
愛知県稲沢市の国府宮神社(こうのみやじんじゃ)こと尾張大国霊神社(おわりおおくにたまじんじゃ)で、はだか祭を撮ってきた。
国府宮のはだか祭は、1,200年以上も続く古い祭りで、毎年旧暦の正月13日に行われている。今年は土曜日で、暖かくていい天気ということもあり、はだか男1万1,000人、観客は22万人も集まった。
ずっと前から行きたいと思っていて、去年は雨降りで行けず、今年ようやく初めて行くことができたのだった。何年か前に一度だけ近くまで行ったものの、いつどこでやっているのか分からないまま帰ってきたことがあった。
はだか祭は、一週間以上に渡って様々な神事が執り行われ、その中でクライマックスといえるのが、儺追神事(なおいしんじ)と呼ばれるものだ。一般的に国府宮はだか祭というと、このことを指す。
神男(しんおとこ)が毎年一人選ばれ、神男に触ると厄除けになるということで、参道から儺追殿(なおいでん)まで、1時間を超える激しいもみ合いが見所となっている。毎年けが人続出、ときに死者が出るという命がけというのが大げさではない祭りで、実際、何人も倒れて救急隊に運ばれていくところを目撃した。今年は幸い大きな事故はなかったようだ。
現在のような儺追神事は、江戸時代に始まったといわれている。

裸男たちが参道をいくのが午後3時頃。4時くらいに神男が登場して、儺追殿に入るのが5時頃というのが、おおまかなスケジュールとなっている。ただ、今年は人が多かったせいで、予定以上に時間がかかったようだった。
境内や参道のいい場所を確保するには昼くらいには到着していないといけないらしいのだけど、あまり近いと水をかぶったり、裸男たちにもまれてしまうという恐れがあったので、少し離れたところから500mmで撮るという消極的な作戦を考えていた。
しかし、想像以上の人の多さで、到着した3時頃は、すでに商店街の方までいっぱいの人になっていた。そうなってしまうと、もう思い通りのところから撮れるというようなことはない。花火と祭りは場所取りが命だ。
どこからどう撮ったものか、戸惑いつつ、しばらく歩き回ることになった。

人がいっぱいのところへ、まだまだ名鉄電車から人がはき出されてくる。
いい天気で寒くなかったのは救いだった。裸の男たちにとっては寒いに決まっているけれど。

今年は初めてだし、あまり撮れなくても仕方がないという思いはあった。
しばし群衆に身を置いて、空気感に馴染むことにつとめた。
それにしても、どこへ行こうと人が多く、人混みから逃れる場所はない。

裸男たちはなおい布を持っていて、厄除けの御利益があるということで、引き裂いてもらって観客はそれをもらう。
神社で売っているのを買うこともできる。

もらったり買ったりしたなおいぎれは、翌年持ってきて神社にあるなおい笹に結んでいく。

裸男たちが鳥居をくぐっていくところ。
このあたりから一気にヒートアップして、盛り上がっていく。
神男がどこにいるのか、まったく把握できていない。結局、一度も見ることはできなかった。

とにかく至る所に裸の男たちがいる。子供からおじいちゃんまで、幅広い。
真冬にふんどし一丁でうろうろしている男たちというのは、どう考えても不自然なんだけど、そのうち見慣れてなんでもなくなる。道を歩いているし、コンビニにもいる。そのまま電車に乗って帰る人さえいるらしい。

盛り上がりの中心が境内の方に移っていった。

背中にはいろいろな言葉や絵などが描かれていたりもする。

もみ合いに向かって桶で水がかけられる。

ほてった体にかかった水は水蒸気となる。寒い日ほど湯気がもくもくとなるから、写真的には寒い日の方がいいのが撮れる。
このシーンを逆光で撮りたかったのだけど、そんないいポジションが空いているはずもなかった。

神男のもみ合いはまだ続いてたようだけど、日没にもなったり、そろそろ帰ることにした。
一枚目の写真を撮れたことで、すっかり満足してしまったというのもあった。
撮りきれなかった部分が多々あるものの、ようやくはだか祭を撮ることができたのはよかった。雰囲気も充分味わった。また機会があれば行ってみたいと思った。
翌2013年も再訪することになる。
国府宮のはだか祭を撮りにいく
【アクセス】
・名鉄名古屋本線「国府宮駅」から徒歩約3分。
・JR東海道本線「稲沢駅」から徒歩約25分。
・駐車場 神社の無料駐車場が使えないので近くのコインパーキングに
国府宮神社webサイト
はだか祭のページ