
長野県木曽郡大桑村にある阿寺渓谷(地図)シリーズの1回、2回に続いて第3回をお送りします。
阿寺渓谷は深いブルーの流れだけでなく、岩の上に甌穴(おうけつ)を見ることができる。
この岩が川床だった時代に石などでできた穴だ。
以前、飛水峡で見たときはどれがそうなのか今ひとつ分からなかったのだけど、阿寺渓谷のものは分かりやすかった。
こんな写真も撮りつつ、奥のキャンプ場を目指して歩いた。

千畳岩と名付けられた巨大な岩がそそり立っている。

雨現の滝。
雨になったら現れる滝かと思ったらそうではなく、普段はチョロチョロ落ちていて、大雨が降ったら大きな滝になるらしい。
ロケーションとしては最高で、これが瀑布だったら名所になっていたに違いない。

ヒノキ美林。
植林ながら美しい林だ。

犬帰りの淵。
昔、渓谷に入った犬が、あんまり寂しいところなんでここで引き返していったという伝説の場所だ。
入り口から3キロほど進んだところで、ちょうどこのあたりが中間地点になる。

樽ヶ沢の滝。
ここは真上から見下ろす格好になる。

六段の滝だったか、吉報の滝だったか。

こちらが六段の滝を近くから撮ったものだったかもしれない。
吊り橋の奥の遊歩道は、途中で通行止めになっていた。

少しもやっていて渓谷らしい風景。
川霧が発生して光が差し込むような状況があれば、すごくいいだろう。

牛ヶ淵の深い青。
その他、狸ヶ淵や熊ヶ淵もある。

阿寺渓谷の魅力は、ブルーの流れだけではない。渓流風景の美しさにもある。

ずっと雨が降ったりやんだりで、今度は霧が発生したのかと喜んだら、キャンプファイヤーの煙だった。

阿寺渓谷名物、美顔水。
とりあず顔を洗っておこうという人が多い。
キャンプ場の先は門が閉まっていて、それ以上先へ進めないようだった。
川沿いを行けば進めたのだとは思う。
とりあえず目的地まで行けたので、これで引き返すことにした。

入り口まであと1キロほどのところで、ついに空が持ちこたえられなくなったみたいに、ドバっと雨が落ちてきた。
晴れの天気予報を信じて雨具は持っていない。
痛いほどのどしゃ降りに打たれながら、駅まで3キロ近くの道のりを歩くことになった。

全身ずぶ濡れで駅まで戻ったのはいいけど、エアコンの効いた車内は凍えるほど寒かった。最後は体の震えが止まらず、心臓が痙攣してきて、自分でも危ないかもしれないと思った。名古屋駅までは持ちそうになかったので、途中の大曽根駅で降りた。夏の暑さがあんなにありがたいと感じたことはなかった。
山や渓谷へ行くときはやっぱり雨具は必要だと、あらためて思い知ることになった。
紅葉の時期もいいらしいけど、新緑の季節が一番なんじゃないかと思う。得も言われぬブルーの水と、新緑の鮮やかな緑のコントラストは、さぞかし美しいことだろう。
私としては二度行くことはないと思う。最初で最後の阿寺渓谷ブルーを目に焼き付けた。
少し離れた柿其渓谷でも同じようなブルーが見られるそうだから、行くならそちらに行ってみたい。
次は晴れた日を選んで。