。本気を出すと胴体と同じくらいの長さに伸びる。姿や姿勢はペンギンに似てるけど、もしペンギンの首がびろ~んと伸びたら私たちでも驚く。
 もし、これを読んでいる人の中に釣り堀の経営者の方がいたら(すごく低い確率だ)、夜のゴイサギには注意が必要です。最近、魚が少なくなったなぁなんて思ったら、犯人はこいつかもしれません。じっちゃんの名にかけて。

 サギ関係もだいぶ出そろってきた。ダイサギ、コサギ、アオサギ、アマサギ、ゴイサギあたりが登場して、残るはちょっと珍しいチュウサギ、かなり珍しいヘラサギあたりだろうか。南の島にはクロサギなんてのもいる。いつになるか分からないけど、できるだけ網羅していきたい。ササゴイ、ヨシゴイあたりも見たいし、大御所としてコウノトリがいる。
 兵庫で育てられているコウノトリは無事野生化して、子供を増やすことが出来るだろうか。将来、コウノトリがどの街の川にも普通にいる日本に戻ったらとても素敵なことだ。そういう自然回帰こそが、これからの日本が向かうべきひとつの方向性のようにも思う。
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