
PENTAX K-7+PENTAX FA 50mm f1.4 他
何もいいことがないと、人は時々不満を口にする。
けど、何もないことは幸せなことだと、気づくときがある。
目の前に広がる代わりばえのしない平和な風景が、実はとても貴重なものなのだということを、我々は知らなければならない。
いつか失われる風景を、今撮っておこう。目に映るなんでもない風景を。

空は安全か?
空にも危険はたくさんある。
空を飛べることは自由か?
空を飛ばなければ生きていけないという点で不自由だ。
人の自由度の高さは、何にも勝る。何かをうらやむなんてしなくていい。

春の空の下。屋根に並んだスズメは、おしゃべりに夢中だ。

街の道路脇にもツクシが生えている。
慌ただしく過ごしている人には見えない場所に。

冬の間は小屋にいたのか姿を見なかった羊さん。
暖かくなって、また表に出てきた。
生え始めた緑の草をせっせと食べている。

田んぼにも年間を通じて季節感があることを知ったのは、ここ数年のことだ。田植えから稲刈りまでだけが田んぼの表情じゃない。冬には冬の、春には春の表情がある。

歳を取っても仲良しの夫婦さんは美しい。

無機質な外観の住宅に一編の生活感。
暮らしには彩りが必要だ。

倉庫に差す光。
日常の中に小さな美が潜んでいる。それに気づけば、少し幸せが増す。

空の色や雲の姿も、冬のものとは違ってきた。
寒さが和らぐと、肩の力が抜けたようにホッとする。

暖かくなったのを喜んでいるのは人間だけじゃない。外で生きているノラたちにとっても寒い冬が終わるのは嬉しいだろう。

今日もまた日が暮れる。
何もなかったことを感謝しよう。

お母さんも子供も、おうちに帰りましょう。そして、お父さんの帰りを待ちましょう。
一緒に夕ご飯を食べられる幸せ。

午前中はお年寄りが占領していたベンチも、夕方には人がいなくなる。
夕陽を浴びながら、ベンチはその日の役割を終え、明日の朝を待つ。

太陽が沈む頃、部活を終えた中学生たちも帰る時間となる。
また明日ね。何気なく交わす友達との挨拶。明日が同じように来ると信じて疑わない。

太陽はこちら側で夕陽としての仕事を終えると、向こう側では朝日としての仕事が始まる。

日が暮れて、カモたちは夕方の食事を終えただろうか。
暖かくなってきて、ぼちぼちまた北へ渡る準備を始めなければならない。長い旅に、ある日の朝、ふと思い立って旅立つ。
来年の秋にもう一度ここに戻ってくる約束はせずに。
何もないようで豊かな日常。
気づくべきことに気づき、見るべきものを見ることの大切さを思う。
また明日。それが私が一番好きな言葉だ。
明日はきっとやってくる。
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