
はっきりしたイメージのないまま作り始めた今日のサンデー料理。完成した料理見て思った。
なんだろう、これ? と。
自分ではそんなつもりはなかったのに無国籍料理。まずいか美味しいかといえば美味しい寄りではあったのだけど、和風でも中華でもヨーロッパでもない、かつて植民地だった東南アジアのどこかの国でこれが出てきたら、なるほどこういう料理もあるんだなと納得できるような感じだった。って、どんな感じだ、それ。
使った食材はほとんど日本のもの、調味料は西洋のもの、作り方は中華のようなそうでもないような。それらが組み合わさって、結果として無国籍となった。仮に謎の東洋料理としておこう。この謎料理の核心に迫ってみたい方は、以下に紹介するレシピで実際に作って確認してみてください。
まずはチャーハンもどきから。最初は鮭チャーハンから始まったはずが、気がつけばヘンな方向へ進んでいた。たっぷりのオリーブオイルを温めて、そこに刻んだニンニクとタマネギを入れて炒める。何故か長ネギも投入してしまう。次にバターを入れて、塩コショウしておいた鮭を追加。なんとなく気分でしょう油と塩コショウを振りかけてみる。それでは飽きたらず赤ワインをどくどく注ぐ。この時点でかなり怪しくなっている。
ボウルに卵を溶く。そのまま入れるのは能がないということで、思いつきで牛乳と赤ワイン、塩コショウ、しょう油も入れてしまい、更に先週買って余っていたノルウェイ産のリダーチーズまで参加させてしまうというハチャメチャさ。でももう引き返せない。溶き卵の色も毒々しい赤茶色。
そいつを、ええーい、とチャーハンに流し込む。そしてかき混ぜる。卵が固まってきたところで、刻んだパセリも入れる。今書いていても大丈夫だろうかと心配になる。が、味は無国籍ながら案外まともだった。ちょっと濃いけどおかしな味ではない。だけど、中華でも洋風でもない。
右にあるくちゃっとしたものも、名前のない料理だ。最初はフランス料理風に繊細な感じで仕上げるつもりだったのに、煮詰めていたらやけに品のない色になってしまった。どこで間違えたんだろう?
まずは鮭と鶏肉を小さく切って塩コショウをしておく。次にオリーブオイルをここでもたっぷり温めて、ニンニク、タマネギを炒める。小さく切ったニンジン、マッシュルーム、トマトも加えて炒める。ここでも赤ワインをどくどく。あ、そうだ、ここで白ワインを使う予定が赤ワインしかなかったのだったもんだから、こんな茶色になってしまったのかもしれない。赤ワインで白ワインの代用は無理があった。
味付けはチキンスープの素と塩コショウ。だったのだけど、煮詰めてたら食べられないくらい濃くなってしまったので、とっさの判断で牛乳を足した。それで味はまろやかになったものの、見た目の品を更に失う結果となる。もはやフランス料理の面影はなく、味も何料理だこれ、って誰にともなく尋ねてみたくなるようなものだった。いや、まずくはなかったけど。
奥は豆腐料理。これが今回一番イメージ不足で、作りながら考えてなんとなく出来上がった一品だ。まずは、今回の流れでオリーブオイルとニンニクから始めて、冷蔵庫にあったエビを切って炒めてみた。それと豆腐だけじゃ寂しいっていうんで、トマトも焼いてみた。まだまだ寂しいぞとブロッコリーも足してみた。ここで豆腐を投入するも、絹ごしだったためすぐにバラバラのぐずぐずに成りはてる。こいつまでこの段階で品を失った。なんとか取り繕おうと、小麦粉をドバッと振りかける。もしかしたらバラバラになったものがくっつくんじゃないかと。くっつかなかった。
味付けは、しょう油大さじ2にオリーブオイルを同じ量、みりんを大さじ1、塩コショウ、やっぱり赤ワインも気休めに入れて、余ったリダーチーズも刻んでみた。これでどうだ!? パセリも振りかけてしまえ。
けっこうまともだった。しょう油ベースだから違和感はない。チーズも効いていたいし、これはオススメできるかもしれない。
見た目の品のなさは別として、味としてはそれほど破綻していない。採点は難しいところだけど、70点は超えていると思う。ただし、写真で見る以上に秘めた味は複雑で、国籍不明なのは間違いない。でも、世界は広いから、きっと私のこの料理そっくりな料理が世界のどこかにあって、もしかしたらこれを食べたどこかの国の人は、おふくろの味を思い出して涙する……だろうか? この料理をお弁当箱に詰めて学校に持っていったら、おまえんちの母さんはナニ人だ! とイジメられそうな気がする。
しかし、今回で思い知ったのは、私は料理の基本が分かってないということだ。どの調味料をどの料理にどれくらい使ったらどういう味になるのか、ということがイメージできてない。赤ワインと白ワインとではどういう違いが出てくるのかとか、長ネギとタマネギでは何が違うのとか、そういうことが感覚として身に付いてない。結果として美味しくなったとしても、それは結果オーライでしかなく、毎回行き当たりばったりではそのたびに出来不出来の差が激しくなる。もう一度レシピ本を見て、基本に立ち返る必要があるだろう。来週は純和食で再出発をはかりたい。
それはそうと、今回紹介したレシピ、ぜひ試してみてくださいね。説明した通りに作ると、見たことも食べたこともない無国籍料理が出来上がります。貴重な経験としてぜひ。