瑠璃の名を持つ蝶ルリタテハから始まる瑠璃色の話

虫/生き物(Insect)
ルリタテハの表

Canon EOS 10D+TAMRON SP 90mm(f2.8), f3.5, 1/640s(絞り優先)



 海上の森の湿地にいたルリタテハ。接近遭遇はこれが3回目で、そろそろお馴染みになってきた。初めて村積山のふもとで見たときは感動したものだ。
 飛んでいるときの姿はただの黒い蝶。地面に降りたって、翅を広げるわずかな時間だけ瑠璃色の帯が見える。そして、すぐにまた翅を閉じてしまう。まるでご開帳みたいだ。瑠璃色の翅を撮りたければチャンスはわずか。じっと辛抱強く待つしかない。一歩でも近づくと、警戒心が強いルリタテハはさっと飛び立って、あっという間に視界から消えてしまう。また戻ってくることもあるし、戻ってこないこともある。飛ぶ速度は、蝶の中でも速い方だと思う。飛んでいるルリタテハを撮るのは相当難しい。

 さほど珍しい蝶というわけでなく、日本全国どこででも見ることはできる。ただ、数は少ないので、普通に暮らしていたらあまり見る機会はないかもしれない。世界的には、インドから中国、朝鮮半島、東南アジアと広く分布しているようだ。
 生息場所は、森林の周辺などが多く、たまに緑地や公園などでも見ることがある。自分ちの庭に来るという人もけっこういるらしい。それは食用となるホトトギス(という名前の野草)やサルトリイバラがある場合が多いようだ。木の樹液も吸うので、コガネムシやハチなどに混じって木にとまっていたりもする。花の蜜は吸わないはず。秋は腐った柿なども食べる。
 漢字で書くと瑠璃立羽。瑠璃色の翅を持つタテハチョウと、そのままだ。こいつは英名がいい。Blue Admiral、つまり、青い提督、青の艦隊司令長官という立派な名前をもらっている。そのつもりで見ると、なるほど海軍提督の軍服のように見えなくもない。
 大きさは、翅を広げた状態で6センチくらい。初めて見るたとき、意外に大柄なので驚いた。図鑑などで見てたときはモンシロチョウくらいの大きさをイメージしていたのに、実物はもっと大きく、アゲハとの中間くらいだった。
 オスメスの区別は難しい。

 発生は主に、3月から4月と、6月から11月に分かれる。夏型と秋型があって、春に見かけるのは秋に生まれたものが成虫の姿のまま冬を越したものだ。これは瑠璃色が薄い。今見かけるものは今年生まれのもので、瑠璃も鮮やかな色をしている。
 裏翅は、夏型が茶、黒、白などのまだら模様なのに対して、秋型は黒っぽい色をしている。
 夏型の方が翅の外側のギザギザが浅く、秋型の方が切れ込みが深いといった違いもある。
 発生回数は暖かいところほど多く、沖縄では5、6回、北海道では2回ほど、本州では3、4回と言われている。
 地域による個体差もあるようで、沖縄にいるやつは前翅の白い紋も瑠璃色をしてるそうだ。

ルリタテハの裏

 これが翅を閉じたときの裏側。同じ蝶とは思えないほどの変わりようだ。夜は水商売のバイトをしてる信用金庫のお姉さんみたい(このたとえ、前にもどこかで使ったなぁ)。木の幹に止まっていたりすると気づかない。
 翅を広げるのは占有行動と呼ばれるもので、ここはオイラの陣地だーと主張する行動だそうだ。両手を一杯に広げて地面に伏せてここはオレの陣地だから入るなよなどと言っていたアホだった少年時代を思い出す。
 ルリタテハというのは、臆病さと大胆さを併せ持つ蝶で、人に対して警戒心が強い割に昆虫みんなが恐れるスズメバチがいる樹液に突っ込んでいったりもする。すぐに逃げるかと思えばまた戻ってくるし、性格が掴みにくいところがある。翅の表裏のように二重人格的と言えるかもしれない。犬のフンを食べたりもするし。

 瑠璃色という言葉が持つ響きは一種独特のものがある。もちろん個人差があって、人がどんなふうに感じているのかを知ることはできないのだけど、私の中では美しいというだけでなくどこか懐かしい感じを受ける。そして、強く心惹かれる。
 ただ、瑠璃色というのは、辞書によると「紫色を帯びた深い青色」なんだそうだ。そう説明されると、私のイメージしてる瑠璃色と実際の瑠璃色はどうも違うらしい。コバルトブルーを思い浮かべるとそれは間違ってるようなのだ。ということは、もっと瑠璃色らしいと思っているカワセミも違うということになるのだろう。じゃあ、英語ではどういうかというと、一応ラピスラズリ(lapis lazuli)となるそうだ。むむ? ラピスラズリだと? 中学生の頃、雑誌の裏などに、ラピスラズリのネックレスを買えばキミもたちまち恋人ができて人気者になれる! と載っていて、ついうっかり通販で買ってしまい、さっぱり成果が表れなかったあれのことではないのか!? そうか、それで懐かしい気がしたのか……。
 って、そうじゃないと思うけど。瑠璃色がラピスラズリのことでそれを懐かしく感じられるというのなら、それは古代エジプトとのつながりがあるのかもしれない。クレオパトラも好んで愛用したというし。まさか、私の前世はエジプトの墓荒らしじゃあるまいな。
 私の瑠璃色にまつわるあれこはともかくとして、ルリタテハをよろしくお願いします、と強引にまとめて今日はここまで。
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