モンキーセンターのヤクザルは尾張弁をしゃべっとる? 2006年6月2日(金)

動物園(Zoo)
モンキーセンターのヤクニホンザル

Canon EOS 10D+TAMRON 28-300mm XR(f3.5-6.3), f6.3, 1/125s(絞り優先)



 モンキーセンターの猿山にたくさんのサルがいた。えーと、1、2、3、4、5、6、って、すんごいいるぞ。数え切れんっ。ざっと見た感じ100頭くらいはいただろうか。こんなにサルは必要ないだろうと思いつつネームプレートを見ると、ヤクニホンザルとある。あ、もしかして、これって例の屋久島のニホンザルか。なるほど、納得した。飼育展示だけでなく、京都大学霊長類研究所の観察研究も兼ねているのだろう。おそらく、ヤクニホンザルを飼育してる動物園は、ここ以外にほとんどないんじゃないだろうか。
 それにしてもたくさんいる。そして、それぞれ思いおもいに過ごしていた。あるものは数匹で固まり、あるものは追いかけっこやケンカをし、あるものは高いところに座って何やら考え込んでいる。まるで人間社会を見るようだった。

 ヤクニホンザルは略してヤクザルと呼ばれることも多い。または、ヤクシマザルとも言う。
 日本にはニホンザルが昔からすんでいる。北海道と沖縄以外、北は青森県下北半島から南は九州まで。日本において、人間以外の霊長類はニホンザルだけだ。先進国で霊長類が国内にいるのは日本だけという言い方もできる。
 他のサルと比べてニホンザルの特徴となるものは、尾っぽが短いのと、顔と尻が赤いところだ。サルといえば赤ら顔と相場が決まっているように思うけど、世界のサルはそうではない。サルはもともと熱帯にすむもので、寒いところにいるのは日本のサルだけだ。下北半島はサルの北限となっている。
 ヤクザルというのは屋久島にのみいるやつで、普通のニホンザルと比べて体がやや小さく、体毛が少し粗くて長い。見た目もその通りで、小柄で毛並みがゴワゴワしてる印象を受ける。赤ん坊は黒っぽい。ただ、遺伝的にはニホンザルとほとんど変わらないという。島で閉ざされたことで、交配が限られたことで違う特徴を持つようになった。隣の種子島にいたサルは1960年代に絶滅してしまったそうだ。
 現在、屋久島でのヤクザルの生息数は、5,000頭から1万頭ほどではないかといわれている。生息数予測に幅があるのは、地形的に奥まで調査ができないため、実際の生息数は知りようがないからだそうだ。実際のところよく分かってないらしい。日光のサルのように観光客の弁当を盗んだりとか、そういう人との積極的な関わりが少ないせいもあるだろう。屋久島も観光客が増えて、ある程度は人に慣れてるらしいけど。
 屋久島は鹿とサルと人が同じ数、そんなふうな言われ方もしている。

 大きさは、オスが体長50センチで体重12キロくらい、メスがそれより少し小さいくらい。尾っぽは10センチ前後。歯は人間と同じ乳歯20本、永久歯32本というから、やはり遺伝子的に人間に近い。
 寿命は25年から30年くらい。繁殖期は10月から12月で、出産は4月から6月にかけて。たいていひとりっ子で、まれに双子。一年おきに出産する。
 サルというと猿山のボスというイメージが強いけど、野生ではそういうはっきりした存在のオスはいないという説もある。数十から数百の群れを作り、順位ははっきりあるものの、オスは4、5年で群れを出て他の群れに移るので、基本的には母系社会と言った方がいい。
 行動は昼で、夜は寝る。特定の巣は持たないので、食べ物を探しながら群れでゆっくり移動して、日が沈んだら適当な場所で寝る。
 食べ物は現地調達。果物、葉や木の実などの植物の他、昆虫や水辺の生き物なども気が向くと食べる。海の近くで暮らしてる連中は魚介類なども食べるそうだ。

 サルにも方言がある。そんな研究結果が発表された。日本モンキーセンターのヤクニホンザルを調べて分かったことだった。愛知県に最初のヤクザルがやって来たのが1956年。それから世代を重ねた愛知のヤクザルと屋久島のヤクザルの発声を比べたところ、屋久島の方が780ヘルツ、愛知が670ヘルツと、110ヘルツも違うことが分かった。これは、屋久島の方が障害物が多く、遠くまで声を伝えなければいけないから高い音声なのに対して、愛知のものはそんなに大声を張り上げなくても聞こえるのでだんだん低くなっていったのではないかと考えられている。
 面白いのは、愛知のヤクザルも生後6ヶ月までは屋久島と同じ発声なのに、1才になるとはっきり愛知のものになるということだ。これはつまり、母親や他のサルから後天的に教えられたということを意味する。いつかサル翻訳機が発明されたら、愛知のヤクザルは名古屋弁をしゃべっていることが分かるかもしれない。
 日本モンキーセンターのヤクザルといえば、冬のたき火と焼き芋が風物詩となっている。もともと寒さにはあまり強くないサルたちは、冬になると団子のように固まって動かなくなる。温泉に入るサルなども有名だ。そして、ここのサルたちは火をまったく怖がらないので、たき火が始まるとその周りに集まってきて、そこで焼かれる焼き芋をみんなで奪い合う。でも、熱々ですぐには食べられないし持てない。そこで誰かが考えた。まず水に濡らせば冷めてすぐに食べられるぞと。いったん誰かが思いついたものはみんなが真似するようになる。いわゆる猿真似だ。それだけ賢いということでもあり、それが群れの文化となり、次の世代へ伝えられていく。
 愛知にやって来て50年。世代交代して、もう屋久島生まれのサルはおそらくここにはいないのだろう。愛知生まれのヤクザルは屋久島の夢を見たりしないんだろうか。研究も大切だけど、いつかみんな揃って島に帰れるといいねと思ったのだった。
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コメント
  • 初めまして
    2006/06/03 15:17
    初めましてブログジャンキーから来ました。
    書き込ませていただきますね。
    おサルの事詳しく書かれてて為になりました(笑)
    また来ますね。
    今度うちにも来てくださいね!!
  • 突然、動物園に目覚める
    2006/06/04 04:25
    ★GOODBOYさん

     はじめまして、こんにちは。
     いらっしゃいませ。(^^)
     いつでも歓迎しますので、よかったらまた遊びに来てくださいね。
     私の方からもお邪魔しますので。

     ブログジャンキーは最近、まったく放りっぱなしなんですが(^^;、思いがけないつながりができたりするんですよね。
     FC2は足跡が残るんだけど、こちらから訪問するのは、どうしても写真サイトばかりになりがちです。

     サルに限らず、最近、突然動物園に目覚めて(笑)、たくさん動物の写真撮って、勉強して、書いてます。
     動物のことって、知ってるようで知らなかいことばかりなんですよねぇ。
     おサル写真もたくさん撮ってきたので、まだまだこれからも登場予定です。
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