
PENTAX K-7 + FA 50mm f1.4
大垣でレンタサイクルを借りて樽見線を撮りつつ北上したとき、東赤坂駅の西にあるJR美濃赤坂駅にも寄っていくことにした。木造の駅舎があることは知っていたのだけど、予想をはるかに超える良さにしびることになった。なんとまあ、雰囲気ありまくり。長く記憶に残る忘れがたい駅となった。
支線とはいえ、これでも東海道本線の終着駅だ。地方のローカル線ではない。そこがまた素敵なところだ。
大垣から北へわずか5キロ。途中には荒尾駅がひとつあるだけで、6分で到着してしまう。単線を行ったり来たりの折り返し運転ながら、ワンマン運転ではなく、2両編成で車掌も乗っている。一日の乗車人数は350人程度というから、それなりの利用者数だ。佇まいほどひなびた駅ではないようだ。
かつて東京発の大垣夜行が、この美濃赤坂行きだった時代もある。
開業は、大正8年(1919年)のことだ。

駅舎やホームを見る前に、まずは周辺からじっくり眺めて撮っていくことにした。
JR美濃赤坂駅の隣には、JR貨物の線路とホームがある。
現在、このホームは荷物の上げ下ろしには使われていないそうだ。

更に隣には、西濃鉄道の線路や機関区などがある。
近くの金生山から石灰石が採れるため、ここが石灰石輸送の中継地点となっている。一日2-3往復、貨物列車が走るという。
左に見えているのは、石灰石の工場のようだった。
西濃というと宅配便の西濃運輸の方が有名で、同じく本社は大垣にあるのだけど、まったく関係はないらしい。そもそも、西濃鉄道なんていうのは初めて聞いた。

貨物列車の先頭車両が、ぽつんと休んでいた。
荒涼というわけではないものの、なんともうら寂しいひなびた雰囲気が漂っている。

大正8年に開業したときに建てられた木造の駅舎が、今もそのまま使われている。
渋すぎるくらい渋い。
指名手配犯のポスターが貼られているあたりも、時代が違っているようだ。

駅舎からホームへのアプローチ。
昔撮られた写真と見比べても、手すりがつけられたくらいで、ほとんど変わっていない。
駅舎の窓口は塞がれ、改札の名残さえない。
切符売り場もなく、無人駅なので、当然のように出入り自由ということになる。
ただ、西濃鉄道の人が駅舎に詰めているらしく、レンタサイクルなどもあった。
駅の管理は大垣駅で、ここから乗るときは車掌から切符を買うことになるのだろう。

ホームから駅舎の方向を振り返る。

ホームの幅は狭く、やたら長い。
もともとは貨物用途が主体の駅として開業して、貨物列車に客車を連結していたというから、それ用に長いホームが作られたのだろう。
ダイヤとしては、朝夕は1時間に1本か2本。11時、12時台はない。

線路は続くよどこまでも。でも、やっぱり線路にも終わりはあるのだ。それ以上は行けない終着点が。

ホームの脇に、物置小屋みたいなものがあった。これも古そうだ。

木造駅舎の味わい。
木枠の窓は、ところどころ入っているガラスが違っている。
冬場はすきま風が入って寒そうだ。

駅舎の中で、しばらく時を過ごした。
どこか遠い見知らぬ町に流れ着いた旅人のような気分になる。時代まで遡ってしまったみたいだ。

少し離れたところから。
とにかく、非常に感じ入ることになった。
夕暮れどきもいいんだろうけど、ここはきっと、夜明けの時間が素敵に違いない。冬の朝一番列車の風景を撮ってみたいと思った。