胸にどーんと来た、東野圭吾『秘密』 - 現身日和 【うつせみびより】

胸にどーんと来た、東野圭吾『秘密』

東野圭吾秘密

Canon EOS 10D+TAMRON SP 90mm(f2.8), f5.0, 4.0s(絞り優先)


 このブログを始めたのは去年の9月で、それから毎日書いてるのに本についてはこれまでほとんど書かなかった。たまには本について書こうと思う。
『秘密』は広末涼子主演で映画になったので、そちらを観てる人は多いだろう。
 なんで今さらその原作本を読んだかといえば、この前直木賞をとったことと、ドラマ「白夜行」の原作者ということで東野圭吾のことを久々に思い出したところへもってきて、「Book off」の100円コーナーでこの本を見つけたからだ。作品との縁というのはそういうものだ。
 映画についてはあまり印象がよくなったので、この原作も最初は期待してなかった。実際、前半は軽い気持ちで読み進めて、まずまずだなくらいに思っていた。これはもしかするとすごく大切な作品になるかもしれないと思い始めたのは、中盤から後半にかけてだった。気づいたらすっかり引き込まれて夢中になってどんどん読み進めて止まらなくなり、寝る時間になって途中でやめたもののどうにも寝付けず、また電気をつけて最後まで一気に読んでしまったのだった。
 そして、読み終えた後、あまりにも切なくて悲しくて、まったく眠れず、次の日も自分の悲しみのように感じて、一日すごく沈んだ気持ちで過ごしたのだった。
 なんと切なく切ないラブストーリーだろう。まるで自分の経験のように感じた小説は、島田荘司の『異邦の騎士』以来だ。小さい娘を持ったお父さんがこの作品を読んだら、途中で胸が張り裂けそうになって読み進められないかもしれない。
 映画の比較でいうと、断然小説の方がいい。時間の経過という要素がこの作品では非常に重要なのに、その部分を映画は描けていなかったから。配役も個人的にはあまり好きじゃない。
 この作品は、女性側から読むと男が読むのとはまったく違う感想を持つことになるだろう。小さい女の子を持つお母さんはこの作品を読みながら何を思うのだろう。共感するのか、反発するのか、それとも自分なら別の道を選ぶと思うだろうか。
 あのラストをどうとらえるかは人それぞれ。私がもっと若かったら別の思いがあっただろう。今読んでちょうどよかったのかもしれない。それにしてもあのオチはやるせなかった。自分なら、あのあとの人生を耐えていけるかどうか。
 娘の名前に込められた東野圭吾のメッセージもまた切ない。モナミはフランス語で、私の友達、または私の恋人、あるいは私の愛する人など、微妙なニュアンスを含んだ言葉だ。

 これは誰にでも無条件にすすめられるというタイプの作品ではない。謎解きのミステリと思って読むと肩すかしを食うし、作品として客観的に批評するような読み方をすれば必ずしも出来の良い作品とは言えない部分もある。のるかそるかの分かれ目は、主人公の体験を自分のこととして共有できるかどうかにかかっている。自分がこの登場人物だったらどうするだろうという考え方をする人なら、試してみる価値はある。もし、上手くシンクロできれば、他の作品では得がたい貴重な体験的読書になると思う。
 それにしても、東野圭吾が直木賞作家になるなんて、デビュー作『放課後』を読んだ頃は思いもよらなかった。全体的にそつなくまとまってはいるけど、何かこうパンチが効いてないというか、印象の弱い作家だなと思ったのを覚えている。でも考えてみると、あれから多くの年月が流れた。たくさんの作品を書き続けたからこそ、今の東野圭吾がいる。これからもますます期待できる作家となっていくだろう。



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コメント
非公開コメント

こんにちは♪

w(=^‥^=)w オォ♪
東野圭吾氏♡

大好きで。。。全部持ってます♡
(〃▽〃)


ポチッ♪と応援v-154

2006-04-19 17:01 | from †Tiara†

しばらく離れてる間に

★†Tiara†さん

 こんにちは。
 †Tiara†さんも東野圭吾好きだったんですかー。
 しかも、全部持ってるとは! 負けた!(笑)
 私は読んだの5、6冊かなぁ。長く離れていたら、いつの間にか立派な作家になってましたね。
 ということで、まだ未読がたくさんあるからこれから楽しみです。『片思い』とかも面白そう。
 私は『鳥人計画』とか好きでした。
 何かオススメがあったら教えてくださいね。(^^)

2006-04-20 03:05 | from オオタ | Edit

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2006-07-04 02:03 | from -

すごく遅れたメッセージ

★小駒さん

 こんにちは。
 7月4日にコメントいただいてたのに、今日27日まで気づきませんでしたー。(T_T) すみませんー。(^^;
 管理人のみ閲覧可能コメントだったので、と言い訳しつつ、今さらながらお返事を。

 東野圭吾の作品は、まだまだ読んでないものが多いんですよ。『私が彼を殺した』もまだ読んでなくて。
 なので、当然犯人は分かりません(笑)。
 少し前から『白夜行』を読んでるんだけど、思わぬ分厚さに手こずってます。こりゃあ、まだだいぶかかりそう。ドラマを観たあとだけに、キャラのイメージが違っているのも戸惑ってます。

 これに懲りず、またよかったらコメント書いてくださいね。(^^)
 よろしくお願いします。

2006-07-27 23:39 | from オオタ | Edit

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