
SONY α55 + MINOLTA 50mm f1.4 / TAMRON 10-24mm f3.5.4.5
ミスせとものパレードにあわせて現地に着いてみれば、突然のどしゃ降り。せともの祭は、毎年必ずどちらか一日は雨が降ると言われる。前後の脈絡なく当日だけ雨が降る。あまりにも雨が多いので、一週ずらしてみるも、やっぱり雨だった。
せともの祭は、瀬戸に磁器の手法を持ち込んだ加藤民吉をたたえて行われる商業祭りだ。昭和7年に始まり、今年で81回を数える。
陶器で栄えた瀬戸も、江戸時代後期の1800年代になると、新たに登場した磁器に押されて低迷が続いていた。
窯元の次男坊として生まれた民吉は、窯を継げず、生まれ故郷の瀬戸あとにして熱田に移り住み、磁器の試作をしていたところ、瀬戸の人たちの怒りを買ってしまい、すったもんだのあげく瀬戸に呼び戻され、あれやこれやあったのち、磁器先進国だった九州で磁器の技術を習得すべく、派遣されることになった。
九州であちこちにたらい回しにされながらも少しずつ技術を会得し、最終的に瀬戸に戻ることとなり、瀬戸に本場の磁器を伝えたのだった。
雨降りうんぬんの逸話は、現地に残してきた妻子の涙雨だとか、民吉を訪ねて瀬戸までやってきた妻や子供に会わずに追い返したら池に身を投げてしまったとか、そんな話が伝わったからだ。
実際のところ、そんなドラマチックなことはなかったようだけど、今でもせともの祭で雨が降ると、そういうエピソードが語られることになる。実際、本当に雨になるから不思議だ。

雨が降るとパレードが順延になるので心配したけど、しばらく待って小雨になったところでやることになった。
先導はボーイスカウトたちの鼓笛隊がつとめる。
さあ、やってやるぜと気合い充分の子供たちは……、いないようだった。全体的にけだるい感じでパレードは出発する。必ずしも雨だったからというわけでもなく、毎年、だいたいこんなものだ。

あくまでも、まったりした感じ。

ミスせとものさんたちが登場した。
がしかし、雨用の幌で顔が見えず。痛恨の失敗。
ミスせとものクイーンさんに至っては、肉眼で顔を確認することさえできなかった。
あとからネットで写真を見たところ、今年もミスせとものさんに間違いはない。毎年3人ともに高レベルを維持するミスせともの選考はたいしたものだ。応募者のレベルが高いのか、審査員に見る目があるのか。
今年も撮影会が楽しみになった。

パレードを見終わってしまえば、あとは特にやることもない。
陶器を買いにきたわけではないし、瀬戸の町はいつも撮っている。
2年前だったか、協賛イベントの弓道や子供相撲などを撮って回った。
今年は会場を一周回って帰ることにする。

2日間で44万人の人出だったそうだ。
昔の身動きならないほどの人混みは二度とないだろうけど、これだけ賑わえばまずまずといえるんじゃないだろうか。

普段の静まりかえったアーケード街を知っているだけに、この光景は驚きであり、よかったとも思える。
ただ、個人的にはいつも静かな瀬戸が好きだ。こんなに大勢の人がいる瀬戸を、どう撮っていいか分からない。

やがて雨もあがった。


これでもう充分と、瀬戸をあとにした。
再来週の週末は、来る福招き猫まつりだ。時間が取れたら、ちらっとでも様子を見にいくことにしたい。