宿場の名残が色濃い奈良井宿<木曽旅・第4回>

観光地(Tourist spot)
奈良井宿1-1

PENTAX K-7+PENTAX DA 16-45mm f4



 木曽平沢をあとにして次に訪れたのは、一つ隣駅の奈良井だった。駅を出ると、ほどなくして宿場町の面影を色濃く残す通りが始まる。どんな感じなんだろうとワクワク、ドキドキする間も与えず、唐突に。ちょっとイントロが短すぎ。
 そんな軽い不意打ちを食らいつつ、奈良井宿の入り口に立って、やっと来られたかと、しばし感慨にふけった。馬篭宿と妻籠宿を訪れたのは2005年の初夏だった。そのすぐあとに奈良井宿の存在を知って、ここも行かなければと思ってから早5年以上の歳月が流れていた。
 前回、個人的な感想でいうと、妻籠宿がとても気に入って、馬篭宿は少し観光地化されすぎている印象を受けた。今回の奈良井宿はどうだったかといえば、その中間くらいの感じだった。妻籠宿の印象が強すぎて、超えられなかった。今妻籠を再訪したらあのときほどの感銘を受けることはないのだろうし、訪れる順番が逆だったらどう感じていたか分からない。場所と自分の相性と言ってしまえばそうかもしれない。
 それにしても、奈良井宿は立派だった。あんなに大規模に残っているとは思っていなかった。最盛期は奈良井千軒といわれるほど賑わった宿場町だった。幕末の記録では、家は400軒を超え、本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠5軒、住人も2,000人以上いたという。現在も約1キロに渡って古い家並みが続いている。往復すると2キロ。イントロは短く、本編は長い。
 中山道六十九次のうち、江戸から34番目でちょうど中間に当たり、中山道最大の難所といわれた鳥居峠を控えることから、ここでしっかり休んでいく旅人が多かったそうだ。
 さかのぼれば、戦国時代に武田氏がこの集落を宿駅(人馬を集めた宿場町)と定めたという歴史もある。
 国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されたのは、昭和53年のことだ。今でも家々には住人たちが普通に暮らしている。

奈良井宿1-2

 午後になっても前日に降った雪が道路を覆っていた。雪かきをしているおばさまなんかもいた。

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 木曽路の名物といえば、そばと五平餅だ。これにおやきを加えると信州名物ということになる。
 地場産業としては、隣町の平沢同様、漆器が江戸時代から名産品として知られていた。他には櫛や曲げ物(木製の容器)など、木曽檜を使った木工製品などもよく作られていた。
 家は中二階建てが多く、二階部分の梁が通りの方に突き出しているという特徴を持っている(出し梁造り)。豪雪地帯ではないので、屋根の傾斜は緩いものの、突き出した梁は雪対策だろう。夏の日差しを遮るためというのもあるかもしれない。
 かつては石置き屋根だったそうだけど、現在は鉄板葺きのところが多い。猿頭(さるがしら)のついた鎧庇(よろいひさし)なども特徴としてあげられる。

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 杉の森酒造は創業寛政5年(1793年)という老舗の造り酒屋だ。立派な杉玉が吊ってある。

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 雪でスキー遊びをしていた地元のちびっこ。
 観光客はぼちぼちといったところで、賑わいからは遠かった。雪が降ってすぐの2月だからだろう。いい季節はわんさか人が訪れて、通りは人で一杯になる。冬の旅行はどこへ行っても空いているからいい。

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 観光客歓迎用なのか、もともとこういうものを作る風習があるのか。水につけた花を凍らしてオブジェにしている。だいぶ溶けてしまっていたけど、これは面白いアイディアだと思った。氷点下になるような日に自宅でも作れる。

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 つららもすごいことになっている。完全犯罪の凶器に使えそうだ。

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 溶け出した雪が風に舞う様子が気に入った。逆光で見ると、ダイヤモンドダストのようにキラキラしている。

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 カッコイイと思った路地。表から少し入ったところの風景に惹かれる。少し油断した普段着の顔が垣間見える。

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 丸ポストに古いたばこの看板。昭和のエッセンスが点在する。

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 防火用や生活用水として、6つの水場が作られている。
 奈良井宿は下町、中町、上町の3つに分けられていて、それぞれが2つずつ水場を持っている。どこかの川から引いてきたものなのか、ひしゃくが用意されているから飲めるのかもしれない。飲んではいけないのかもしれない。

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 どういうものなのかよく分からない。ひな祭りのつるし飾りの一種だろうか。

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 消火用の水を入れたものか。ポップなデザインだ。

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 枯れて編み目になったほおずきの実に、豆電球が仕込んであり、ランプツリーになっている。
 2月3日に、アイスキャンドル祭りというイベントが行われたそうだから、そのときのものだろうか。

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 もちろん現役の宿屋もある。
 宿場町は夕暮れどきの明かりが灯り始めた時間帯が一番魅力的だから、ゆっくり一泊で行くというのもいい。早朝のしんとした空気に包まれた町並みも素敵だろう。

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 町全体で宿場町の面影を残していこうと協力している姿勢がよく伝わってくる。足並みを乱しているところは少ない。電柱の地中化もすっかり済んでいる。

奈良井宿1-17

 理髪店もこの通り。飛び込みで床屋に入るような土地柄ではないにしても、どんな髪型になるのだろうという興味はある。入るのはちょっと勇気がいりそうだ。

 後編につづく。

塩尻市
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コメント
  • 2011/02/19 18:21
    今にもどこからか、天秤棒を担いだ粋なにいさんが出てきそうな場所ですね。

    赤い丸ポストは、オオタさんのライフワークになりそうですね。

  • 中山道
    2011/02/20 01:45
    >ただときさん

     こんにちは。
     中山道は、東海道のように幹線道路にならなかったので、宿場町の名残を残すところが多いです。
     奈良井宿もなかなかだったけど、妻籠はもっとタイムトリップ感を味わえました。

     丸ポストコレクションもだいぶたまりました。
     名古屋に金色の丸ポストができたらしいので、近いうちに撮ってきます。
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