
PENTAX K-7+PENTAX DA 16-45mm f4
31日の夕方、中川運河キャナルアートを見にいった。この日もまた、雨だった。どうやら私の晴れ男伝説は、終わりを告げたようだ。
とその前に、「変革のとき 桃山」という企画展を見るために、名古屋市博物館へ向かった。

名古屋市博物館は、瑞穂陸上競技場の近くにある。地下鉄桜山駅というのは、存在自体知らなかった。こんな機会がなければ降りることはなかっただろう。
昭和52年(1977年)にできた比較的新しい博物館で、ジャンルとしては歴史を主に扱っている。常設展示室では、縄文時代から近世にかけて、尾張にまつわる様々な出土品や歴史的な資料が年代順に展示されている。せっかくなのでこちらも見てきたけど、なかなか楽しめた。
中村区にある秀吉清正記念館や、徳川美術館の隣にある蓬左文庫は、名古屋市博物館の分館となっている。

中は当然のことながら撮影禁止なので、写真はない。これはまあ、理解できる。
とにかくかなりの来訪者で、見るのもやっとなので、写真なんて許可していたら収集がつかないというのもある。
かなりのヒット企画だったようで、思っていた以上に人が多かった。実際、それだけの価値があった。かなり面白い。
安土桃山時代に絞って、全国からこの時代の品々をたくさん集めてきた。国宝1点、重要文化財26点を含む173点が公開されている。
洛中洛外図屏風や聚楽第行幸図屏風などの大きな屏風絵から掛け軸、絵画、工芸品、茶器など、時代の変遷で区切りながら飽きさせないものとなっている。
個人的には書がよかった。昔の人の字を見るのが好きなので、400年以上前の人が書いた肉筆というのはなかなかに感慨深いものがある。
戦国時代といっても、毎日戦に明け暮れていたわけではない。恋いもしたし、家族もいて、日々の暮らしもあり、楽しみや趣味もあった。彼らは勉強家でもあり、求道者でもあった。
日本絵画も最近ちょこちょこ見ているけど、もう少し勉強もしてみようという気になった。墨絵もいい。
11月7日までなので、興味がある方はぜひ行ってみてください。

名古屋市博物館を出たときには、すでにポツポツ雨が落ち始めた。なんとか夕方まで持って欲しかったけど、また雨だ。地下鉄上前津駅を出たときには、本降りになっていた。晴れ男どころか雨男になってしまったらしい。
駅を出てしばらく歩くと川に出た。新堀川だ。完全に逆走していた。西に向かわなければいけないのに、東に向かって歩いていた。雨降りの中、デジをかばいながら傘を差して歩くのはきつい。結局このあと、1時間以上雨の中を歩くことになる。

途中で雰囲気のある公園があったので寄ってみる。
下茶屋公園は、東本願寺別院の後庭だったところだそうだ。もともとは信長の親父さんである織田信秀が築城した古渡城があった場所だ。
あとから気づいたのだけど、ここはメ~テレの裏だ。こんな日本庭園風の公園があるのは知らなかった。

公園の中心には池もある。古渡城の堀を利用して作ったものだという。
だんだん暗くなり、雨も激しくなってきて、撮影もままらない。

雨が降っていることをなんとか写したいと思うのだけど、カメラというのは雨を写せないものだ。

とぼとぼ歩いて、ようやく松重閘門(まつしげこうもん)にたどり着いた。
堀川クルーズのとき、屋形船から写真を撮った。今度は地上から撮ってみたかった。ライトアップされて、いい雰囲気だ。雨さえ降っていなければ、三脚を立ててもっとちゃんと撮ったのに。

松重閘門の横には、ホテル・ラブの建物が建っている。
意表を突くストレートなネーミングだ。

中川運河は堀川よりも水位が低いので、門を開け閉めして水位を調整していた。上の写真は、中川運河側の門だ。
船が通るときは、片方の門を閉めて水位を合わせてからもう一方の門を開けて船を通していた。パナマ運河と同じやり方だ。

強い光を当てれば雨は写る。やっと雨が撮れたと喜ぶ。
雨はますます激しさを増し、どしゃ降りといっていいほどになった。いよいよ撮影は厳しくなった。風も吹いていたので余計にやっかいだった。

なんとか到着した。カメラは守ったものの、靴はぐちゃぐちゃだった。こんな雨降りに写真を撮りにいく自分は、以前とは変わったものだと思う。
とにかく着いたからには撮らねばなるまいと、三脚をセットして、カメラとレンズを傘とタオルで守りながら撮影に入った。
モノクロームの世界に突然カラフルな光が現れたような不思議な光景が広がっていた。
晴れていたら、こんな色にはなっていないはずだ。背後には名古屋駅のビル群が建ち並んでいるのに、雲に覆われて見えない。こういう写真になったのを見ると、雨であることの必然も少しはあったかもしれない。

これはデジタル掛け軸と呼ばれるもので、作者は世界的に活動している長谷川章という人だそうだ。D-Kとも言われている。
デジタル映像を建物や森などに投影するインスタレーションで、これも現代アートの流れの中にあるといってよさそうだ。
相当数の画像をPCに入れて、ランダムな組み合わせで投影されるので、同じ模様は二度とないのだという。決まったパターンを繰り返し投影しているのではないところに面白さがある。
全国各地でイベントが行われているようだから、見たことがあるという人もけっこういるんじゃないだろうか。大がかりなものとしては、東京都庁で行われたこともあった。2年前には名古屋城の宵まつりでもやったそうだ。

場所は、小栗橋近くの岡谷鋼機の倉庫だった。
倉庫内ではコンサートなどのイベントも開催されていた。初日は台風の影響でイベントは中止になってしまったから、関係者にとっては残念だっただろう。二日目も大雨と、ちょっと天気には恵まれなかった。

確かに映し出される映像は次々に変化していくのだけど、単純は単純なので、すぐに飽きてしまうのが難点だ。雨降りで風もあり、寒い。長く見ているのはつらい条件だった。私も30分ほどで切り上げて帰ることにした。
収穫は、中川運河そのものだった。この風景は絵になると感じた。真西を向いているから、ちょうど夕日を正面に見ることになる。途中にJRと新幹線と名鉄の橋梁がかかっていて、列車もひっきりなしに通る。今度は夕焼けの時間に自転車で行きたい。
D-K映像はたくさん撮ったので、追記(More)に載せておくことにする。








