
SONY α55 + TAMRON 10-24mm / 90mm f2.8 Di / 50mm f1.4
日曜日の昨日、尾張旭の渋川神社で棒の手奉納が行われたので、撮りにいってきた。
棒の手(ぼうのて)は写真で見て知ってはいたのだけど、実際に見るのは初めてだった。長い棒を使った武道の型(カタ)みたいなものを想像していたら、少し違っていた。
熱田神宮に棒の手発祥の地の石碑があるそうだけど、起源についてははっきりしていない。
室町時代、農民が自衛のために武術として訓練していたものが、五穀豊穣の祈願演武に変化していったのではないかと考えられている。
江戸時代以降、尾張や西三河でいくつもの流派が生まれ、引き継がれていった。現在、県内では20以上の流派があり、愛知県の民族無形文化財に指定されている。
この地方では、馬の塔(おまんと)と共に、神社に奉納されることが多い。
同じような棒術舞踏が、埼玉の越谷や千葉の君津、石川県や宮崎県にもあるという。
尾張旭は特に棒の手が盛んな地域らしく、この日、5つの流派が、多度神社、一之御前神社、渋川神社に分かれて奉納を行った。
渋川神社にもたくさんの人が集まっていた。棒の手がそんなに関心の高いものだったとは知らなかった。

鉄砲隊も参加していた。棒の手の合間に空砲を撃っていた。

子供から大人まで、基本的には二人一組で組手を披露する。
まったく初めてだったので、観客席から白い紙が一斉に投げ入れられたときには驚いた。
ご祝儀の投げ銭で、子供が演技をするとき、親戚や近所の人たちが投げ入れるというのが決まりごとになっているようだ。
演技が終わると、係の人が出てきて、それを拾い集める。それを何十回と繰り返す。小銭を相当用意していかないといけない。

投げ入れる楽しみもあるようで、ご祝儀袋を持った子供がダッシュで投げにいく姿も見られた。
昔はお菓子なども投げ入れられたそうだ。

武術から発展していったものとはいえ、棒術の試合ではない。決まった型があるようで、それを演武する。
神社への奉納ということで、和気あいあいという感じでもない。子供たちもこの日のために練習を積んできたのだろう、真剣に取り組んでいた。

動きもけっこうあって、意外と撮るのは難しい。
撮り始めてしばらくは、撮りどころのツボみたいなのが掴めなかった。

撮る対象としては、踊りものに近い。
どまつりのときと同じく、90mmマクロで撮った。

年齢が上がると、そのぶん、迫力が増す。
棒の手といいつつも、槍や刀、鎌などを使う。

これが真剣勝負なら撮るのがもっと楽しかったのにと、ちょっと不謹慎なことを思ってしまう。
ドラマで塚原卜伝を見ているせいもあったかもしれない。

絞り込んでシャッタースピードを遅くして、少しぶらしてみる。
こんな撮影でもNDフィルターが必要だと再認識した。90mm用は持ってないので、一枚買うことにしよう。

子供のかわいさと、大人の迫力と、両方あるのがいい。
流派の源流をたどれば、450年以上受け継がれていることになる。

演じていたのは全員男性だった。決まりがあるのだろうか。
なんだかんだで1時間半くらい撮ったのだけど、ようやく勘所が掴めてきたところで終了となってしまった。
撮る楽しさは想像以上だったので、また機会があれば撮りにいきたい。

お疲れ様でした。

最後は餅まきになった。
写真を撮ること8割、餅を掴むこと2割という程度の態度で臨んだ私は、掴む気120パーセントの人々に押し飛ばされ、一回餅が手に触れただけで終わった。何度も足を踏まれ、カメラを守るだけで精一杯だった。餅まきは、面白いけど怖い。

子供たちは袋詰めされたお菓子をもらい、帰っていった。
棒の手、侮りがたし。そんな感想を抱きながら、私も渋川神社をあとにしたのだった。