
Canon EOS 10D+TAMRON SP 90mm(f2.8), f3.5, 1/30s(絞り優先)
アジサイも一枚くらい撮っておかなくちゃなと、小雨が降る中近所をうろつく。けど、アジサイだけ撮っても面白くない。何かプラスアルファがないかと探していたら、クモがいた。逆に言えばクモしかいなかった。クモが小さかったので思い切って寄って、アジサイには脇役になってもらった。あ、虫注意報発令です。もう遅い。
PCモニターに向かって、おまえさんは何グモだい? と問いかけてみる。見たことあるようなないような。ネットを見て回ったものの、さすがにクモ愛好家は少なく、情報量が絶対的に足りない。アズマキシダグモやシャコグモなどを疑ってみたけど、どうも違う気がする。写真のこいつは2センチにも満たないほどのチビグモだったから。
世界には3万種類、日本だけでも1,200種類もいるといわれるクモたち。そんなにクモいるか? と天の関係者に問いただしてみたい。新しいノアの箱船に乗せるときは大変だ。3万種類集めてる間に地球は水没してしまう。クモには自力で逃げてもらうしかない。
ここはひとつ、一通りのクモを勉強するためにクモ図鑑でも買おうかなどと思ったら、『原色日本クモ類図鑑』は6,000円もする。そこまでクモに対して情熱を抱いてない私は、あっさりクモ図鑑を買うのを中止した。クモ博士になっても、あまり人に誉めてもらえそうにないし。
実は私はクモがけっこう好き方だ。どれくらい好きかといえば、トンボよりは下だけど蛾と同じくらい。意外と好きだったんだ、私。家の中で見つけても絶対いじめたりしないし、同居はむしろ歓迎したいから、見つけてもそっと息を吹きかけて部屋の片隅に吹き飛ばすようにしている。昔からクモは縁起物だって言うし。ただ、森歩きのとき、顔にかかるクモの巣だけはどうにも好きになれない。クモが巣を張らない生き物だったら、今よりもっと好きになっていただろう。
ハエなどを食べてくれる益虫でもあるし、人間に対して悪さもしない。姿形に少し難があるくらいだ。もっと大事にしてあげたいと思う。

気がつけばアジサイの季節は終盤。もうあまり状態のいいものは残ってなかった。去年はそれなりにアジサイ巡りをしたのだけど、今年はどうも身が入らなかった。このまま名所には行けずじまいで終わってしまいそうだ。
私は西洋アジサイよりも、写真のような日本古来のガクアジサイが好きだ。好みで言うと、もう少しガクの部分が濃い青だとよかった。
アジサイ本来の原産地は日本だというのはちょっと意外な気がする。もともは関東地方の海岸に自生していたという花だったというのを、今日初めて知った。それが西洋に渡って様々に品種改良され、また日本に戻ってきた。今一般的なガクが発達したいわゆるアジサイは逆輸入のものもけっこうある。
アジサイのオリジナルは青色だ。これは、日本の土壌が基本的に酸性なのでそうなる。一方、西洋では土壌がアルカリ性なので赤色系になる。ただし、土壌の栄養分によって赤くなったり青くなったり、時期によっても色が移っていくので、本当のところはよく分かってないらしい。色の変化を楽しむというのもアジサイの楽しみのひとつだろう。
アジサイの品種は、日本で約150種類、世界では500種類くらいあるといわれている。バラなどに比べたら少ないけど、実際に見たことがあるのはせいぜい30種類くらいだろうか。具体的な品種名としては、墨田の花火くらいしか知らない。
アジサイの語源は、藍色が集まった「あづさい(集真藍)」が変化したものだという説が一般的だ。学名のHydrangeaは水の器。
日本全国にアジサイ寺と呼ばれるところがたくさんある。愛知なら稲沢市の性海寺、岐阜なら山県市の三光寺などがそうだ。でも、アジサイというと私の中では鎌倉というイメージが強い。それがどこから来たイメージなのかよく分からないのだけど、昔からそうだった。鎌倉の地には一歩も足を踏み入れたことがないのに。
もうひとつ、アジサイで思い出すのは、ドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」だ。あの中でアジサイはとても効果的に使われていた。アキが好きだったのがアジサイの花だった。サクはきっとそのことを一生忘れないだろう。若い頃好きだった女の子が、何気なく口にした好きな花や色のことを、男の子は年を取ってもずっと覚えているものなのだ。
アジサイに関する素敵な思い出がない私は、今年もまた、アジサイとはすれ違ったまま終わりそう。
記事タイトルとURLをコピーする