
PENTAX K-7+PENTAX FA 50mm f1.4 / DA 55-300mm / DA 16-45mm
6月、安城では黄金色に染まった一面の麦畑が見られる。去年、地元のニュースで初めてそのことを知り、来年は行こうと心に決めていた。
例年であれば5月下旬から刈り入れが始まるようだけど、今年は麦の成長も遅かったのか、5月最終日でまだ刈り入れは行われていないようだった。
安城は日本のデンマークと呼ばれるほど、農業に力を入れてきたところだ。減反政策で30年ほど前から米に代わって麦を栽培する農家が増えたそうだ。現在は、市内に約1200ヘクタールの麦畑が広がっている。
新安城駅での乗り継ぎに失敗してしまい、当初予定していた南安城駅ではなく新安城駅でレンタサイクルを借りて、安城の麦畑探しに出かけた。
安城駅や公園など、市内に10ヶ所のレンタサイクル拠点があり、どこで借りてどこに返してもよくて、料金は無料となっている。借りた自転車はブリジストンの3段変速付きでなかなか快適だった。
街中を少し外れると、すぐに麦畑は見つかった。ただ、見渡す限りというポイントは最後まで見つけられず、広範囲にわたって点在しているという印象だった。上から俯瞰できる場所を探したけど、それも発見できなかったのは、ちょっと残念だった。

安城といえば、新幹線の三河安城駅があり、市内を斜めに新幹線の線路が貫いている。こだまが上下線とも1時間に2本程度止まり、のぞみなどが5分おきくらいに通過する。
麦畑を探しつつ、新幹線の撮影ポイントを探っているうちに、いつしか気持ちは新幹線に大きく傾くことになった。
名古屋市内では撮れないような広く全景を入れた写真が撮れるのが新鮮だった。障害物も少なく、撮影ポイントはけっこうありそうだ。

麦畑と新幹線を撮った。
上から見下ろす図も撮りたかったけど、このあたりに高い建物はない。

いくら逆光が好きでも、新幹線撮りの場合は素直に順光の方がよさそうだ。空の色もきれいに出る。
それにしても、新幹線は長い。24mmの広角でも、ある程度距離を取らないと全車両を収められない。普通の列車とは別物の撮影だ。スピードも速い。

近づいて望遠で流し撮り。
正面から撮るポイントも見つけられず。

時速300キロをアップで撮るのは難しい。正確には狙えない。
あとから思いついたのだけど、三河安城駅のホームから撮ればよかったのだ。利用客も多くないだろうから、人目もそれほど気にせず撮れたんじゃないかと思う。至近距離で通過する300キロを捉えるのは相当難しいだろうから、いい練習にもなる。

矢作川の土手からだと、高さがあるのでやや見下ろす感じで撮れる。ただ、距離がちょっとあって、角度もあまりよくない。
後ろに見えているのは堀内公園の観覧車だ。

田植えが終わった田んぼの水鏡と新幹線。
これまた長いと思ったら、16両編成か。
この日は雲が多くて青空が少なかったのだけど、良く晴れた日とか、夕焼けのときなんかはドラマチックな風景が撮れそうだ。夜の光のラインなんかもいい。
いつまでも撮っていたかったけど、このあとの予定もあった。腹八分目くらい堪能したところで戻ることにした。

名鉄西尾線だと思う。結局、この線は乗らなかった。ずっと単線なんだろうか。

名鉄の赤い列車。
これはたぶん、名鉄名古屋本線だ。

堀内公園にあるレトロチックなデザインの観覧車。
この観覧車に乗って見下ろせば麦畑を俯瞰できるのかもしれないと思いついたのも、帰ってきてからのことだった。
しかし、ひとり観覧車はまだしたことがない。ひとりボーリングと同じくらい難度が高そうだ。

自転車で走っている途中、古墳があったので寄ってみた。
碧海山古墳。
安城のこのあたりはかつて海に近く、そばを矢作川などが流れていることから、古くから人が住んでいたと思われる。
桜井古墳群と称される古墳がいくつも集まっていて、碧海山古墳もその中の一つだ。
南北22メートル、東西17メートルほどの円墳で、古墳時代前期の4世紀初頭のものと考えられている。
ここらに西三河の中心地があったようだ。

二子古墳は更に大きな前方後円墳で、全長は68メートルある。
矢作川流域では,吉良町の正法寺古墳に次ぐ規模で、桜井古墳群の代表的な古墳とされる。
これも4世紀初め頃のものだという。

赤い鳥居が目に付いたので挨拶していくことにした。
若一「なんとか」社とあり、よく読めなかった。
帰ってから調べたところ、神社の神の字を王子と彫り直したらしい。そんな無茶な。
最初は若一神社だったものが、若一王子社になったようだ。それにしても、書き直しならぬ彫り直しなんてのは初めて見た。

創建は1350年という。
拝殿の彫り物などは立派なものの、社殿自体はそれほど古いものではなさそうだ。
祭神は、天穂日命(アメノホヒ)。
アマテラスの第二子で、オオクニヌシに国譲りを迫るために派遣されたのに、オオクニヌシに心酔して手下になってしまったというユニークな経歴を持つ天孫系の神だ。
若一神社というのは各地にあって、神仏習合の若一王子(にゃくいちおうじ)を祀っているところが多いようだ。仏教でいうところの十一面観音、神としてはアマテラスやニニギとされている。
この若一王子社でアメノホヒを祀るようになった経緯などはよく分からない。
すっかり新幹線撮りの楽しさに目覚めた。これからも新幹線の撮影ポイントを探したい。大府駅から共和駅あたりにもポイントがあるらしい。
安城もそう遠いところではないし、チャンスがあれば再訪したい。