木曽路はすべて雪の中 <木曽旅・第1回>

観光地(Tourist spot)
木曽平沢1-1

PENTAX K-7+PENTAX DA 16-45mm f4



 今年初の鉄道旅は、木曽路行きだった。
 もう何年も前から奈良井宿へ行きたいという思いがありながら、なかなか実現できずにいた。この冬最後にもう一度雪景色を撮りたいと考えたとき、雪の木曽路の風景が頭に浮かんだ。
 そうとなれば話は早い。せっかくなら近場の宿場も絡めて行ってしまえということで、今回もまた少しタイトなスケジュールになった。慣れない雪道を5時間歩くというのもなかなかにハードだった。

木曽平沢1-2

 名古屋駅ホーム、朝の風景。
 日曜ということで、駅ものんびりした空気感が支配していた。冬の観光オフシーズンだから、列車内もさほど混んでいない。

木曽平沢1-3

 中央本線も、中津川から先はローカル線のような風情になる。岐阜を抜けて長野県に入ったあたりから残雪がちらちら見られるようになり、木曽路に入ると雪景色が始まった。

木曽平沢1-4

 最初に降り立ったのは、奈良井の一つ先の木曽平沢駅だった。ホームまですっかり雪に覆われていた。
 実は前日の土曜日に行ってもよかったのだけど、かなり雪が降るようだったので、恐れをなして一日延期した。あまりにも雪が厳しいと撮影も歩きも大変すぎるので自信が持てなかったのだ。
 翌日はよく晴れていたのに昼前でこの雪だから、やはり前日はかなり降ったようだ。

木曽平沢1-5

 木曽平沢駅で降りたのは、私と地元のおばさまの二人だけだった。もともと観光地としてはローカルなところだし、この雪では訪れる人も多くはないだろうとは思っていたけど、現地でも観光客らしき人は見かけなかった。いい時期はもう少し賑わっていると思う。

木曽平沢1-6

 駅前には古い校舎のような造りの建物が建っていた。しかし、ここでの目的はそういうことではなかった。先を急ごう。
 といっても、雪と氷で急いだら危ないので、ゆっくりおっかなびっくり歩く。レインシューズを履いていってよかった。

木曽平沢1-7

 のれんに「うるし」と染め抜かれている。ここは木曽漆器(しっき)の職人町として栄えたところだ。
 海抜900メートルの高地にあり、夏は涼しく冬は寒いという気候が漆を塗る作業に適しいた。木曽の森林で良質な木材が採れ、交通の便もよかったことから、江戸時代に漆器の一大産地として発展を遂げた。
 2キロほど離れた奈良井宿の枝郷としての性格も持ち合わせていたことで、やや宿場町のような風情も残っている。

木曽平沢1-8

 町並みのどこを見ても漆器やうるしの看板が目に入る。漆器の店と一般の家屋が交互に建ち並んでいるくらいだ。
 作業場である土蔵(ヌリグラ)は現在でも100棟以上現存しており、町の200世帯の半分以上が漆器作りに関わっているそうだ。
 江戸時代中期の1749年の大火でかなり町は燃えてしまったようで、防火対策として家と家との間を少し開けて建てられている。現在の町並みは、そのとき以降に形成されたものが基本となっているという。
 家屋の多くは2階建てで、間口は3間、奥行きのある町屋造り(出桁造)で、奥まったところに作業場がある。
 漆器に特化した町というのは全国でも珍しく、古い家屋や蔵もたくさん残っていることから、平成18年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。

木曽平沢1-9

 最低気温は-6度、最高気温が2度ということで相当な寒さを覚悟していったのに、現地ではまったく寒さを感じなかった。名古屋で自転車に乗っているときの方がよほど寒い。雪が積もっていて風がないと、体感としてはさほど寒さを感じないものだ。
 とはいえ、軒先からはつららが下がっているし、車は見たこともないような凍り付き方をしている。寒いには寒いに違いない。

木曽平沢1-10

 立派なお宅。
 竹ぼうきが逆さに立てられているけど、私に早く帰ってくれといっているわけではないと思いたい。

木曽平沢1-11

 寒い土地とはいえ、木曽は豪雪地帯とかではないので、大雪が積もることはあまりないんじゃないかと思う。地元の人たちが昨日はよく降ったねぇと言い合っているのが聞こえた。
 無責任な旅人としては、やっぱり雪がある風景はいいなと思うのだった。

木曽平沢1-12

 屋根の雪が溶け始めて、ときおり吹く強い風にあおられてパッと舞う。その光景がとても印象に残った。

木曽平沢1-13

 住人の人たちは雪かきをしたり、凍り付いた道路の氷をかち割ったりしていた。雪が降るところに暮らすのは大変だ。

木曽平沢1-14

 北海道の人がママさんダンプと言っているのを初めて聞いたときは、一体何のことを言っているのかまるで見当がつかなかった。ママさんダンプ?
 一般的にはスノーダンプと呼ぶそうだけど、ママさんダンプというのはどこかのメーカーの商品名らしい。雪国では一家にひとつ、もしくは一人にひとつ、マイ・スノーダンプを所持していることが常識なんだとか。

 第2回につづく。
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